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山間の集落

作者: 金城sora

子供の頃、ど田舎に住んでいた。


家と家の間が500メートルくらい離れてるようなど田舎だ。


山の中腹の、山間の集落のような。


田んぼはあっても自分たちの分だけを作るようなそんな大きな物じゃなく、田んぼで使うトラクターなんかも皆で買って皆で使っていた。


周りの山の木は見渡す限り杉の木ばっかりでほとんどの家が木こりで生計をたてていたらしい。


と言っても、集落には30件程しか住んでいる世帯は無かった。


全員が顔見知り、そんな集落だ。


家自体は沢山あるが、その殆どが空き家で誰も管理しておらず廃屋と化していた。


大人には「いつ崩れるかも分からんから廃屋には入るな」とよく言われた。


中にはイタチやタヌキが住んでいたりする家もあった。


近所には俺を含めて子供は6人。


年齢は皆近かった、俺が真ん中で1才上の男の子が1人、俺と同い年が3人。


後は1才下が2人。


男子が4人、女子が2人。


年が近かったのでいつも6人で遊んだ。


皆で川や山にいったり、田んぼでカエルやザリガニを採ったりした。


小学校の高学年くらいになると親の言い付けを守らずに廃屋に忍び込んで遊ぶ様になった。


ある日、いつもの様に6人で遊んでいた。


その日も廃屋の中に入って鬼ごっこやかくれんぼをしていた。


廃屋の中限定の鬼ごっこやかくれんぼが楽しかったのだ。


季節は夏の終わりに差し掛かった頃だった。


俺達はいつも外が若干暗くなってきて家の中が薄暗くなっても遊んでいた。


少し暗いぐらいが廃屋の中の鬼ごっこは楽しかったんだ。


廃屋はいつも違う場所で遊んだ、フィールドが変わると鬼ごっこはいつも新鮮で楽しめた。


その日も外が薄暗くなり、家の中のあちこちにどんどんと暗い濃い影ができ始めていた。


俺が鬼にタッチされてでかい声で


「くそー」


っと叫んだ瞬間だった。


外から婆さんの凄まじい剣幕の怒鳴り声が聞こえてきたのだ。


さっきまできゃっきゃっ遊んでいたのに皆こおりついたように動けなくなった。


一瞬、大人に見つかったと思って焦ったのだ。


外から聞こえる怒鳴り声は一向に収まる気配はない。


徐々に6人全員がおかしいと思い始めた。


声は出していないが、6人は雰囲気や目顔で「ナニかおかしいぞ」と会話を交わした。


それは婆さんが怒鳴っている事は分かるがナニを言っているのかはサッパリわからなかったからだ。


それに、集落の人は全員知っている。


それこそ、声を聞いただけで誰か分かるくらいに。


皆、思ったのだ。


(この声は誰だ?)


その怒鳴り声がずっと続いている。


6人で目だけをお互いにキョロキョロと動かして恐怖で固まった。


声はいつの間にか家の中にも響き渡っていた。


どんどん異様さが増していく。


もう、外で怒鳴っているのか。


家の中で怒鳴っているのかも分からない。


家の中の暗い影の中からナニかが顔を出すんじゃないかと気が気じゃ無かった。


恐怖で声も出さずに涙を流した。


途端に声がすっとやんだ。


6人でゆっくりと外へ出てみると誰もいなかった。


勿論、家の中にも誰もいない。


俺達はそれ以上遊ぶ気にはなれずに家路についた。


皆が無言で走って家に帰った。


俺は家に帰ると母親に玄関で顔を見るなり


「入ってくるな!」


と怒鳴られた。


台所へ行って塩を持ってくると俺に向かって手にいっぱい握った塩を3回も4回もぶちまけられた。


「あんた古い家に入って遊んでたでしょ!」


と言われた。


俺が正直に認めると


「いい、よく聞きなよ」


母親は霊感のある見える人だ。


母曰く、


こういう集落の家で廃屋になっている家は殆ど全てが家の中でお年寄りが孤独死を迎えた家ばかり。


そして、そういう人達は外へ出ていった子供達の誘いも断って御先祖様から受け継いでいる家を離れられなかった人達。


家にも土地にも思い入れの強いお年寄りが家の中で孤独死を迎えている事が多いから、そんな家に入ったら怒られるに決まってる。


さっきも、アンタの後ろに凄く怖い顔をしたお婆さんがいた。


と。


そしてこう続けた、タヌキやイタチのいる家なら入っても大丈夫だよ、ああいう動物は文字通り(空き家)にしか住み着かないからね。


皆はそれ以来、絶対に廃屋には入らなかった。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 懐かしい感覚をありがとうって感じです。思い出したのは小学校の裏にはの防空壕と吉田の憲ちゃんかな。 [一言] その裏山、猟奇殺人があったんですよね。五年ほど前。
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