レーツェルさんとダンジョンを歩く
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レーツェルさんが前を歩いていく。
その後ろを僕が歩いてるんだけど・・・
うーん・・・・何故かレーツェルさんの歩く後ろ姿に見覚えがあるような・・・・?
そう、ふと思ったけれど、いつもレーツェルさんは僕より後ろを歩いてたんだよね。
だからレーツェルさんの歩く姿なんて、今まで見てなかったけれど。
「??何?リューク、何かあった?」
気が付いたのか違うのか、レーツェルさんが僕に振り返って聞いてくる。
「いえ、何にも・・・・」
「そう?まあいいけど?」
そう言ってまた歩き出すレーツェルさん。
・・・・・
うん・・・・なんとなく?雰囲気は似てるんだよね。ただ・・・・彼女は腰まで届く金髪の、ほっそりした体型で、背は僕より少し低めな・・・・何よりも驚くのはその美貌。孤児の僕が言うのもなんだけど、今まで出会った中でも飛び切りの美貌。最初見た時は人形と思ったほどだもん。
で、普通なら一生僕なんかと口もきかないような・・・・
僕がレーツェルさんと似ていると思ったのはこの国の皇帝陛下の長女でエリザヴェータ・リーネルト皇女。僕より年上の18歳。
ひょんなことで知り合った彼女だけれど・・・・目の前のレーツェルさんは、黒髪で、髪の毛は長いのかどうか後ろで団子みたいに巻いてて、何より体型は・・・・ちょっとぽっちゃり?ふくよかとでも言いうのかな?姿だし、何より僕より背が高い。それに・・・・正直平凡な顔立ち。うーん・・・・でも雰囲気が似てるんだよね・・・・。あ、似てると言えば多分年齢ぐらい?
そう思ってしばらく歩いてると、突然レーツェルさんが僕に聞いてきた。
「ねえリューク、貴方はなぜこのパーティに参加したのかしら?ひょっとしてあの勇者に憧れがあったとか?」
今まで僕はパーティのどのメンバーとも親しく口をきいた事が無かったから、レーツェルさんがそう聞いてきて驚いた。
「えっ?えっと・・・・正直に言わないといけないですかね・・・?」
「あら違うの?言わなくてもいいけど、言ってくれると嬉しいかもね。」
そう言うレーツェルさんが僕をじっと見つめてくる。
「あ、あの、レーツェルさんこそどうして?」
「質問に質問で返すのかしら?まあいいけど。じゃあ私が答えたらリューク、貴方も答えてくれるのかしら?」
「あ・・・・うん・・・」
レーツェルさんの話だと、皇宮で宮廷魔術師見習いだったんだけど、皇帝陛下に呼ばれて急遽勇者パーティに加わるように命令されたようで。
どうも勇者パーティは勇者様とイディオさん以外が皆去ってしまったようで、穴埋めとして加わるようにと話があったみたいで。
あ・・・僕と同じ?。
「あ、何か僕と似てますね。僕も皇帝陛下に言われて、勇者様のパーティに加わるように言われたんです。どうやら僕のスキルの所為みたいなんですけれど、はっきり言って戦闘には向きませんし。単なる荷物運びですよね。」
そう僕がレーツェルさんに言うと、
「あ・・・・ごめんね。でも荷物運びってだけではないと思うよ?ただね・・・・あの勇者、今まで国から収納カバン何個も借りてたんだけれど、ダンジョンに繰り出す毎に壊しちゃってね。流石に収納カバンなんて大国でもそうそう持ってなくって。もうこれ以上勇者と言えども渡せなくなっちゃって、そこで貴方が選ばれたってわけ。確か空間スキル持ちでしょ?空間スキルって滅多に見ない超レアスキルだから。恐らくこの国でも貴方以外に居ないんじゃあないかしら?」
何故かレーツェルさんが熱く語ってくる。
「え!やっぱりそうなんですか?どこに行っても僕が空間スキル持ってるって言うと驚くんですよね。なので商人の方とかにはしょっちゅう荷物運びさせてもらってました。」
「でも勇者はあなたの加入に猛烈に反対したのよね・・・」
「えっ?何故ですか?」
「はーもしかしてそんな事も知らずに勇者パーティに加入したの?」
何やらあきれたように言うレーツェルさん。
「え?だって勇者様でしょ?やっぱり戦闘力がないから反対したんじゃ?」
「貴方、勇者の事勘違いしてるようだから言っとくけど、あいつは最低の屑野郎なのよ!そもそも何故リュークの加入に反対したのか、そもそもわね、あの2人は・・・・勇者とバカ戦士、あの2人は幼馴染って知ってるわよね。あの2人はどういう訳か馬が合うようで仲がいいのよ。で、2人以外は女以外受け付けないって言ってね。」
「え・・・どういう事ですか?」
うーんよく分からない・・・・何で女の人以外駄目なのかな?それにレーツェルさんは勇者様の事をよく思ってないみたいだし。
「あいつらは・・・・自分たち以外は女で固めて、その・・・・色々と・・・・・なのよ。」
「えっと・・・・何が色々となのですか?」
何だろう、色々って?
「そんな事言わせないの!女の敵なのよ!そう、この際だから言うけど、パーティに加入した女性に手を出してるらしいのよ!」
真っ赤な顔をして言うレーツェルさん。
「手を出すって?よくわかりません。」
・・・・睨んでくるレーツェルさん。よくわからない・・・・
「つ・・・つまり・・・・その・・・・性・・・・性的に手を出してるのよ!」
「性的にって?」
つまりあれかな?女性をエッチい目で見て手を握ったりするのかな?
「・・・・リューク、わざと言ってる?」
「えっと・・・・よくわかりませんが、あれですか?よく孤児院では貴族の方が来訪されて、見た目のよさそうな女の子を身請けしてますが、そういうやつですか?」
そう、孤児院には女の子が少ないんだよ。先ず見た目の良い女の子は、成人までに貴族や金持ちが連れて行ってしまう。たまに見た目可愛らしい女の子っぽい男の子もいなくなってしまうけれど。
「えっ?孤児院って・・・・そんなんなんだ・・・・どこの貴族よそんな事してるのは。おとう・・・・皇帝陛下に伝えなければ!」
何かとんでもない事をいったような気がしたけれど・・・突っ込もうとしたけれど、どうやら目的地に着いたみたいで。
「ほら見てリューク、鎧があったわ。」
そう、そこには僕たち・・・・主に勇者様が倒した鎧の魔物の残骸が落ちていた。
名前だけですが新たな登場人物が出てきましたが、リュークとの出会い等の話は次の章になります。