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Blowin' In The Wind

猛毒をラッパ飲み!!

『底なしブルー』より

合コンの後、家に着き妹達に飯を作り、食後の一服をしてる時に忘れ物に気がついた。


「やべ…バイク忘れた。」


ボーリング場に向かう際にタマの家に置いていった、自分のバイクの存在を忘れるくらいテンパっていたのかと苦笑いを漏らす


現在午後8時


タマは合コンから帰ってきてるのか、それともどこかでシッポリキメてるのか…

なんとなく連絡するのにためらいながら、もう一本タバコに火を点ける


火を点けたところで携帯からレッドツェッペリンの『移民の歌』が流れた


タマからの電話だ

くわえタバコで電話に出る


「あいよ」


『おう。お前、バイク忘れてったろ?バイクのキーも家に置きっぱなしだったぞ。届けるか?』


「いいんか?つーか、お前合コンは?」


『さっき解散して今家着いたからよ。着替える前だから持って行っちゃる』


「わりぃな。頼むわ」


『おう。ビールくらいは用意しとけよ?』


「わーったよ。んじゃ、後でな」


『おう』



心なしかタマの声のトーンが少し低かったのは、合コンが早く終わったからか、それとも何か別の理由があるのか

モヤモヤしながら、タバコをもみ消し、自分の部屋から出る


リビングに行くと奈緒と理緒が仲良くテレビを観ていた


「今からタマ来るから」


2人にそう言い、ダーツの矢を手に取り投げる


インブルを狙ったつもりが的外れな1のシングルに刺さった


舌打ちをして、矢を構えた時に服を引っ張られたので振り返ると理緒が俺を見上げていた


「どした?」


「……今日、なんかあった?」


俺の目を見据え質問する理緒

テレビを観ていた奈緒もソファーから俺の顔を覗いている



「………なんでもねーよっと」


少し間を置いてダーツの矢を放る

今度は狙い通りインブルに刺さる


それを見て理緒は「…それならいいけど…」と言い奈緒の横に座りテレビを眺める


ただ元カノとキスしたっつーだけなのに、罪悪感と煮え切らない感情がぐずぐずと俺を包んでいた


小さくため息をついて矢をもう一本放ったところでインターホンが鳴った


玄関へ向かいドアを開けるとタマがコンビニ袋をぶら下げ立っていた



「おう。悪ぃな。あがれよ」


「あぁ。失礼ぶっこきお邪魔します」


中に入るよう促すとタマは靴を脱ぎ捨て、リビングへ向かう


つーか、靴ぐらい揃えてから入れよ



「タマ兄いらっしゃい」


「いらっしゃい」


奈緒と理緒はソファーに座ったまま、顔だけ向け挨拶をする


「よっ!ほれ、おみやげやるよ」


タマはコンビニの袋からカップアイスを取り出し2人に渡す


奈緒と理緒は微笑んで「ありがとー!」とお礼を言ってアイスを食べ始める


「良かとよ。良かとよ。おいちゃん、2人が喜んでくれて、ほなこつ嬉かばい。はい、アクマ君ゴミ」


と言い、俺にコンビニの袋を渡すタマ


「俺の分は?」


「ねぇ」


「ねぇの!?」


「ねぇよ」


「なんで?」


「金がねぇ」


「死ね」


「死なねぇ」


ねぇねぇうるせー!

ゲシュタルト崩壊起こすわ!!


「はぁ…もういいわ。部屋行くぞ」


ため息をつき、冷蔵庫からビールを二本取り出し部屋へ向かう


缶ビールを開け一口飲んでから、タバコに火を点ける



「んで、合コンはあの後どーなったよ?」


タマはチラッと俺を見てから、ビールをグビグビと飲む


「別に〜。お前があんな事したせいで、大した盛り上がりもせず終わったよ。つーか、聞きたいのは合コンの結果じゃねーだろ?」


タマの言葉に返答を詰まらせる俺


「泣いてたよ」


「え…?」


「玲奈が」


俺の返答を聞く前にタマが口を開いた

聞かされた言葉はモヤモヤしていた俺を、さらに混乱させる


泣いていた?玲奈が?



