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『厨二病』が異世界を救うまで  作者: ヨベ キラセス
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第二次黒歴史、序章 1

 俺はその後、一応聞いてみたが、今まで見たことない職だそうで詳細不明であることと、『ステータス』が見れない理由も今までなかったらしく不明。

 異世界来て早々悲しくなった俺は、単独でそそくさと城を後にした。もちろん誰にも言わなかったはず、だが......。




「あ、その揚げ物一つくださいな!」

「おう嬢ちゃん、持っていきな」

 と一つのお金で二つ受け取ったサクラは片方を俺に差し出した。

「なんで来てるの?」

「フフフ、古より我々は契約の元を果たしたマイ・テスタメント、どんなものでも引き剥がすことは難しいのだ!」

TESTAMENTテスタメントには《聖なる契約》という意味があるから既に重複してんぞ。それに《遺言状》って意味もあるから『私の遺言』だがなんだそれ?」

「おー物知り! 流石我がテスタメント!」



 この会話だけでもわかるだろうか? 彼女は現在進行形で『厨二病』を発症しているのだ。しかし少し浅いためまだ引き返せる程度で、まあ、昔の俺を知るからか『同類』と見られているのだろう。

 しかしこの病気を知る俺は、彼女に「俺の前で以外ではするな」と言っているため、今まで普通に擬態できていた。しかし、非日常にいる今、彼女の枷は脆くなっている。

「いいか。俺にあまり関わらないでくれ。これ、もし元の世界に帰っても後々苦労するから」

「えー、別に我はこのままの我でいいのだが」

 羞恥心が薄いのも特徴だろうか。だから俺が出来るだけ最小限に留めているのだ。

 しかし不満そうに彼女は俺の前に立つ。


「それに我と主は.........『付き合っている』んだしさ、ね?」

 と言葉にした本人が顔を真っ赤にしていた。


 事実、俺とサクラは付き合っている。中3の卒業式の日に告白され、その頃から若干厨二化しつつあったため、彼女の矯正を目的に付き合うこととなった。

 一応その日に「外では普通でいる」条件をのんで、外では羨まれる彼女を、学校では完璧委員長を、そして家では......厨二化している。

 どうしてこうなったかは教えてもらえないが、俺は彼女の社会的地位を守るため付き合っているが、正直この欠点のおかげで付き合えているため複雑だ。



 しばらく歩いていると、ようやく王都の外に行く門の前についた。

 お役人に、事前に渡されていた通行証を見せるとあっさり通してくれた。

「フフフ、我が右手が疼くぞ!」

「包帯巻いてから言え」

 とある程度進んだところで、俺は小さなポシェットの中身を探る。中はどうやら見た目に反してかなり物が入る仕組みだった。俺はその中から俺の机にかかっていたリュックを取り出した。

「それがどうしたの? 多分この世界じゃ」

「いや、『ステータス』が開けないがこうして役職は分かったんだ。もしかしたら......」

 とまさぐる。すると、見慣れぬ本が一冊出てきた。

「これ、学校の教科書、じゃねーよな」

「うん。と言うより大きさ的には文庫だね」

 まさしく文庫サイズ。俺はペラっと一ページ目をめくり、

「......ビンゴだ」

 一ページ目には、俺のステータスが書かれていた。



 _________________________________



 比良ひら くろ


 level.1


 job 【厨二病】


 VIT 10 (体力)   INT 10 (知性)  


 STR 10 (筋力)  AGI 10 (敏捷)  


 DEX 10 (器用)  LUK 10 (運)



 _________________________________



「見た感じチートではない、がこれなら全員初期設定か」

「そうだね。私もそうだった」

「て事は、おそらく0が召喚前の俺たちって事かな」

 と考察するが、やはりイマイチよくわからんな。あいつも10程度のSTRであんなに出るのか? そして同じく10で防御出来るのか?

「......数字だけが全てではないだろうが、ここはレベル上げが必須だろうな」

 どうやらあっさり通行証を差し出したあたり、俺やサクラを戦力に入れていないのだろう。職が全てなのだとしたら、ひとまずここで暮らせるほどには早めにレベル上げする必要があるだろう。

 でないと、『勇者』に、この国に、何されるか分からないから。

 二ページ目からは白紙。一応ボールペンで描こうとしたがすぐ消えることから、おそらく後々に増えていくのだろう。

「......さてと」

 俺は本を閉じ、もう一つ見覚えのない短剣を取り出す。こちらは見た目だけのように見える武器だが、ないよりはマシかと構える。サクラもまた、支給された金で買った《スチールソード》を構える。


 前方に、仁王立ちのコボルトが現れた。


「ま、やってみるか」

 笑われたままでは彼女に申し訳ないし、俺はかなり珍しくやる気に満ち溢れている。


 コボルトに短剣を振る。


 短剣はリーチが足りず空振る。あ、やべっと思った。しかし––––




「.......これって」

「......この事は現地点秘密だ。いいか?」

「......うん...」

 俺たちは今、明らかよく分からない事態にいる。しかし今この事を理解する事はできず、誰にも話すわけにはいかない秘密を共有することとなった。


 コボルトが、森が、跡形なく消えた現象を......。

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