03ストーリー
「いや〜ごめんねー。うちのニコが迷惑をかけて。わたしの名前はジェシカ。君たちは高等部の新入生だよね?・・・うん、これからよろしく!」
さっき追いかけていた、紫がかった黒髪の子がそう言ってきた。ちなみに追いかけられていた桃色髪の子は未だに頭を鷲掴みにされている。
「あぁ、よろしく。俺はアイズ。こっちはヘレナだ。田舎から出てきたばかりで右も左も分からないから、色々教えてくれると助かる。」
俺が紹介したからか、ヘレナはお辞儀するだけにとどめている。
「ほら、あんたもちゃんと挨拶しな。ニコ。」
ジェシカがそう言うと、桃色髪の子、ニコは抗議した。
「ちょっと!!ジェシカがいつまでも馬鹿力であたしの頭掴んでるからできないんでしょ!・・・もう。えっと、あたしはニコって言うの。そこのでかいだけが取り柄の女とは心外だけど幼馴染みなの。」
「誰がでかいだけの女だ!あんたがちっこいだけでしょうか!」
「っな!そんなことないもん!べぇーーだ!!」
「あ、ちょっと!!どこ行くの!!...あーあ、また逃げられちゃったか。ほんとごめんねーうちの子が。」
ジェシカは本当に申し訳なさそうにそう言った。
「いや、俺たちなら大丈夫。それよりも、なんでニコのことを追いかけてたんだ?」
「それはね、ニコがさっき言った通り私たちは幼馴染みなんだけど、ニコは小さい頃からいたずら好きでね。今日も私がお昼寝してる時に、あの子が顔に落書きしようとしてたところをちょうど捕まえようと思ったら、逃げられちゃって。追いかけてたところだったんだよ。」
「そ、そうだったんだな。仲が良さそうでなりよりだ。」
「あんなのでも根はいい子だからねー。本気で怒るに怒らないんだよね。」
ジェシカは男勝りな出立ちに、苦笑いを浮かべている。
「でも、そういうことなら、ニコを追いかけた方がいいんじゃないか。すごい早さで逃げていったし。」
「そうだね。ありがと、お二人さん!……あっ、新入生なら事務室があそこの玄関を通ったすぐにあるから、そこで手続きしてくれると思うよ。それじゃあ、また今度ね!」
「ああ、またな。」
「また今度。ジェシカさん。」
俺とヘレナがそう言うと、ジェシカはニコの逃げ去っていった方向に体を向け爆速で砂埃を撒き散らしながら去っていった。
「嵐のような人たちだったな。」
「そうね。でも、楽しそうな人たちでした。」
兎にも角にも、俺たちはジェシカの言っていた事務室を目指すのであった。
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