第二次黒歴史、序章 2
「ハッハッハ! やはり我が古の友は異なる地でも我に匹敵する強者なのだな!」
彼女を引き連れ一度王都に戻ったが、やはりなんと言うか、よく分からなかった。
まず言うとあの短剣の空振り時、恐らく『剣圧』と言って差し支えない見えない刃がコバルトに当たった。その刃が四散し、さらに細切れにして跡形なく消したんだ。うん、言ってて分からん。
「……これか」
俺はレベルが上がったこともあり今一度本を今度は1ページずつ丁寧に読み進めてみると、どうやら196ページに『駆け抜ける剣圧』と書かれた技名の説明があった。いや196ページってなんだよ。どうやら《すんごい刃が前方に向かってとぶ》とか抽象的だし。『駆け抜ける』いらねーし。つーか厨二病理解してないだろこの本は。
「……さて」
とはいえ、レベルは3つ上がり、どうやら一つで10、三つだから30割振れるようだ。
「サクラはどう振った? あ、俺が振ってからの方がいいか?」
と問うと、彼女は悲しそうな顔をした。
「え……私振られるの?」
何を勘違いしたんだ、と慌てて素に戻った彼女にちゃんと説明する。まさか振ったら泣かれるとか、正直嬉しい気もするがそれは後にしよう。
「えーと、わた––––我も同じぐらい上がったから、DEXとVITに10ずつ振って、後は残したよ」
「そっか。確かに残しといてもいいかもな」
と言いつつ、正直先ほどの『剣圧』を考えると特に攻撃面は問題なさそうだし、防御も勇者の一撃耐えてるから、俺は敏捷と、あまり上がらないだろう運をそれぞれ10振り、念のため筋力と体力に5振りした。
……ところでだが、スキルが一つ解放されていた。一見、ある単語だけ見ればこの先有効な強力スキルだが、前の単語でだいぶダメにしている。すげーな日本語、たった二言余計だとこんなに悪化するんだから。
「クロ、私『全鑑定眼』ってスキル出たよ!」
素のままの彼女に対して、純粋に祝福し、そして自分のスキルを少し憎く思いながら、
「そっか。俺はちょっと低いが『鑑定眼』はなんとか手に入れられたよ」
と、喜んだふりをするが、正直掠れた声しか出なかった。
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比良 玄
level.4
job 【厨二病】
VIT 15 (体力) INT 10 (知性)
STR 15 (筋力) AGI 20 (敏捷)
DEX 10 (器用) LUK 20 (運)
SKILL
・厨二鑑定眼(Max)
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・厨二鑑定眼
隠しアイテム属性【厨】を見分けることができる。
なお、スキルレベルMax時【全鑑定眼】も付随して得られる。
・全鑑定眼
アイテム各種の名称、属性、各種解説機能がある。毒、麻痺、睡眠、呪い等の見分けにも使える。
【千里眼】とは別種。
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