名も無き兵士の物語
*注意*
この作品は、戦争に賛成をする等の政治的主張は一切含んでいません
このお話は、私個人での反戦目的での作成です
それを理解した上で自分でも理解出来たと思う方のみごらんになってください
私は、夢を見ているのだろうかそう思うような光景が目の前には広がっていた。
赤、とも白とも言えないような閃光があたりには飛び交い光に伴って発生しているであろう「バン」や「ドン」のような音が私の視界を占領していた。
その光景に恐怖を感じないものは無いだろう敵も味方も
いや、感じない者は、あった、あたりに散乱している、かつて人であった肉片、人の形を留めている死体
この二つは、恐怖を感じることは無いだろうか
私は、走馬灯のような物を見ていた。
かつて、見ていた夢のような世界
家族とともに腹一杯の米を飯にありつくことの出来たまるで夢のような世界
もう、この世には存在しない世界
あったのかも怪しい世界
私は、もう末期なのかもしれない、もしかしたら生きていないのかもしれない
目の前には、目に光が無いボーとしている日本人がいる
この人は、誰だろう、そう思い
「大丈夫か、生きているか」
と話しかけた、そうして気付いた、これには、もう意識なんて物は存在しないことに
それに気付いた私は、恐怖した。
最早、そんな事にすら気付くことが出来ない自分に
このような状況を作り出した世界に
死んでしまっている人間に
私が戦いに無駄な事を考えているといつもなら鉄拳が飛んできていただろう
だが、今は飛んでくる事など無くなった。
鉄拳を飛ばしてくる上官の頭が吹き飛び、肉の塊となったのだから
だが、私には、物が飛んできた。
飛んできた物は、いつもの冷たく硬い拳では無く
暖かくヌメヌメとして、吐き気を催すような鉄の匂いを発する紅い紅い血が私には降りかかってきた。
目の前の死体に跳弾した弾が当たって頭が吹き飛んだ。
この死に方をしていった者達は、何人いるのだろうか
突如としてこの疑問が腹の奥の奥から滲み出るように、沸騰してくるように沸いてきた。
もう、私は、狂ってしまったのだろうか
それとも最初か狂っていたのだろうか
分からない、最早この戦いで散っていった者、未だに戦い続ける者
その誰しもが分からない事だろう
私は、好奇心に駆られてだろうか
それとも、正義心、もしくは、忠誠心
私にも分からない何かに突き動かされるように頭を塹壕の外に出し敵を覗いてみた。
何時間か、いや、それとも何分前だろうか
突撃の号令がなったのは、その時には、何千といた兵士は今や数十といないのではと思う程に人数を減らしていた。
すると
「万歳」「大日本帝国万歳」「皇国に栄光あれ」
等の叫び声、雄叫びだろうか、それとも悲鳴なのだろうか
分からないが聞こえてきた。
その後には、バン、バンと何度も何度も銃声が辺りに響き渡った。
その声の隙間、隙間に米軍の意味が分からない言葉、叫び声が響いてきた。
多分、万歳突撃が成功したのだろう
もしくは、炙り出すための演技だろうか
そんな事を確認しようなんて馬鹿はここにはいなかった。
私の周りには、死体かブルブル震えている生きているのかそれとも死んでいるのかが分からない者、
飢餓に苦しむ者、仲間を殺して喰らおうとする者、私と同じように頭が可笑しくなってしまった者
しかいないのだから誰も確認なんぞには行くことも無ければいける者もいない
見方の増援だろうか、それとも敵の増援どちらか分からない音が聞こえてきた。
その瞬間に私の近くには、焼け爛れた軍服を着た、ぐちゃぐちゃの人間もどきが墜ちてきた。
どうやら、敵の増援だったらしい
なんて、運が無い、どうやら私達は此処で死んでしまうようだ。
日本から遠く離れた
太平の海の上の小さな小さな島で
わざわざ守る必要があるのか
それすらも怪しいこの島で
私は、母と父、娘、嫁を置いて先に逝ってしまうらしい
なんて親不孝者なんだろう
もしくは、あの方達は、最早、私の事など忘れてしまわれたか
あははは、私はどうしてこのような事を考えているのだろうか
もう、本当に頭が可笑しくなってしまったのかもしれない、本当の鬼になってしまったのかもしれない
もしくは、此処に来る前から頭が可笑しい鬼だったのかもしれないな
私の口からは、何故だろうか、自然と笑い声のような物が溢れ出していた。
何故だろう、こんな悲惨な状況なのに
何故だろう、こんなに止められないんだろう
塹壕内で私の笑い声に気付いた者も多かっただろう
