15話(脱走2)
スタッと華麗に地面に落ちるマリー。流石軍人であり、3階から飛び降りて無傷どころか受け身を取る余裕まである。彼女は今後の行動について考える。
「さてここからどう行動しようかしら・・・」
彼女が考えていいる大まかな行動計画はこうだ。まず最初に軍用車を奪い、戦機格納庫へ行く。そこで新型機を強奪のうち、通信で言った指定時間、指定場所に行く。というものである。と言っても、指定時間まで2時間弱あるため、そうスムーズに合流はできないであろう。となると戦闘になるだろう。だが、戦機自体の内蔵バッテリーが1時間が限界であり、そう長く活動することはできない。そのため、基地で時間を稼ぐこととなる。
「まずは軍用車だけど・・・まずいわね」
基地の至る所に兵がいる。どうやらマリーをどうしても捕えたいようであり、軍用車を奪うにもそう簡単にはいかないようである。だからと言って、走って行くにも遠く、その前に捕まえられるのがオチであろう。
「遠回りするしかないわね」
ーーー
「まだ、見つけられんか!!」
「も、申し訳ございません!休憩室を見にいったのですが居らず・・・他の二人も知らないようでして・・・」
「クソっ!!やつは何処へ行ったんだ!?」
ビリー少佐は焦っていた。マリーを逃すのは100歩譲ってまだ許せる。だが、新型機も強奪されると銃殺刑は逃れられないだろう。銃殺刑という公開処刑を見てきたというのが彼を焦らせる。
「・・・そうなってはいかん。アンドリュー伍長とプラユット軍曹を戦機にて待機させておけ。いざという時には新型機との交戦もありゆる」
「了解であります。しかし、新型を傷つけてもよろしいのでしょうか?」
「この場合仕方あるまい。逃げられるよりかはマシだ。あとベスター中尉も戦機にて待機だ。最後の切り札として使わせてもらう。よし、全体に通達!第二種戦闘体制!!」
『こんなところで死ぬわけにはいかんからな・・・』
ーーー
なんとか回り道をして軍車両を手に入れたマリーであったが、当初の計画していた場所から大きく離れた場所に来てしまった。彼女は現在格納庫までのルートを計算していた。
「ここを・・・いやダメね。そしたらこっちを・・・」
コンコン!
「おい、誰が乗っている?・・・ん?開かないぞ!おい!誰だ貴様は!?」
ついにマリーの乗る車両のところにも兵が回ってきたようである。
『兵が回るのが早いわね・・・それじゃあ・・・』
車のドアを開けるマリー。
「誰だ・・・貴様か!!!マリー・ローゼスおとなしく・・・」
銃声の後に銃弾が彼の胸を貫いた。
「・・・」
彼女に迷いはない。ここで捕らえられると死ぬのは自分である。
「仕方ない、ちょっと荒っぽく行くしかないわね」
その途端軍用車が勢いよく走った。格納庫までは3キロ弱、飛ばせばそう遠くはない。それは直線距離での計算であり、兵のいない場所を計画しながら走ったりして右往左往していれば時間がかかる。だが、今回は格納庫に着くのが最優先である。マリーは道にいる兵を突き飛ばしながら格納庫へまっすぐ走る。
「おい!そこの止まれ!!」
「なんだこいつ!!
「マリー・ローゼスだ!撃てぇーー!」
車には無数の銃弾が降り注いでくる。ガラスが割れ、後ろタイヤがパンクをする。だが止まることはない。指定時間まで残り1時間弱。
そしてどうにか格納庫へ辿り着くマリー。だがそこには見知った二人が立っていた。




