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邪楽 ─日の國の鬼神─  作者: 明庵 心架
第二章 一族
18/29

18 成仏



 それはまるで銀色の優しい光が小さな星のようで神秘的だった。


 すべての霊魂(怨念)は成仏し、その場には鬼の魂だけが残っている。鬼の魂は邪のオーラが消え、銀色に輝いていた。呑心てんしんはその魂に優しく微笑み、寄り添うように話す。



「お前()何らかの理由で人を恨み憎んだ。そうじゃないと簡単に"鬼"という化け物にはならない。次、人間に生まれ変わったときは、どうか俺みたいに己の手を汚さぬように……。」



 そう言い呑心てんしんは鬼の魂に触れた。魂はいくつもの淡い光になり、空へと儚く消えていく。呑心てんしんは悲しげな目つきで光が見えなくなるまで見送った。




藍冀魁杜らんきかいと、これでよかったか?

少なくとも俺は、────────────……。」




 呑心てんしんの声は誰にも聞かれることなく消え、辺りは静まり返るだけ。


 しばらくして「バチンッ」と頬を叩き、呑心てんしんは暗い表情から無理矢理、明るい表情へと切り替えた。



「暗くなっても仕方がない!お子様神力修達の様子を確認しないと。」



 もうすぐ日の出。ゆっくりと歩きながら、れんりきのところへ向かう。屋敷は庭に立っていた石灯籠や屋根の瓦は崩れ、地面のレンガは所々盛り上がっていて足場は悪い状態。「すごい戦いがあったのか?」と思えるほどの景色だった。呑心てんしんは周りを見るなり、壁にもたれ座っているれんりきの前に片膝をつけ、手首や首元に触れ脈を確認した。



「よし!命に別条なし!霊力も回復してきているし、頑張ったな。」



 2人の頭を撫でようとした。


 すると街の端から端まで強い風が吹き、草木は音を立てる。そして、同時に遠くからこちらへ放っている霊力を感じた。背筋が「ゾワッ」と武者震いをおこす。



「へぇ...。」


(霊力が多い。明らかに俺へ向けているが敵意はないな。)



 呑心てんしんは、推測した。おそらく、この神力者はれんりきの師範だと。



「俺が2人に攻撃していると推測し、殺意をさらけ出さず霊力だけをぶつけ威嚇。なるほど。殺意を出したら弟子達を殺しかねないと考えたか。頭がいい。そろそろ逃げないとな…。」



 呑心てんしんは白色の目が書かれた黒い面布を顔につけた。



「鬼のお面じゃバレるからな♪」




 その時─


 地面に突然陣が浮かび、四方向から鎖が呑心てんしんにめがけて伸びていった。



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