現に乾いた、冷たい、自分でも何が可笑しいのかも分からない
そういった笑い声が段々と増え始めていた。
もう、皆狂ってしまったのだろう
いや、狂っているからここまで生き残れたのか
現に耐えきることが出来なくなった新兵が九九式有坂を前に向けて
鳴き声のような、叫び声のような
「万歳」
と言う声が聞こえてきた。
その後には、必ず「バン」という乾いた辺りに響く狂気的な人の精神を壊すことだけに注力したような音が響いてきた。
私達のような狂ってしまった者はこの声に慣れているんだろうか
皆、新兵と違い何も感じていない虚無の目を戦闘機が飛び交う空に向けていた。
この中の何人が死んでいるのだろうか
生きているのだろうか
そんな事は、誰も分からないだろう
自分でも自分が生きているのかそれとも死んでしまっているのかが分からないのだから
辺りに響く音、充満する血、泥、草の匂いでついに頭が可笑しくなり
大きな大きなどこから出すのかが分からない、
いや、忘れてしまった笑い声が聞こえてきた。
段々とその笑い声が増える中でもう一度増援のような音が聞こえてきた。
その瞬間自陣側から大きな閃光が敵陣へと飛んでいった。
どうせ、九七式中戦車チハだろう
直ぐに散ってしまう
あれだろう、期待をするだけ無駄だ
「ドン、ドカーン」
のような音と伴に熱い空気が塹壕内に入り込んできた。
チハが死んだ
早いな、相手には何がいるんだ
シャーマンかそれとももっと違う何かなのだろうか
気になり覗いてみたらシャーマンだった。
じゃあよっぽど乗っている奴が馬鹿なのか、弱いんだろうな
まぁゴミみたいな訓練期間しか無かったんだろう
この戦争は、いつ終わるのかそんな事は分からない
そうだ、いっそのこと降伏でもしようか
そうだ、そうしようそう思っていると先に考えていたであろう者が手を挙げ降伏の姿勢をしながら出て行った。
すると、米兵は、武器を取り上げた後に髪に銃を押しつけ引き金を引いた。
「バン」「バン」「バン」
三発の銃弾が降伏しようとした者の頭部を貫いた。
死んだだろう、降伏も許して貰えないのか
そうだ、いっそのこと散っていた者達に習い最後の賭けにでてみよう
そう考えていると「大日本帝国万歳」この叫び声と伴に旗を持った男が突っ込んでいった。
あいつも耐えかねたのだろう
男が撃たれ手に持ってた旗が塹壕内に墜ちてきた。
その旗は私の前に墜ちた。
塹壕内の視線が私に集まり、早く突っ込め突っ込んで死ね
と言っているように感じた。
私は、旗から旭日旗をちぎり取り九九式有坂の銃身に引っかけ旗のようにして
私は、塹壕から飛び出した。
「大日本帝国万歳、万歳」
こう言いながら飛び出すと塹壕内の人々も事務的に
「大日本帝国万歳」
と叫び突っ込んでいった
すると、私の太股に機銃の弾が突き刺さりそのまま突き抜けていった。
痛みにもだえ倒れると味方が私に躓き転んでいった。
機銃の掃射が始まり私以外死んだだろうか、
よく分からないが私は生き残った。
全員殺ったと思ったのだろうか新兵らしき者が確認する所を付くようにし
私は、「万歳大日本帝国に栄光あれ」そう叫びながら米兵の首を刺し切り裂いた。
もう一人殺れるそう思いふり帰ると私の目の前には銃を向けてきた米兵がいた。
九九式有坂の引き金に指を掛け狙い敵を撃ったがどうやら奴の弾も当たったらしい
腹から血がにじみ出したきた。
私は殺れているか、を確認する為に前を向くと頭が吹き飛んだ兵士がいた。
どうやら殺れていたようだ。
私もこのまま死ぬか
あと、一人持って行くそう思い立ち上がろうとしたところ
M一ガーランドを持った男に頭を狙われていることに気付いた
私も有坂銃を向けようとしたがどうやら遅かったらしい
奴の銃の先端が光った。
どうか、どうか、家族とあの世で会えますように
そう考えた後、私が思考を頭を回すことは一度も無かった。
どうでしょうか、戦争の悲惨さを伝えられるようにと考え書かせていただきました。
前書きの通りですが、私は、戦争に賛成などとは一切思っていません。
上記の通り、反戦目的です。
戦争の恐ろしさを私を含め知らない世代が増えてきて体験した世代が亡くなっているので書いてみました。
平和な世界が続くようにと願っています。
追記
過度な惨虐表現が含まれてると思う方はツイッター等手段は何でもいいので御一報下さい
削除、または、表現の変更をいたします。
チート
というキーワードを付けている理由はあの状況で二人殺ったからです。
あと、感想もしくはレビューをいただけると嬉しいです。