18話(予期せぬ援軍)
『ターゲット補足。これより目標機体を撃墜する』
ベスター中尉は躊躇なく迫ってくる。機体はg型であり、アンドリューの乗っていた機体と同じ型ではあるが、両手には2つのビッグダガーを携えている。そう。なんと言おうと彼の得意とする戦法は双剣での近接戦で一気に肩をつけるというものである。
『マリー・ローゼス、聞こえているか?最後の勧告だ。ここで降伏するというのなら、俺がこの場で殺してやろう。だが、このまま逃げるなどと抜かそうなら、お前はモルモットとなった挙句殺されるという惨めな最後をプレゼントしてやろう。これは俺の慈悲だ。さぁ、どっちにする?』
『フッ・・・戦う前から勝ったつもりでいるの?この機体であなたと戦ったことはないわよ。どうなるかわからないわ』
『そんなことはわかっている。だが、今わかるのはお前がその機体に慣れてはいないということだ。慣れた機械と慣れていない機械。どっちが優勢かは言わなくてもわかるだろう?』
『・・・やはり的を得てきますね。ベスター中尉。』
ベスターと言っていることは正論である。マリー自身もわかっている。言われた通り、この機体に慣れてはいなく、今までベスター中尉との模擬戦で一度も勝てないという事実を。
『でも、やってみなくてはわからないのではなくて?』
『フン、そんな甘いことを言っているうちはだ。さぁ、おしゃべりはここまでだ』
ベスター中尉は戦闘体制に入る。それと同時にマリーも先ほど奪ったビッグダガーを構えて受けて立つ。
だが、その時!!突然彼らの間合いに爆発が起きたのであった。
「なんだ!??7時の方向だと!?あっ!!」
ベスター中尉が向いた方のはバズーカを携えた、黒い3機の戦機が立っていた。
「なんなの?どこの部隊?」
『ザザッ!!マリー・ローゼスさん、聞こえていますか?我々は(wpc)独立偵察18部隊、(ブラックシーガー隊)である。今回はあなたの亡命通信の傍受を受け、援護要請を受けた。この場は我々が受け持つ。あなたは指定座標へ急いでください』
『っ!!どうして私なんかを?』
『本部からの命令です。理由については台湾支部へついてからお聞きになっては?』
『・・・事情を知っているようね。わかったわ。あとは任せます』
彼らはこうしてマリーと話しながらも各種砲台や他戦機などを戦闘不能にしていった。そして部隊の隊長らしき人物はロングレンジライフルといった長距離要の武器でベスター中尉を相手に時間を稼いでいる。
「くそっ!!最新のb型機はこのオンボロとは推進力が違うか!!」
どうやら自慢の近接戦も推進力の違いで実力を発揮できていないようである。そんなことより突然の敵部隊の乱入で基地内ではさらに混乱が広がっていた。マリーはその混乱を利用してその場を去った。
ーーー
場所はタイ東部ハノイ近郊、エリア34軍事境界線付近。時間は26:20
指定時間まで残り10分である。マリーはまだかまだかと待ち望んでいた。だが、ここまで逃げて生き残ってきたのだ。もう大丈夫だろう・・・いや、大丈夫であってほしいと望む。だが、そんな彼女を狙う影が・・・




