第二次黒歴史、序章 3
「……待った」
違和感を感じた俺は彼女を止めて物陰に隠れる。どうも白に近づくにつれて騒がしくなっている。賑わい的意味ではなく、騒動的なものを感じて警戒することにした。
よくある最近のラノベだと、意外と魔界より人間が敵になるケースは多い。考えすぎかもしれないが、しないよりかはだいぶマシだろう。
「なあ、何か聞くこととかに特化したスキル持ってないか?」
「えーと、アクティベートされているのは【全鑑定眼】だけだね。あ、でも『スキルポイント』でアクティベートできるスキルの中に【聞き耳】があるよ」
「『スキルポイント』……」
と本をめくると、どうやらレベルアップ以外で人伝の知識ならアクティベートできるようで、『スキル解放可能一覧』と《スキルポイント 80》があった。いくつかのスキルも出ていたが、ほとんどグレー化してたが、どうやら【聞き耳】は解放可能だった。
「じゃ、俺が解放するから、ひとまずそのポイントは残しとけ」
「え、でも……」
サクラは申し訳なさそうにするが、俺はポンと肩を叩く。
「……いいか、今後俺と行動するとは限らない。もしかしたら俺が先に消えるかもしれない。だからそんな俺を見てなんとか有意義な使い方をしてくれ」
「それって……」
「お、何か聞こえそうだな」
早速【聞き耳】を使用してみるとかなり性能がいいようで、特定の場所や人の声が良く聞こえた。
『……やはり姫がいないらしい』
『報告じゃ、召喚されたうちの二人もいないそうだ』
『……一応予測の段階だが、少し手荒でも捕まえろってさ』
『おいおい、確か召喚者には常人離れした力があるんじゃなかったか?』
『だからこうして厳重武装だろうが』
「……あー、つまりそうかー」
一度切り、一息つき………。
「よし、退散!」
俺はサクラの手を引いて即刻裏路地内に走り去った。
「………………」