24 追いかけっこ
「おい!そろそろ手を離せ!」
「い~や!お前街にあまり行ったことないだろ?」
「そうだが、今はまだ屋敷の中だ…!」
「へぇ、街に着いたらまた手を繋いでくれるのか?」
「違う!」
未だに手を繋ぎ屋根や廊下を走っている呑心と思季。その後ろには何十人という従者が追いかけている。廊下を歩いている、2人と同い年くらいの神力修達にとっては日常茶飯事のことでいつもは笑ってはいる。だが、今回は冀魄空神の公子様と共に走っているのだ。そのせいか開いた口が塞がらない状態。
「呑心様!思季様!お待ちください!!」
「これならどうです?逃げられませんよ!」
「あっ!?」
挟み撃ちしてくる従者、隙を狙ってくる従者、大勢で押し掛けてくる従者を軽々と避けていく呑心。思季は身を任せているだけ。2人は一緒に行動していて捕まえやすいはずなのにその姿はまるで、舞を踊っているようだった。
「屋敷の外へ行きました!」
そして屋敷の屋根から、3mほどの塀の上へと飛び移り、屋敷の外へ出た。しかし、塀の外にはあらかじめ準備していた従者達がいたのだ。壁を背中にたくさんの従者達に囲まれている。2人は両手をあげ降参ポーズをした。呑心は苦笑いをし、思季は呆れた表情をしている。
「こればかりは日頃、呑心を追いかけてきた成果だな。お前の癖をだいたい把握されているぞ。」
「あはは…。よし、こうなったら奥の手だ…!」
「奥の手…?」
2人は小さな声でこそこそっと話した。従者はゆっくりと近づいてくる。
「さぁ!大人しく…」
「あぁっ!空に怨霊がぁっ!」
突然呑心が空へ指差し、従者達は「怨霊だって?!」と言いながら、いっせい「ばっ」とその方向を見た。だがそこには何もなく、青空が広がるだけ。つまり、呑心のはったりだったのだ。
その隙に、呑心は思季の手をもう一度掴み、正面へ走っていく。目の前は崖。なにせここは、高い岩山だ。従者達は「さすがに飛び降りることはない」と考えているのだろう。
「え?…はっ?て、呑心…。まさか、ここから飛び降りる気じゃ………?」
「ご名答っ♪………飛ぶぞ!思季!せーのっ!!」
地面をしっかり蹴って岩山から2人は飛び降りた。呑心は笑っているが、思季は恐怖と戸惑いの顔をしている。
「呑心様!?思季様!?」
従者達は急いで様子を見に行く。上から見た2人の姿はだんだんと小さくなる。