「なんで玲奈が泣いてたんだよ?」


「知らねーよ。知らねーけど、あの場に居たんだよ。美鈴とカオルと一緒によ」


タマはタバコに火を点け、空になった缶を片手で潰す


なんだ?この罪悪感…


玲奈と付き合ってる訳でもないし、悪いことした訳でもないのにタマの言葉に動揺している俺がいる


「俺もしくじったよな〜。美鈴に見られるとはな〜。そろそろ幼なじみの状況から脱破しようと思ってたのによ。アイツ、無駄に固いからなぁ」


自虐的に笑い、俺の飲みかけのビールを飲むタマ


タマが初めて美鈴に対しての気持ちを口にしたのにも驚いたが、俺のモヤモヤは広がるばかりだ



「で、お前は結局どーすんだ?優香ちゃんとよりを戻すのか?それとも、玲奈か?奈津美ちゃんか?紗季ちゃんか?まだフラフラすんのか?」


俺の目を見据え言葉をぶつけるタマ

言葉が出てこない俺は、目を伏せタバコを大きく吸い込む


「ま。俺もお前の立場だったらなかなか決めれねーだろうな。みんな、いい娘達だし」


落ちてる俺に言うタマ


情けねーなぁ。俺は。



「はぁ…。底なしブルーな気分だぜ… つーか、俺は選べる立場なのかなぁ?優香はともかく、他の娘達は俺と付き合うとかっていう気持ちはあんのかなぁ?」


好意は持たれてるとは思うけど、それは友達としてのだと思う。

俺自身、あんまり異性として意識してないし男女交際とかってのは考えた事もなかった



「お前、マジニブいのな… 好きじゃなかったら男友達がキスしたくらいで泣くかよ。ばーか」


タマは呆れ顔で俺に言う。

言われてみればそうかもなぁ


「バカ言うな。でも、それは玲奈に限りだろ?なっつんや紗季ちゃんがそうとも限らねーだろう?」


「ぜってぇ泣く!!間違いねー!賭けてもいい!

言いたくねーけど、ライブん時のお前カッコ良いもん。魅力的だよ。女ならほっとかねーよ。ムカつくけどな!!」



お前だってライブん時カッコ良いじゃねぇかよ。


そう言おうとしたけど、やめた。

ムカつくから


力説された俺は照れくさくなって、タバコをくわえて「そんな事ねーよ」と流した



「お前が言ってることが当たってるとしたら、なんか意識しちゃいそうで嫌だなぁ。つーか、玲奈にどんな顔すればいいんだろ?」


「知らねーよ。普通でいいんじゃね?なんか聞かれたら答えりゃあいいだろ。んじゃボチボチ俺ぁ帰るわ」


「あれ?帰んのか?」


立ち上がるタマに声を掛ける

いつもなら泊まらせろとか言うのに


「誰かさんのせいで、女とヤれなかったからな。ムラムラしてんだよ!家、帰ってオナニーするわ!!」


タマは俺を指差し睨みつけドアを開ける

女とヤれなかったのは俺のせいなのか?


「タマ!これやる。今日はサンキューな!」


玄関で妹たちに見送られてるタマに、『明日花キララ』のエロDVDを放る


受け取ったタマはパッケージを眺めて「楽しめそーじゃねーか」と鼻で笑い帰っていった。


「お兄ちゃんの変態。あんなの持ってたんだね」


「きしょい…」


タマの後ろ姿を見送る俺に妹達は辛いコメントを浴びせてくれました

つーか理緒ちゃん、きしょいて…



俺、ホントに女の子に好かれてるのかなぁ…

理緒の一言に自信なくしました

カンニングするくらいなら、はなっから勉強なんかするな!!

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