12 再び
「くそっ…!守れなかったっ……。」
「私は依頼人の一族すら守れず、師匠みたいな立派な神力者になれるのだろうかっ……。」
廉と力は力強く手を握り、下を向いて泣きそうになっていた。その様子を見ていた呑心は悲しい気持ちになり、罪悪感があった。
(お子様神力修には悪いことをした。)
自分達がいながら依頼人の一族を守れず消滅した場合、上から呼び出され罰を受けなければならない。この罰だけで、神力修というプライドはメンタルと共に崩れていく。俺も読みが甘かった。鬼はともかく、屍は予想外だったな。兵士の屍は生きていたときの宗主への恨みが、記憶から屍になってまで怨念となったのだ。
(せめて、あの鬼は俺が祓わないと、こいつらに申し訳ない。正体がバレない程度に鬼術を使うとしよう。)
そうして、呑心は下を向いている神力修2人に声をかけた。
「あの。神力修さん達!宗主達はどうしたんだ?」
「あなたは!」
「藍冀の若君!無事だったのですね。よかった…。」
廉と力は呑心の姿を見ると、ホッと安心した。この人だけは守れたのだと思ったのだ。
「それで、宗主達は?」
「その、宗主様達は……。」
2人は気まずそうな顔をした。俺はそれを察したふりをする。
その内に、呑心は鬼が消滅する術をかけようとした瞬間─
「「「!?」」」
屍は次々に倒れ、口から霊魂が出ては空に浮いていた多くの霊魂のところへと浮いて行った。もちろん、藍冀公子 藍冀利道の中に入っていた鬼の霊魂もだ。すべての魂が集まると、霊魂たちは空でグルグルと徐々に早く回転し、鬼の霊魂と一体化していった。怨念が集まった鬼の霊魂は、なんとも禍々しく黒い煙、オーラを放っている。風も強く吹き、前へ進めそうにない。
「今度は何がおこるんだ!?」
力が言った。そして、怨念が集まった鬼の霊魂は再び藍冀利道の中へと入っていったのであった。




