第二次黒歴史、序章 4
ある程度離れた路地で、先程の話をそのまま伝える。恐怖を感じてしまうかと思ったが、サクラは一つ上だった。
「フッフッフ、我が下民共に臆すると? むしろ蹴散らしてくれる!」
本当にこの子『遊び人』なの? 普通に戦士だろ?
さて、かなりガラが悪い所に来てしまったが、今すぐ危害を加えられそうな感じでもないし、レベル的にはなんとかできるからそのまま突っ切ろうと思う。
そうして歩いていると、一軒の大きな店を見つけた。よくある酒場だろう。定番どころだったためひとまず入ることにしたが、後ろからついてきてたサクラは、表面上は平気そうだが肩が震えてはいた。
「おうらっしゃ……なんだガキか」
失礼な、と思いつつカウンター席に座る。テーブル席のやつらがサクラを変な目で見ているので手短に済ませる事にした。
「……単刀直入に、仕事を探している」
「なんだ? その女売りにきたのか?」
図体の高い強面の店主が冗談に聞こえない口調で話してきた。
瞬間だった。俺は頭で考ある前に手が出ていた。実際には相手の胸ぐらを掴み、そのままカウンターから俺の背後に向けて円を描くように持ち上げ、そして地面に叩きつけた。胸ぐらはまだ掴んでいる。
その一連の動作に俺もだが、テーブル席の奴らもワナワナしだした。
まあいいか、と俺は続ける。
「なんか仕事ない? あ、もっと叩きつける仕事なら喜んでするよ?」
と冗談に聞こえなかっただろう言葉に、店主は「まいった。俺が悪かった」と謝ったためようやく胸ぐらを離した。
その後店主は「イテテ……俺を軽々と投げたやつは久々だった。気に入ったぜ兄ちゃん!」と、なんか気に入られた。まあ害はないか。