閑話2(生き残り)
最後にマリー・ローゼスのイメージイラストを挿絵として置いてあります。ぜひご覧ください
東南アジアの大使館。ここは国の外交拠点でもあり、周囲は他の建物と違いかなり頑丈に作られており、防衛機構も強力につくられている。だがしかし、現在敵の戦火はここの手前まで迫って来ていた。ここから敵の戦力の大きさがわかるであろう。これにはいくつかの要因がある。
まず1つ目の理由が、単純なエキドナ自体の侵略地域の拡大に伴った戦力の増強である。ここ数年で大きく台頭してきたエキドナ。その戦力や権力の増え方には目を疑うような具合であった。2つ目の理由が、汎用人形重機。(通称、汎兵機)の兵器化に伴う戦略の変化であった。
これに加え、様々な要因があるが主にこの2つの理由が敵の戦力の大きさの要因である。
・・・
大使館の廊下を走るローゼス一行。先ほどよりかは爆発などの戦闘音は減ってはいるが、まだ戦闘が続いている。
「じいじ・・・怖いよ」
「お嬢様、大丈夫ですぞ!儂がついております。ところでラビーネ様、お助けは入りますかな?」
「いや、私は大丈夫。そんなことよりマリーをお願い」
「もちろんです。さて、もう少しでシェルターですぞ。がんばりましょう」
こうしているうちに一行は大使館の長い廊下を走り抜け、玄関前まで来ていた。
「外は激しい戦闘が行われています。儂の命令通りに行動してくださいな」
「り、了解」
「さて、開けますぞ・・・」
爺が玄関の扉を恐る恐る開ける。
「どけよ!お前ラァ!!」
「ここはもう入れねぇって言ってんだろうが!!」
そこから見えたのはシェルターに入ろうとするものと入らせまいとするものの仲間撃ちであった。
「なんと醜い・・・お二人方ここのシェルターはもうだめです。ん・・・ここから北にもう一つシェルターがあったはずです。そこを当たりましょう」
「マリー、死んじゃうの?」
「そんなことはありません!先ほども言ったように儂がいれば大丈夫ですぞ」
「そんな悠長なこと言ってられないんじゃないの!!どうせ、そこのシェルターももうダメなんじゃない!?・・・もうダメなんだわ・・・」
「ラビーネ様、落ち着いてくだされ。確認してみないことにはわかりません。ここで諦めるのはまだ早いですぞ・・・はっ!婦人、伏せてくだされ!!」
その瞬間光と共に爆発音が聞こえた。その爆風は多くの建物をも壊し、3人の元まで一瞬のうちに迫って来た。
凄まじい爆音と共に強烈な爆風が飛んできた。再び目を開けた時、ラビーネは倒れており、爺はマリーを庇う形で倒れていた。二人とも意識はなく、意識があるのはマリーのみであった。
「う、うう・・・じ、爺?爺退いてよ。重いよ・・・」
なんとか自分の3倍以上もある爺を退け、這い出ることに成功したマリー。だが、3人がいた大使館は崩れており、奇跡的に彼女らがいた場所のみ瓦礫が落ちて来ていなかったのである。
「・・・!爺!お母さん!!大丈夫!!?」
「うう・・・お嬢さん、ぶ、無事ですかな?カハッ!」
爺はかろうじて起き上がれそうではあるが、母の方はぴくりともしない。
「ラビーネ様!・・・んん、ダメか・・・ お嬢様、お母様はどうやらここまでみたいです」
「ここまでって・・・?」
「・・・」
爺は黙っているしかなかった。たった5歳の少女に母親の死を伝えるのはあまりにも残酷だ。爺は軍人時代にこのような場面をいやほどみてきた。いやほど見てきたはずなのに慣れるはずもなく・・・これが戦争の現実であった。
「お母様はここに置いて来ましょう。我々はいち早くここから離れなければなりません。さぁ、マリー様儂の背に・・・」
「いやっ!!お母さんの隣にいる!!」
「マリー様・・・」
その時、敵の爆撃の第2波がやってきた。
爺は素早くマリーを担いで、壊れたシェルターまで走った。どうやら、丁度子供一人分のスペースが余っていた。
「爺・・・?どうして?」
「いいですか、マリー様。儂とあなたはここでお別れです。ですがあなたは生きるのを諦めてはなりません。いいですか?いつ何時でもですぞ。さぁ行きなさい」
そう言い残し爺はマリーをシェルターに入れ、周りの瓦礫で蓋をした。
「爺はあなたにお使いでき幸せでした・・・」
その瞬間に外からは凄まじい轟音が聞こえてきた・・・
そして、23年の月日がたった・・・
場所はタイ北西部、coc支部拠点。
現在そこでは戦闘がある行われていた・・・
↑(幼少期マリーイメージイラスト)
閑話は終了です。
次回からは台湾補給編です。




