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邪楽 ─日の國の鬼神─  作者: 明庵 心架
第二章 一族
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4 門番



 馬に乗って賑わう街中にでてきた。周りには八百屋・魚屋・居酒屋などの店の人が通行人へ呼び掛けている。



「そこの馬に乗ったお兄さん!りんごを1つどうだい?」


「気持ちだけもらっとくよ!ありがとなお姉さん!」



 呑心てんしんは賑やかな街を見て、結構成り立っているんだなと感じた。


 そして、しばらく歩いていると街で一番大きな屋敷が見えた。表札には【藍冀】と書かれた文字。



「よし、ここだな!街で一番大きい屋敷ということは、この街の管理家は藍冀のやつらだったんだな。」



 門をくぐろうとした瞬間、顔の横すれすれに卍型の手裏剣が飛んでくる。



「誰かと思ったら、これはこれは"無能の藍冀魁杜らんきかいと"じゃないか。よくここに戻ってこれたものだな。」


(は。よく戻ってこれただって!?そっちのお坊っちゃまが働けって言いに来たから、わざわざ俺が来てやったのに!理不尽だ!)



 呑心てんしんは、開いた口が塞がらない状態になった。



「お、お坊っちゃまに来いと言われましたので…。」



 無能と言われてるし藍冀家には虐待をされてたんだ。このくらいの演技でいいだろう。



「公子様が?ふん!公子様が来いと言ったとて、お前みたいな無能が、藍冀家の門をくぐることを俺が許さん。」


(はぁ…。めんどくさいやつだな。その謎の自信はどこから来るんだよ。というか、そのことなら公子様のいうことを破ってるし!)



 呑心てんしんは思わずため息が出た。どうやらこの門番は、藍冀家に腕前を認められ、今にいたるらしい。たしかに腕前はいいが、どうも、こう、いきっている雰囲気だ。



「それに今日は神力修様方が来ているのだ、お前みたいな無能がでると……」



 さっきからぶつぶつ独り言を言っている門番に、呑心てんしんは呆れ、口を閉ざす閉語術へいごじゅつを使う。すると、いきなり口が開かなくなったのか、顔は真っ赤で酸欠状態になっているではないか。



(これはいい気味だな。はは!神力修も来ているのなら、バレない程度に少し暴れるとしよう。)



 独り言が多い門番を後にし、呑心てんしんは藍冀家の門をくぐった。




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