モール・リア
楽しんで下さい
モール王国は千年以上の歴史ある国です。農業と歴史の国とも呼ばれています。国民も皆勤勉で、愛する家族と国の為に一生懸命働いています。
素晴らしい国ですが、悪い所も多くあります。それは隣国のアッシュ王国との深刻な程の険悪の関係です。アッシュ王国はモール王国と同じく長い歴史を持ちます。それと同時にモール王国との戦争の歴史が多くあります。建国から長い間停戦と開戦を繰り返してきた両国には埋め難い深い、深い溝が刻み込まれています。
両国は長い間戦争をしていますが、驚く事に今まで力の均衡が崩れた事がないのです。
その理由はただ一つ、英雄と呼ばれる存在が深く関係します。
両国は必ず均衡が崩れそうな時に英雄と呼ばれる存在が現れます。現在の英雄は、アッシュ王国は『傀儡の魔女』マキナ・バーサス、『剣王』ハス。モール王国は『軍王』ガーザス
そして、『闇の魔女』モール・リア、私なのです。
モール王国の第二王女として生を受け、偶然恵まれた闇魔法を用いてアッシュ王国を何度も退けてきました。
しかし、戦争へ参加する程このままではいけない、という気持ちが高まり、アッシュ王国との永久停戦を成し遂げる為動きました。
賛同する人も多く父である国王からも前向きな意見を貰い、これから停戦に進むと思っていました。
まさか、国から裏切られると思いませんでしたが。
アッシュ王国が再びモール王国を攻め入った時に闇魔法を使う直前に仲間から魔封じの手錠をつけられた。
停戦に賛同した仲間から。
私が「何故?」と聞くと、仲間は「アッシュ王国は滅びなければならない、それを邪魔する逆賊を消すだけだ」と笑いながら話した。
その後は攻めてきたアッシュ王国に、人権を迫害されると言われる奴隷捕虜になった。
運送される間ただ、何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?ーーー
ーー民を思って戦争を止めようとしたのにーー
何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?ーーー
ーーー命を賭けてこの国を守ってきたのに
ーー何故?
心が壊れているとも気付かずに何度も何度も自問自答を繰り返した。
いつの間にか自問自答を辞めていた。
ふと周りを見ると、世界が白と黒しか残ってなかった。
私は失ったのだ。民への慈しみも、国を守る義務からも、信頼も、忠義も、地位も、力も、名誉も、権力も、祖国も、誇りも。この白と黒以外。
牢屋に入れられると、牢屋の前には醜い男がいた。その目は私からまた何かを奪おうとしている目だった。
(あぁ、私はこの男に残されたものさえ奪われるのだろう)
不思議とこの時はすぐに納得できた。そして気付いた。
私には最初から何も残っていなかった、とーーー
その男は突然現れた、いや、正確にいえば醜い男の隣にずっといた。
その男は不思議だった。
奴隷捕虜である私へ一切の興味を持たずに、遊んでいたのだ。
食事と排泄以外では関わろうともしなかった。
それも一週間以上。
幸運かそれとも壊れたのか、その一週間がとても、とても今までで一番安心した。
けれども、やはりそれはただの夢だった。
牢屋に入れられて一週間後、遂に拷問が始まると聞いた。
安心感も何もかも、自己防衛の為に錯覚した幻だと。
拷問の日、その男は牢屋のドアを開けた。
その男は何か話していたが、よく聞こえなかった。
ただ、不思議な男が気になり尋ねた。
「………貴女…………何するつもり?」
言葉がうまく出せなかったが、そう尋ねると男は、不思議そうな声で、
「特に何も?」
「逃げ出すとは考えなかったの?」
私はは手錠をつけてはいるが、何処かに鎖が繋がっている訳ではなかった。
「なるほど!気付きませんでした!!」
「……は?」
「いやはや、そんなこと思いもしませんでした!貴女はとても賢いのですね!」
「……え…」
訳のわからない男は楽しそうな声で話していた。
「全く、娘さんが困っているよ」
時折、男と話していたであろう女性の声が聞こえた。
「そりゃいけない、すみませんね闇の魔女さん」
「……え、えっと……」
「まぁ、そんな賢い貴女だから今日の拷問がどんなのか分かってますよね?」
「………」
知っている。その拷問がどれだけ屈辱的なものになるのか。
訳のわからない男は更によく分からないことを言った。
「けれども、なんと!今ならそれを軽・減・す・る・魔法のお守りを差し上げます!喜んでいいですよ!」
何故この男は敵である私を守ろうとするの?
その後、彼らは何か話していたがよくわからなかった。
何故バレたらタダでは済まないことをするのかその疑問が頭を埋め尽くしていた。
しかし、男に話しかけられて我に返った。
「そりゃそうか。兎も角、このイヤリングでも付けてくださいな。いいことがあるかもですよ?」
そう言って、男はイヤリングを付けた。
「そうそう、この事は秘密ですよ?」
ふと、訳のわからない男に振り回されている事に反発したい気持ちになり、
「……バラしたら?」
誰にも話した事がない本来の喋り方で聞いた。
その答えに男は楽しげに「貴女が悲惨な目に遭うでしょうね」とーーー
その後そのイヤリングは醜い男に不思議とバレなかった。
拷問室に連れて来られると醜い男が私の目隠しを取り、服をすぐに剥ごうとしたそのとき
バチッ!
「あふうぅダァううんぎゃあ?!?!」
豚の様な赤ん坊のような叫び声を出しながら………、確かに醜い男は醜い姿をしていた。
ただ、それよりも私は隣で醜い男が気絶している横で大爆笑している男に目を奪われていた。
これが彼『ハール』との出会いだった。
〈補足〉
メルバ・スティーブをモール・リアが『醜い男』と話していたのは、彼の鼻呼吸がキモかったからです。