勇者のいたずら
ここまでほぼリューク君の視点で書いてます。
いくら待ってもレーツェルさんの魔術は展開されません・・・・どうして?
レーツェルさんも
「あ、あれ?どうして!」
魔術が発動せず焦ってます。
「ははは!あんたが魔術ぶっ放すのは分かってたからな!対策は取らせてもらったぜ!」
勇者様は笑いながらレーツェルさんに言い放ってて。
そしてイディオさんは
「おお!流石は賢者モードの勇者だ!3発かませばすっかり賢者だな!」
・・・・何が3発なんですか?賢者モードって何ですか?それに勇者様は賢者じゃないですよね?
「た・・・・対策って何よ!」
レーツェルさんは困惑しながら勇者様に聞くけれど
「ほれ其処の足元にあるだろう?」
勇者様はレーツェルさんの足元を指さして。
レーツェルさんが思わず下を見ると
「取り敢えず寝とけ!」
そう勇者様が言うが早いか一気にレーツェルさんの懐に潜り込みお腹に拳を叩き込んでます。
「ギャッ!」
あ、レーツェルさんが吹っ飛んでます。なんて事を!
「おいリューク、鎧は回収したんだろうな!」
服を着つつ勇者様が僕に聞いてきます。
「あ、はい・・・・それより・・・・レーツェルさん・・・仲間になんて事をするんですか!」
「・・・・そんな事はどうでもいい、早く出せ!」
今まで見たことも無い剣幕で、勇者様は僕に鎧を出すように言ってきます。
レーツェルさんや聖女様たちも心配ですが、僕は勇者様の荷物運びが任務。仕方が無いので地面に2体の鎧の残骸を並べて出していく事に。
全部出し終わると勇者様が
「これで全部か?」
「は、はい、全部です・・・・。」
僕が返事をすると勇者様は僕の肩をたたきながら
「うーん、ご苦労さん。」
そうにこやかに言ったと思ったら、僕は後方へ吹っ飛んでいきました。
え?なんで?背中に衝撃を受けつつ、倒れてるのに気が付くと、腹にも激痛が。
「は!とっとと出せよ、どんくさい奴。」
偶然か必然か,僕はレーツェルさんの隣に吹っ飛んだみたいです。
体中が痛い・・・・レーツェルさんは・・・・気を失ってるみたいで動いてない・・・あ、胸が上下してるから、呼吸はしてるみたいだからちゃんと生きてる。
勇者様は鎧のヘルメット?頭の部分を両手で持って僕たちに近づいてきます。
するとイディオさんが
「お、勇者!何するんだ?」
何か嬉しそうに勇者に話しかけてる。
「ここに雑魚が2匹いる。そして鎧が2つある。やる事はひとつだろう?」
そう言って勇者様はイディオさんに片方の頭を放り投げて、イディオさんはそれを受け止め
「お!いいなあ!で・・・・これ、装着するとどうなるんだ?」
「さあ?これ装着した奴見た事ねえし!そう!これは実験だ!」
・・・・全身痛くてほとんど何も考えられない。今わかる事はここから動かなければいけない、という事だけ。せめてレーツェルさんを守らなくては・・・・
「お、なんだリューク、動けるんじゃないか!荷物運びのくせに。まあそこで寝ててくれ。」
イディオさんは僕にそう言うと、蹴ってきた。
「おー!よく飛ぶなあ!それにしてもイディオご機嫌だな!やっぱりビーチェのおっぱいはお前好みだったから?」
「おう!ロリ巨乳最高じゃねえか!そう言う勇者もああいうの好きだろう?」
「ふっ・・・・アルフォンシーナ最高!あのスラッとした体型たまらん!」
「おう!今回ははずれが1人混じってたが、2人はそれぞれ好みで今回は当たりだったなあ!」
「ああ、この豚か!コソコソ何か嗅ぎまわってたようだが、何勘違いしてるのか知らんが・・・・まあ今回はこれ、被ってくれ!」
あああああ!勇者様がレーツェルさんにヘルメットを被せる・・・・止めてくれ・・・・
「おっとリューク、お前も被れよ。」
目の前にヘルメットが。抵抗しようとしたけど戦士の力にかなうはずもなく、あっさりヘルメットが僕に被されていく。
その瞬間・・・・頭が割れるような痛みが走り、熱い!痛い!そして何も見えない!
「おいどうなった?」
「どうって言ってもな・・・・っておい勇者!後ろ!」
「ううぉ!」
そう聞こえたんだけど・・・・
何か腕や脚に違和感が。
そう思ったら、今度は全身が焼けるような感覚に!熱い!潰れる!!!
「おいおい何だこりゃ?ヘルメット装着したら他のがくっついたぞ!」
「素晴らしい!しかも!壊れた鎧が修復してくじゃねえか!すげ!どうなってんだこりゃ?」
イディオさんと勇者様の会話がかろうじて聞こえるけれど・・・・ここで僕は意識が遠のいていくのを感じた。