18 成仏
それはまるで銀色の優しい光が小さな星のようで神秘的だった。
すべての霊魂は成仏し、その場には鬼の魂だけが残っている。鬼の魂は邪のオーラが消え、銀色に輝いていた。呑心はその魂に優しく微笑み、寄り添うように話す。
「お前も何らかの理由で人を恨み憎んだ。そうじゃないと簡単に"鬼"という化け物にはならない。次、人間に生まれ変わったときは、どうか俺みたいに己の手を汚さぬように……。」
そう言い呑心は鬼の魂に触れた。魂はいくつもの淡い光になり、空へと儚く消えていく。呑心は悲しげな目つきで光が見えなくなるまで見送った。
「藍冀魁杜、これでよかったか?
少なくとも俺は、────────────……。」
呑心の声は誰にも聞かれることなく消え、辺りは静まり返るだけ。
しばらくして「バチンッ」と頬を叩き、呑心は暗い表情から無理矢理、明るい表情へと切り替えた。
「暗くなっても仕方がない!お子様神力修達の様子を確認しないと。」
もうすぐ日の出。ゆっくりと歩きながら、廉と力のところへ向かう。屋敷は庭に立っていた石灯籠や屋根の瓦は崩れ、地面のレンガは所々盛り上がっていて足場は悪い状態。「すごい戦いがあったのか?」と思えるほどの景色だった。呑心は周りを見るなり、壁にもたれ座っている廉と力の前に片膝をつけ、手首や首元に触れ脈を確認した。
「よし!命に別条なし!霊力も回復してきているし、頑張ったな。」
2人の頭を撫でようとした。
すると街の端から端まで強い風が吹き、草木は音を立てる。そして、同時に遠くからこちらへ放っている霊力を感じた。背筋が「ゾワッ」と武者震いをおこす。
「へぇ...。」
(霊力が多い。明らかに俺へ向けているが敵意はないな。)
呑心は、推測した。おそらく、この神力者は廉と力の師範だと。
「俺が2人に攻撃していると推測し、殺意をさらけ出さず霊力だけをぶつけ威嚇。なるほど。殺意を出したら弟子達を殺しかねないと考えたか。頭がいい。そろそろ逃げないとな…。」
呑心は白色の目が書かれた黒い面布を顔につけた。
「鬼のお面じゃバレるからな♪」
その時─
地面に突然陣が浮かび、四方向から鎖が呑心にめがけて伸びていった。




