12. 『新たな衝撃』
「ぇ……っ? どうして私の名前を知ってるんですか?」
フルネームを当てられて目を丸くする。
「それは……っ。こほん、……たまたまよ。あなたの学生証でも見たんじゃない?」
学生証……。ニィナさんに見せたことあったっけ……?
ニィナさんは続けて言う。
「ロタネ、さっき助けてくれたことは感謝するわ」
「へっ? う、ううん。大丈――」
「それで聞きたいんだけど、さっきのは何? 杖も持ってないのになんであんな魔術が撃てたの?」
彼女は私の方に近寄って来た。
「そ、それは……、そのう……」
「それは、なによ?」
詰問に視線をふらふらとさせるがニィナさんはそれを許さない。
顔をぐっと近づけると、嫌でも視界に入るようにした。
答えあぐねた私がもごもごとしていると、ふいに軽い振動が地面から感じる。
「な、なんか揺れてません、か……?」
「ごまかすつもり? そうはいかないわ。私はあなたがきちんと答えるまで――えっ?」
揺れ出した地面に彼女が顔をあげる。
振動がだんだんと大きくなっていくにつれ、木々が揺れ、鳥たちが慌ただしく飛び立っていく。
――来る。
そう予感した直後、すぐ真横で大木が倒壊し衝撃音が耳をつんざいた。
砂埃と土塊が舞い上がり、――それでもなお音は静まらない。
次から次へと大木が倒れ続け、辺りはもうもうと煙が舞う。
気が付けば、私たちは地に伏して身体を密着させていた。