11話(上空にて)
ーーー
『緊急入電!緊急入電!前方に敵船らしきものを感知した。第1種戦闘配備を発令。砲撃班は各持ち場で待機!』
一難去って、また一難である。
「・・・3号機パイロット・・・いや、呼びにくいな。名前は?」
こんな緊急時になんで名前なんか・・・
「・・・エクス・マキナです」
「マキナか・・・よし、わかった。お前も上から攻撃に参加してもらいたい。作戦はこうだ」
戦闘の目的としては、ただ敵船からの攻撃をやり過ごせればいいらしい。しかし、どうやら現在船のビーム兵器が使えなく、実弾兵器のみ使えるらしいのだが、敵船に対しての火力が足りていないようである。
その火力を補うのが俺の役目らしい。俺の役割は敵船をなるべく引つけたところで一発お見舞いするというものである。その武器が・・・
「その、バズーカってどこにあるんですか?」
「格納庫だ。今上へ出すから待っていろ」
そう言われ待っていると下の格納庫の扉が開き、コンテナに乗って運ばれてきた。
「実際は対戦機用バズーカなのだが、この船に今使える最大の火力がそれだ。ちなみに弾は1発しか詰められない。つまり、一発勝負だ。外すなよ」
なんて野郎だ!まだこれに乗って1時間弱程度の俺にそんなプレッシャーをかけるな!と言いたいところだが、こんな緊急時である。また後で今までのことを含めて文句を言ってやろう。
全くこの職場は少し前の時代なら(ブラック企業)って呼ばれているぞ。いや、これは軍だから(ブラック軍隊)だろうか?
と、心の中で文句を垂れている俺だが、当然はずす気はない。
バズーカに手を伸ばし、先ほどの銃のように掴むイメージをする。すると先ほどと同様にうまく持ってくれた。そして、コンピュータの指示に従い、砲身を肩に担ぎ、バズーカ専用の規定の構えをとる。
「ザザッ!敵船と20秒後に開戦!各員、準備せよ」
さぁ、そろそろ敵との立ち合いである。俺は浮かれていた気持ちを切り替え、もう一度戦闘に対して集中する。
「敵見えました!!」
その時、我が船の各部砲台から実弾による砲撃が開始される。それとほぼ同時期に敵船からも攻撃が開始される。だが、敵船はビーム兵器を使用しており、この船との火力の差はかなりある。そのため、敵船には決定的なダメージは与えられていないようである。苦しい状況ではあるが、ついに船同士のすれ違いの瞬間が訪れた!
「エクス!今だ、撃てーーー!」
「了解だ!パワハラ艦長!!」
俺は敵船の後方火器を狙って、バズーカを撃った。
その結果は・・・
見事に命中!!
これで敵船は後方から攻撃できなくなり、逃げる我々の船を追撃できなくなった。
通信装置から司令室の喜びの声が聞こえてくる。どうやらこれで本当に安堵できるようである。
「エクス、よくやった。だが、先ほどの発言の続きは後で聞かせてもらおうか」
「あ、はい・・・」
チッ!聞こえていたのか。だがまぁいい、とりあえずこれでひと段落だ。
こうしてようやく東京での戦いが終わった。気持ちが落ち着いた俺は戦機を収納するために、船の格納庫へと向かったのであった。
本当にこれで東京編は終了です。
次の12話からは台湾補給編が始まります。そこでは、主人公と様々な人たちとの新しい出会いが、見えてくる敵の陰謀。そして、新たなる戦機が・・・
っと、少年漫画みたいな次回予告で締めさせてもらおうと思います。
それでは引き続き(戦機戦記/senkisenki)をよろしくお願いします!!
と書いてはいますが、閑話が入るので少しだけお付き合いください。




