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邪楽 ─日の國の鬼神─  作者: 明庵 心架
第三章 前世と夢
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27 和菓子



「じっちゃん!いつものっ!思季しきにも食べさせてやってくれ!」


「はいよ。」



 2人は案内された席に座った。人はおらず静かだ。呑心てんしんに言われた老人は奥の方へ行き、なにやら食べ物を持ってきた。



「うちの店 特製。みたらし団子と三色団子揃いじゃ。」


「おいしそう…!」



 老人は2人の向かい側の椅子へ座った。

 目の前の机に置かれたのは、皿にのったみたらし団子と三色団子。みたらし団子のタレは茶色で透明感があり、光に当たって輝いて見える。三色団子は三つの団子が色鮮やかで思わず、かぶりつきたくなるほどだ。


 2人は、そんな美味しそうな和菓子に目がキラキラしている。呑心てんしんは涎が少し垂れそうで「待ってました!」と和菓子へと手を伸ばしている。思季しきはみたらし団子と三色団子のキラキラ輝くオーラに「おぉ…!」と感心していた。



 呑心てんしんは三色団子を持ち、思季しきは片手を添えながらみたらし団子を持った。



「いただきま~すっ!!」

「頂戴する。」



 パクッと口に運んだ。呑心てんしんは犬のような口になり口角を上げ「これこれ!」と言っている。思季しきは衝撃が走ったかのように「ピシャン」と固まった。



「こ、これは……!?」



 思季しきの言葉に老人は目を光らせる。呑心てんしんはニヤケながら横目で思季しきを見た。




「口の中にいれた瞬間、タレと一緒に溶けていく団子!だけど、もちもちとした感覚もしっかりあって本当に、、、、、頬が落ちてしまいそうだった……」


「なかなか分かるのぉ!」


「すっごく早口だったな!」



 早口で感想を言った思季しきは、まるで天国でも見ているかのように、左手を頬に添え幸せそうな顔をしていた。そしてみたらし団子を食べ終え、三色団子も口に運んだ。



「ん~…。この三色団子も梅・すあま・ヨモギの味が絶妙な味で口に広がる…。」


「だろだろ!」




「さて、仕上げの煎茶は、いかがかの?」



 湯のみに注がれたお茶は“煎茶“という。和菓子とよく合い、甘味処では定番のお茶だ。2人は「ズズズッ」と飲み「はぁ」と一息ついた。



「とても美味しかったです。ありがとう。」


「味が分かる人で、わしも和菓子達も嬉しいじゃろうな!こいつ(呑心)ときたら、初めてここへ来たとき『味の違いが分からん!』と言ってきての。一発殴ってやったわ!」


「あれ、たんこぶができるほど痛かったんだからな!」


「や~っと違いが分かってきたやつが言うんじゃない!」


「まぁまぁ……」



 呑心てんしんと老人の言い争いに思季しきは苦笑いをしている。あまりにも話を聞かない2人に苦笑いをしながら、ため息を付き呆れた。



「(手を出さないが、どちらも口だけは強いな。なんとなく…お互い似ている。これが似た者同士というのかな…?)」


「そこ《思季》!似た者同士とか思わない!!」



 微笑み眺めていた思季しきに指差す呑心てんしん。なんで分かったのかは分からないが、同時に、その空気を切るように、外の鹿おどしが「カコンッ」と鳴った。




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