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邪楽 ─日の國の鬼神─  作者: 明庵 心架
第二章 一族
2/29

2 復活



 風が強く吹き、木々が激しい音をたてている中、男は狂ったような声をあげ儀式をした。


「我ここに身を捧げ、鬼神伝 空鬼呑心からきてんしんを召喚したまえ!!」


 強い風と共に、黒い稲妻のようなものが彼へと落ちていく。



 そして、男は糸が切れたかのようにバタンと倒れたのであった…






 小鳥がチュンチュンとさえずっている。ボロい家で倒れている空鬼呑心からきてんしんは目覚めようとしていた。



(俺は、死んだはずだが…? )



 呑心てんしんは、久々の肉体の感覚と意識が朦朧とするなか、必死に何が起きているのか整理をした。 体は思うように起き上がれず、声も出せない。すると、頭に響くくらいの大きな声が聞こえた。



「おい! 死んだふりか!? さっさと働け! お前を雇っているのはどこの誰だと思ってるんだ!」



 突然来た知らない男に足で蹴られたせいか勢いで横に倒れた。



(うるさいなぁ。 安らかに眠っていたのに、起きて早々なんで怒鳴られて蹴られないといけないんだ?)



 呑心てんしんは欠伸をしながら思った。 その態度が気に入らなかったのか、大きな声で言ってきた男は、もっと大きな声で怒鳴ってくる。



「なんだ、その態度は?!生意気だな! 俺の一族は有名賛家の末裔だぞ! いいか、藍冀魁杜らんきかいと! お前なんかすぐに殺れるんだからな!」



 そういい部屋にあった服をビリビリに破り、物をすべて壊したあと、従者2人を連れてどこかへ去った。



(はっ。 そっちこそ誰に口を利いてるんだか。 ようやく体も動かせるようになったし、今どういう状況だ? 近くにヒントとかは…。)



 部屋を見渡した呑心てんしんは近くにたくさんの紙切れが散らばっているのを発見した。 その紙切れには、この体の持ち主の名前、どんな状況かが詳しくかかれてあったのだ。



 この体の持ち主は『藍冀魁杜らんきかいと』。 スラッとした少しやせ形の体型で、顔もなかなかいい。 歳は19、両親は2人ともすでに他界しており、父親の兄君あにぎみの一族に引き取られ、雑用係として働かせられ、毎日虐待を受けている。 一度、有名賛家から神力修にならないかと言われるが一族に邪魔をされ、話はなかったことになったと。



「まったく、ひどい話だな!だから身体中にアザがあるのか。」



 先程の怒鳴っていた男は『藍冀利道らんきりどう』。 少しぽっちゃりしており、いかにもお坊っちゃまって感じだ。 歳は20(はたち)。 母親が甘やかしてくるので自立がなかなかできていない。 父親は欲しいものを何でも買ってくれる。妹もいるらしいが性格も兄と一緒だとのこと。さらに、藍冀家は藍冀魁杜らんきかいとが有名賛家から誘いがあったせいか、自分の一族は有名賛家の末裔だと勘違いをしている。



「たいへんな思いをしてきたもんだな。こいつも。」



 そして、呑心てんしんは俺をどうやって召喚したのか、儀式の跡を見て床についている赤黒いものを指でさわり、匂いをかいだ。 鉄の匂いがし、おそらく自身の血使ったのだろうと推測する。 徐々に視界も鮮明になり、なんの術を使ったのか気になった。



(これは… 剥蘇贄はくそじ! 失われた奏呪術だぞ!? なんで神力者と関係ない藍冀魁杜らんきかいとが…。 いや今は関係ない。)



 とは思いつつも、剥蘇贄はくそじは体の持ち主の願いを必ず叶えなければ、代償で呑心てんしんの魂を完全に消滅させてしまう。話の内容は一族、つまり藍冀利道らんきりどうとその藍冀家への復讐…。



「なんでこの俺がそんなことやらないといけないんだ!?そりゃ前世ではいろいろやらかしたが、今まででこんなずば抜けて優しい鬼神なんかいなかっただろ!というか、なんで大昔の鬼神を召喚しなかったんだよ!だいたい復讐なら皆殺しか痛めつけるのかはっきりしとけよな!」


(こうなったら…。藍冀魁杜らんきかいと。俺を叩き起こしたんだ。)


「この代償は重いぞ?とはいいつつも、今その体の持ち主は俺か。」



こうして、鬼神伝 空鬼呑心からきてんしん藍冀魁杜らんきかいとによって復活したのだ。



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