第3話 まずは、我が国を散策しよう
「俺は今持つ全ての力を使ってアイツらを惚れさせる!」
目には目を。歯には歯を。そう考えた主人公キセツは、早速自分の国の散策も兼ねて、他国に攻める準備を始めるのであった。
と、決まったはいいものの…
ー「そこまで決まれば私はもうお役御免ですので。後は任せましたよ。【キセツ様】」
とか言って、レイニは消えるし…
これから作戦会議をしようっていうのに。
そういえば、俺この国の王なんだよな?王がいるなら、それに仕える者やこの城で働く者、もっと言えば国民だっているはず。ちょっとこの部屋から出て、まずは自分の国を散策してみよう。にしても部屋、出口の扉まで何メートルあるんだよ…。
そうして俺は、城の中を見て回った。
「キセツ様!こんなところに!なぜ城の中をお一人で徘徊されているのですか!不用心ですぞ!」
俺の前に信じられないくらい大柄な男(?)が現れた。何だこいつ、人間…ではないな。もしかして、ゲームとかによく出てくる…
「バロール!?」
「はい。キセツ様どうされたのですか?驚いた顔をして。お部屋を出る時は私をお呼びくださいといつも言っていますのに。いつ他国が攻めてくるかもわかりませぬので。護衛致します。」
いや、今日初めて会ったんだが…
ってそうか、レイニの奴が消える前「ちなみにこの国の者の記憶は、既に改竄済みでございます♪ 社会において、面倒な自己紹介、この世界に至った経緯説明などは不要ですのでご安心ください!」…とか言ってたっけ。いや、俺はみんなに自己紹介して欲しいわ!
つかバロールって、いい奴だったっけか?確か「魔眼のバロル」なんて異名を持つとか…確かにレイニが色々な種族もいるとは言っていたが…。大丈夫なんだろうか。今のところいい奴そうだが。とりあえず、城の中を案内してもらうか。
「悪いが、城の中を見て周りたいんだ。バロール。お前も一緒に来てくれ。」
「かしこまりました。キセツ様が城を巡られるなど初めての事ですから、私がご案内致します。しかし、珍しいですね。キセツ様が城を見て周りたいなんぞ。もしや、新しいメイドの偵察ですかな?さすが、キセツ様はお手が早いですな!」
いや、ちょっと待て!アイツどんな記憶の改竄した!?なんか俺、バロールのこの調子見る限りプレイボーイなんだが!?
それから俺は、城の奴らと挨拶をした。
メイドや兵士、料理人なんかもおり、それから城の外を回った。
街には、驚くほど多くの者が住んでおり、バロール言うには、この国は魔法を使用できる種族が多く集まっているとのことだった。
道行く人々は、俺を見るなり深々と頭を下げ挨拶をしてくれた。改めて、俺、この国の王…なんだな。
「ところでバロール。他国の動きはどうなんだ?」
俺は、早速アイツらがいるであろう国についてバロールに聞いてみた。
「今の所大きな動きはございません。ですが、東部にあるネモフィラ王国が何やら怪しい動きをしているとの報告が上がっております。既に我が国の精霊達に捜査を依頼してあります。」
なんでも、俺の国の周りの森は俺たちの領土らしく、そこに住む精霊たちがネモフィラ王国に潜入してくれているという。
「仕事が早いな、バロール。さすがだ。そこで、俺もそのネモフィラ王国とやらに出向きたいのだが良いだろうか?」
「出向く…というのはさすがに危険かと。ですが、キセツ様の特殊スキルを使えばなんとかなるやも知れません。」
俺の特殊スキル…確か透過効果ってやつか。しかし、具体的にどういう効果なんだ?あの時はそれどころじゃなかったからな…肝心な使い方を聞くのを忘れてた。とりあえず、後で一人で色々使ってみるか。
「そうか。わかった。もし出向く際は、お前に報告させてもらう。なら、俺はこの辺で城に戻るよ。ありがとう。」
そう言って俺は城に戻った。
さて、まずは魔法の使い方だが…あれ?こんなところに手紙?
【キセツへ
そういえば、魔法の使い方を教えるのを忘れていましたー!魔法は、手を前に出し、呪文を唱えるだけです♪呪文は、この本でお勉強してくださーい!あ、後、特殊スキルの透過効果とは一定時間自分を透過できるというスキルです。これで潜入捜査もバッチリですね☆じゃ、頑張ってくださーい! レイニ】
自分を透過!?つまり透明人間って事か?それってもう、他国には超簡単に潜入できるってことだよな?ただ、一定時間との事だから、用心しないとな。まあ、潜入できたとしてもそっからは、俺の実力次第だしな。後は、この本で魔法を覚えるとして…
そうえば、この世界に来てまだ自分の姿を見ていない。まあ、見た目は変わっていないか。
…とは思ったが、あわよくば凄いイケメンになってないかなぁなんて期待があったのだろうか。念のため、俺は鏡を見た。
「えっ…なんっじゃこりゃーーーーーー!」
バタン!
(バロール)
「キセツ様!何事ですか!?」
そう。察しの通り、鏡に映った俺は、見た目こそ元いた世界と全く変わっていなかったのだが、フィルターがかかったかのように超絶イケメンに見えるではないか!これはあれか?この世界でのイケメンの定義は俺なのか?!見た目が少しも変わっていないというのは残念だが、これはすごい!レイニのやつ、こんな所までハイスペックにしてくれるとは!全く。最高に気の利く奴だ。今度会ったら、このイケメン顔で壁ドンでもしてやるぜ!
なんて調子に乗りながら、俺はネモフィラ王国へ潜入する準備を始めるのであった。
身も心もハイスペックだと分かった所で、俺はまず東部に位置するネモフィラ王国に潜入調査をすることにした。この国には、アイツらの内、誰が王として君臨しているのか…。
まず、秋風でない事を祈るばかりであった。