16話(理由)
前には見知った二人が立っている。そういえば彼らとは何年のも付き合いだ。それなのに二人は私に向けて銃を向けている。
「マリー、理由を聞いてもいいか?」
理由?理由なんてそんな容易いものではない。私がこの軍隊に入隊したのも全て復讐のため。全ての命令は復讐のためだと思い、動いていたし、訓練なども復讐への過程だと思えば苦しくはないほどだった。この軍に一矢報いるというのは入隊した時からの揺るがない信念だ。それを今から変えろと言われても変える気も無ければ、それを信念にしていたことを反省する気もない。だが、それを彼らに言ったところで何になる?
「あなたたちに言って何になるの?」
「・・・!!理由を聞かずに撃てと言われても、無理があんだろ!!せめて理由だけでも聞かせてくれ!」
「あなたと矛を交えたくはないと言ったばかりなのですがね・・・残念です」
「・・・私はこの軍に入隊した時からこうしようと思っていたのよ。今ここで何を言われようとも変えるつもりはないわ」
「じゃあ、俺らが出会った時から裏切るつもりだったってことかよ・・・」
「ええ。そういうことよ。話は以上?」
「私から最後に聞いても?」
「いいわよ」
「あなたは何者なんですか?」
「・・・名前の通りよ。これ以上でもこれ以下でもないわ」
「そうですか・・・残念ですね」
「さて、どいてくれる?私も急がなければならないから。できればあなたたちとも撃ち合いたくはないわ」
心が痛い。彼らを裏切ることはわかっていた。だが、何年も一緒にいれば、情が湧くのは自然である。私の不安要素・・・それは二人を裏切ることであった。だけど、覚悟はついている。
「僕らには、あなたを捕まえるよう命令が出ておりますので、ここであなたを捕まえさせてもらいます」
「さぁて、銃を捨てて、手を上に挙げろ」
「そう・・・命令には逆らえないものね」
私は手に持っていた銃を捨てて、手を上に挙げる。
「プラユット、銃を」
「はい」
プラユットが落ちた銃を回収しようとする。その時!
私が腰に携えていたナイフを取り出し、プラユットの右肩に切り掛かる。
「うぎゃぁぁあああ!!!」
叫び声と共にプラユットは右肩をおさえ、地面に崩れ落ちる。
続けて、アンドリューにも切り掛かるが、アンドリューは迷わず私に撃ち込んでくる。だが、動揺しているのだろうか、銃弾は当たらない。私はアンドリューの顎に向かって、蹴りをお見舞いした。彼は気絶したのだろうか、そのまま地面に倒れた。
私はそのまま、新型機のコックピットを目指し走り出す。各所に兵が忍んでいたのだが、それらをなんとか潜り抜けつつ、ようやく新型機のコックピットまでたどり着いたのであった・・・
ーーー
「何をやっている!貴様達!!」
その響き渡る声は、負傷した二人を見て怒り狂っているビリー少佐であった。
「ほ、報告いたします。プラユット軍曹は右肩を負傷しており、傷はかなり深い模様で、現在緊急治療室で治療中。アンドリュー伍長は顎に打撲跡がありますが、現在意識を取り戻しております」
「チッ!そうかよ・・・やつはどこへ行った!?」
「し、新型機の方へ向かったものかと思われます」
「なら、アンドリューだけでも戦機で向かわせろ!!」
「しかし、負傷者を・・・」
「もうそんなことを言ってられる場合ではない!!あと、ベスター中尉を出撃待機させておけ」
「し、承知いたしました!」
『くそっ!最悪なシナリオへ突き進んでいるではないかっ!!』
その時、新型機が動き始めたのであった・・・




