2話(起動)
はじめに戦機とはなんなのかという説明をつけました。少々長くはなりますが、お付き合いのほどよろしくお願いします。
突然だが、現在、世界各地での戦闘事情について話しておこう。
現在の戦闘で主に扱われているのは”戦機”と呼ばれる人型の戦闘機である。
この兵器には今までになかったあるアドバンテージが存在する。それは人に似た動きができるということである。
人型から当たり前だろ?と思った方もいるはずだ。だが、この当たり前は戦場を大きく震撼させたのである。
この世界の研究者も同じようなことを最初は思っていた。だが、ある実験結果を見て驚くこととなる。
なんと、戦車や飛行型戦闘機などの従来の兵器10機に対して、戦機1体が圧勝する形として結果を残したのだ。しかも、何回も。
戦機のパイロット曰く、人に近いからかなんなのかはわからないが、動きが親しみやすいとのこと。この感想は他の実験パイロットも全員口を揃えて、「動きがわかる」といったそうだ。
もちろん、訓練されたパイロットというのもあり、機動性が段違いというのもある。だが、この実験結果は世界の戦術家の頭を唸らせた。
そして、世界各地で急速に戦機の需要が高まり、今では戦闘の中心となって活躍を続けている。
ーーー
場所は司令室
・・・
「R型機、1号機、2号機出られるか?」
「しかし、ラムダ司令長、あの2機を出撃させてよろしいのでしょうか?国民に対しての戦機建造は機密事項であり・・・」
「そんなことが、今言ってられるか!?とりあえず、ここを防衛させるように出撃させろ!ここを落とされてはどうにもならん!」
司令室は混沌としていた。ここには実戦経験を持っているものが皆無であり、皆がパニックになるのも仕方がないことなのである。
場所は移って軍機コンテナへ
・・・
「司令室から、r-01・r-02の出撃命令があった。1号機は近接装備、2号機は狙撃装備で換装し、出撃させろ!」
周りからは驚きの声が上がっていた。そもそもこれらは、ヨーロッパのUnity支部での試験運用を目的としたものであり、近日にヨーロッパ支部へと譲渡される機体であったのだ。
メカニックたちは一応の起動操作を教えられていたものの、まさか、ここで起動させることにはなるとは思ってすらいなかったため、今回のような反応になるのも納得できる。
そして、
「1号機、2号機共々準備完了いたしました。」
「了解した。よーし、aiコネクター接続!終わり次第に出撃させよ!・・・よし!1号機、2号機起動!!」
この戦機の装備についてなのだが、
1号機は近接戦闘、白兵戦の試験運用するために開発された機体であり、武装としては、対金属超音波ナイフのみであるが、近接戦に特化したosであり、それを一番効率よく使用できるように設計されている。
2号機は、長距離支援型として設計されており、武装は、精密狙撃用のロングレンジライフルを主力とし、他にも中距離、近距離対応のバレットライフルといった、中距離用の武装も使用できる。精密な狙撃ができるよう、4つの様々なカメラアイが取り付けられており、戦場によって汎用性を効かせた運用が可能となっている。
そもそも、R型シリーズは、戦機をより人間に近い動きを追求するといったコンセプトで設計されており、それを実現するために、戦機としは初の球体関節を使用している。よって従来の戦機に用いられていた固定型関節とは違い、より早く、柔軟に可動することができるのである。しかし、弱点も存在しており、磁気で可動をよしとしているため、関節部分が貧弱であるという問題もある。それらの問題を解決するためにAIによる機動実験をし、欠陥のない最高の戦機を作るというのが、Unityが発案した(R/P)計画呼ばれるものなのである。その計画には1、2号機の他に実際にパイロットのテストと共に3号機の起動実験も含まれているのだが・・・
ーーー司令室ーーー
司令室はようやく落ち着いてきたようであり、各方面にさまざまな指揮をとっていた。
「1号機、2号機起動成功!!現在交戦中であります。」
「うむ。敵は初期のb型機か、、、まだ数が少ないことから、これは先鋒隊であると推測する。よし、第三、四種対空砲撃準備よーい。・・・次迫る敵は、実用型の戦機であるぞ!心してかかれ!!」
ピピピッ!!
「指揮長!上空に複数の熱源を捉えました!」
「ついにきたな、、、よし、本部隊だ!第3種、第4種対空砲火撃てぇー!」
「第5種はどうします?」
「まだだ、敵の空船が見えたらだ・・・それまでは、第5種陽電子対空砲と第7コンテナをなんとしてでも守れ!!」
『ええい、wpcの推測では略奪機体だってのになぜこんな数がある!やはり民間の軍事工場は当てにならんな。』
ーーー
俺は目の前に広がる光景に呆然とした・・・
「これはまさか、戦機なのか!?どうして内密にこんなものを・・・確か日本に軍事基地を建造する条件として、戦機の開発、軍事運用は禁止とされていたはずなのに・・・!」
その戦機の胸部にはこの機体の型番であろう、(R-03)と記されていた・・・