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第4話 如何にもめんどくさそうな女王がいる国に俺は向かう

身も心もハイスペックだと分かった俺は、最近怪しい動きをしていたという国、ネモフィラ王国に向かう準備をしていた。


あれから俺は、レイニが残した本を読み、呪文を覚えた。どうやら、この世界での俺の脳みそはどこぞのOSにも勝る処理能力らしく、あの本は一度目を通しただけで全て記憶する事が出来た。


前世界でのこの能力があれば、俺は将来お札に印刷される事になっていたかもしれない逸材だったよ…無念…


本によると、能力が高い者ほど呪文を詠唱する必要がなくなり、頭の中で念じる事で魔法を発動出来るようになるという。


そして俺は、ネモフィラ王国へ向かう準備をしていた。

準備といっても、これは荷物の準備ではない。心の準備だ。情けないぞ、俺…


そもそも俺は、前世界での記憶を全て持ち合わせているが、それはアイツらも同じなのだろうか。その場合とそうでない場合、かなり対策が変わってくるのだが…。なんか俺、こういう肝心な事ばっかレイニに聞き忘れているような気がするな。ダメだ。これは、社会に出て取引先から肝心な部分聞き忘れて上司に「何度言ったら分かるんだ!これだから最近の若者は!」とか言って怒られる仕事出来ない奴フラグだ…そうでない事を願いたい。頑張れ、俺…。



とりあえず、潜入に向かう報告とネモフィラ王国がどんな国なのかという質問も兼ねてバロールを呼ぶことにし、俺はバロールに教わった呼び出しの魔法を使った。


まずは、手を前にっと…

俺はここで初めて魔法を使うのだが、一か八か呪文を詠唱せず頭で念じてみた。


(我に仕える者よ。我の前に姿を現せ。召喚魔術(インヴォカーレマギーカ))


すると、目の前に魔法陣が現れバロールの呼び出しに成功した。俺、マジでハイスペックだ!今なら春葉の成績にも勝てる気がする!





「バロール。いきなり悪いな。」


「いいえ。とんでもございません。いかが致しましたでしょうか。」


俺はバロールに、潜入捜査に出かける事と、ネモフィラ王国がどんな国なのか聞いてみた。


「ネモフィラ王国…あの国は、エルフが多く住んでおります。エルフは、魔法を使用する事ができますので、国中で結界を張り外部から敵の侵入を防いでいる、と聞きました。キセツ様の特殊スキルがあれば問題はないかと思いますが。


それと、先日申し上げましたネモフィラ王国が怪しい動きをしている件について、精霊から報告がありました。なんでも、王女に仕える者たちがキセツ様の事を嗅ぎまわっていたようです。くれぐれもお気をつけて。」



ある程度の事を聞けたので、俺は早速ネモフィラ王国へ出発した。

俺は一応魔術師なので、空間移動(テレポート)も可能なのだが、何でも一度足を踏み入れた場所でないと移動はできないようで、今回は精霊の森まで城に仕えるゴブリンたちの馬車で向かう事となった。


そういえば、ネモフィラ王国は女王の意向で子供たちの教育にはかなり力を入れているらしく、国の至る所に学校やら塾が立っているらしい。しかも、どんな種族でも無料(タダ)で通う事が出来るらしく非常に良心的なスタイルらしい。学問に力を入れて、どんな種族でも無料(タダ)で入れる…世話焼きでお節介な国だな。

如何(いか)にもこの国を作りそうな奴を俺は知っていたが、ここはあえて目を瞑った。




暫く馬車に揺られていた。


「ありがとう。この辺で降りるよ。帰りは空間移動(テレポート)で戻るから心配しないでくれ。」


「キセツ様。この森を抜けると我々の領土から外れ、危険です。お気をつけください。」


俺が馬車を降りると、馬車を運転してくれたゴブリンはそう言って城まで帰って行った。



俺は森の中を歩き、ネモフィラ王国の入り口を探した。




「キセツ様?」


振り返るとそこには、小さな妖精?がいた。もしかすると、森に住む精霊ってやつか。


レイニの妙な記憶改竄(きおくかいざん)のお陰で、誰が初対面で誰が知り合いなのか分からなくなっている俺は、相手を傷つけないように気をつけてながら口を開いた。


「お前は…」


「精霊のリアンカです。お初にお目にかかります。この度、ネモフィラ王国の調査に参加した者です。」


よかった!!初対面!こいつはやりやすい!


「そうだったのか、ご苦労だったな。ところでネモフィラ王国の入り口を探しているのだが、どこにあるか知らないか?」


「ネモフィラ王国へ行かれるのですか!?あの国は、外部の者が城までたどり着くのは不可能だと言われています。何でも、外部からの侵入を防ぐため、非常に頭のキレる女王様が侵入者が簡単に城まで辿り着けぬよう道を迷路のように設計されたとか…」


ますます怪しい奴が一人浮かんでいるのだが…。俺の思い当たる奴の性格上、相当用心深いだろうな。アイツなら。あくまでもアイツなら、の話だが。


「キセツ様、もしよろしければ、城までご一緒してもよろしいですか?私は一度、城まで潜入しておりますので案内が可能です。」



「本当か!?それは助かる。ありがとうな、リアンカ。」



こうして俺は、リアンカと一緒にネモフィラ王国へ歩き出したのであった。


潜入捜査に参加していたという精霊リアンカと一緒に城を目指す事になった主人公キセツ。

ここで待っている女王が誰なのか薄々感づいている様子だが、果たして無事に何事もなく城まで辿りつけるのか!フラグじゃないよ!?

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