28話(2度目の攻撃)
何者ッ!!」
戦機の上にいた人物が俺に気づき、銃を向けてくる。
「俺だよ」
「なんだ、あなたね・・・ なんでここがわかったの?」
俺の声を聞いて安堵する。やはりここにいたのはマリーだった。
「この前のなんとか脳波ってやつでお前がいるところがなんとなくわかってさ」
「気持ち悪。ストーカーじゃない」
「な、なにぃ!? 俺の立場的に、お前にうろちょろされると迷惑なんだよ」
「そうね・・・ 私は異端者だものね・・・」
「いやぁ・・・そこまで言ってないんだが・・・」
ちょっと強く言いすぎたかと思った俺。だが、
「なんて冗談よ。あなた本当にちょろいわね」
そんな生意気な彼女であるが、初めて少し”クスッ”と笑ったのだ。少し可愛いなんて思ったがこんなこと誰にも言えない。
そんなことはいい、本題だ。
「それよりこんなところで何をしているんだ?」
「何って・・・今日取ったあなたの戦機のデータを私の戦機とで比較していたのよ」
「そうか・・・ それってお前の戦機だったんだな」
「今はこの台湾政府の所有物となっているけど、整備ぐらいはしていいと許可をもらっているわ」
彼女の話によると、台湾政府はマリーの戦機(P型機)に興味を持っているらしく、情報提供をする代わりに、ある程度は触ってもいいという事になっているらしい。
でも、裏切りなどの心配はしていないのだろうか?
「裏切る?そんなことはしないわ。まぁ、台湾政府もこんな軍に囲まれたところで私が裏切るとは思ってないでしょうけど」
なんとなく心配になってくるな。やはり俺が監視しておいた方が・・・ いや、またストーカーだのなんだの言われるな。
そんなことを考えていた時、微量ではあったが振動を感じた。
そして次に爆発音が聞こえてくる。
「これはッ・・・」
「また来たわね」
Cocの2度目の攻撃だ。だが、今回は軍港内部ではなく、裏口の高台が攻撃されていた。
待機していた戦機が高台の方へと攻撃を仕掛ける。だが、敵機は1機しか出てきてないようだ。
そんな中、俺の無線に通信が入る。
『エクス聞こえるか?私だ、ラムダだ。突然だが、司令部よりお前の出撃命令が入った。準備が整い次第出撃せよ』
『え、あ、・・・り、了解です』
こうして俺も戦わなければならなくなったのだが、現在外では激しい攻防が繰り広げられている。
どうやら、海に隠れていた残りの2機が軍港内に出てきて、戦闘が激化している。
このまま歩いていくのは危ない。
どうやって格納庫まで行こうかと悩んでいた時、マリーが提案してきた。
「私の戦機で格納庫まで送ってあげるわ」
「えっ、こいつを動かすのか?それって大丈夫なのか・・・?」
「緊急時だし大丈夫よ」
なんたるアバウト!!なんとなくだが、俺は彼女についてわかって気がする・・・と言ってられる状況ではない。
俺は彼女の提案に乗った。
『じゃあ、私が動かすから手に乗ってくれる?』
「お、おう。手だな」
そして彼女が乗った戦機・・・P型機は俺の目の前に手を差し伸べてきた。俺を潰すかのような勢いだったが、ギリギリのところで止まる。操縦練度がかなり高いようだ。
「よーし!乗ったぞ」
『それじゃあ、格納庫まで行くけど振り落とされないように気をつけなさいね』
彼女の戦機は動き出す。手の隙間から見える戦場の光景は高さも相まって恐ろしく感じた。だが、もっと恐ろしいのは今から俺もこの戦闘に加わるということだ。
こうして格納庫の前に着く。
『ここまで送ったんだからあとは自分でどうにかしなさいよ』
「ああ、ありがとう。ところでお前は戦うのか?」
『私は・・・ 少し離れたところから様子を見ているわ』
ーーー
そうしてようやく戦機格納庫へ来た俺。そこには何人もの整備士たちが待っていた。
「おお!やっと来たか、エクス!準備はできてるぞ」
「ありがとうございます!・・・ あれ?整備長さんは?」
「いやぁ、それがわからなくてよ・・・ なんか怒ってどっか行っちまった」
「そうですか・・・」
確かに前もこのR型機を動かすのをだいぶ嫌がってたからな・・・全く困ったお方である。
今回は正式な命令のため、パイロットスーツが用意されていた。来てみるとピッタリであり、とても着心地がいい。どうやら衝撃吸収機能がついているらしく、これで戦闘がいくらか楽に行うことができるそうだ。
支給されたパイロットスーツを着て、コックピットに座る。
何回かシュミレーターで練習したが、まだ確実なコツは掴んでいない。
そんな不安を抱きつつも戦機を起動させる。
『R型機起動します!!』
・・・




