断じて進行形ではない! 4
「つぎ、どうぞ」
数分前から面接じみたものを始めた。
「では名前から」
「『西木 幸樹』です」
幸樹はステータスウィンドウを見つつ黙々と質問に答えた。どうやらそっちからは見れないようだが、何か水晶を通して記録しているようだ。
「職業は」
「......『詐欺師』です」
意外な返答にクラス中がざわめく。そんな中幸樹は動揺せず続ける。
「名前は」
「『藤林 木影』」
短刀を何処かに隠す少女がマクラーで口元を隠している。
「職業は」
「.........」
一瞬俺と目があい、口を開く。
「......『僧侶』」
「名前は」
「『日野 桜』です」
「職業は」
「えーと......」
とまたも俺を見られる。特に指示しているわけではないが、ひとまずうなずく。
「......『遊び人』です!」
コウキ以上の驚きを与えた。
今のではっっきりしたが、どうやら召喚前のことは何も加味されていないのだろう。コウキはクラスのまとめる存在で、コカゲはいつもあまり人と接しない、サクラは才色兼備。この世界で職業に引きづられて性格変わらないだろうか。
「名前は」
「『笹ヶ峰 大我』!」
と思っていると、自信満々なあいつがいた。
「職業は」
「『勇者』だ!」
おい、いらん奴にヤバイ職業与えてねえか! 不公平だなオイ。
すると、面接官全員顔を見合わせて、王が歓喜していた。
「勇者様がようやく誕生された! さあ勇者様! 我々と共に来てください!」
「お、おう! あ、こいつら連れていいか?」
「どうぞ! さ、行きましょう」
そういい、取り巻き数名連れたタイガは勝利者面して部屋を去った。
「......次。最後あなたですよ」
と内心葛藤している間に最後となっていた。あ、注目ありすぎだろ。緊張するな。
......そこで一つ問題があったことに気がついた。
「......あの、俺『ステータス』開けないんですが?」
「......はい?」
あ、タイガとは違う驚愕の仕方されている。なんかヤバそう。
面接官は見合わせ、そして何か考えたのか水晶を持つ。
「では、この水晶に手を乗せください。もし本当になんの恩恵もなければ反応は皆無でしょう」
この時の俺を、もし戻れるなら止められただろうか?
もしかしたら無能と思われるのが少なからず嫌だった俺を止められただろうか?
いや、多分無理だ。可能性が残っていれば試すだろう。
ああ、哀しいかな、俺はこの日の事をしばらく後悔することになるのだから。
「...............『厨二病』?」
数秒の沈黙後、クラスが初めて爆笑する立役者になったのを俺は誇れない。