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Question?

ヤンマガでカイジが復活しましたねぇ〜!                         めっちゃ嬉しいっ!!!!

ライブ当日


俺達インブルのメンバーは誰一人喋る事なく佇んでいた


聞こえるのはタバコの葉が焼けるジジッという音と時計の秒針の音


前回のライブ以上の緊張感

重い空気が漂う楽屋内で沈黙を破ったのはタマだった



「なぁ… ホントに俺らでいいのかよ?」


珍しく不安そうなタマの声に全員が俯く

全員がビビっていた


ビビって自分達の演奏が出来ない

それは音楽をやる人間が一番してはいけないダセェ事。そんな事は分かっている。


でも……



「なんで!?なんで+25℃がゲストなんだよ!?」


+25℃ 今、インディーズシーンでかなり勢いのあるメロコアバンド

各国の有名なパンクバンドの前座や全国ツアーをするぐらい人気のバンドが今日の俺達のライブに参加する



そんな事が急に決まったのは、ついさっきの事


リハを済ませた俺達は楽屋に戻るとstand outの面々と見覚えのある3人組の姿


その3人が+25℃と気づいたのはミスターだった


「な、なんで+25℃がいるっちゃりゃらりゃ」


落ち着けミスター!興奮した時の前田太尊みたいになってるぞ。



って……   ええっ!?



ミスターの一言にギョッとする3人



「マ、マジで+25℃だ!なんで!?なんでここにいるっちゃりゃらりゃ」


「うわ!?マジヤベーっちゃりゃらりゃ」


「うわっ!うわわわ!!すげぇ!すげぇっちゃりゃらりゃ」



+25℃を指差しながらガクガクと震える俺達



全員、前田太尊みたいになっちゃった

それぐらい大興奮してるっつーの



「オイ!落ち着けお前ら!」


ゆーたさんに頭を小突かれ全員、落ち着きを取り戻す


「キャーっ!ヤベー!!+25℃だ!ウオーっ!!」


落ち着いてない奴がいた……


1人ワタワタバタバタしてるミスター

マジうるせー!イスにダイブしてるし…


+25℃の方々もドン引きしてるじゃん!恥ずかしいからやめてよー!!


「あ。すいません。あのバカは無視していいんで…」


「お、おう…。さっきのリアクションからして知ってると思うけど、+25℃の皆さん。まぁ俺らの先輩なんだ!」


拓哉さんが頬を掻きながら言う。

先輩っスゲェな!有名人が先輩って!



「君たちが噂のインブル君?スゲェエネルギッシュなライブするんだって?」


+25℃のギターボーカルのシマノさんが手を差し出してくれた


スゲェ!握手してるよ!+25℃と握手してる!


「えっ!?いや!?全然そんな…なんつーか、まだ二回目のライブだし…」


しどろもどろになる俺。カッコワリー!


「そっか!よっしゃ!俺達も今日、ライブ出んぞ!!」


なにか決意したようにシマノさんは言う

その一言でその場に全員が固まる



「シマちゃん、マジ言ってる?俺、めっちゃ眠いんだけど」


+25℃のベース、ヨウスケ@さんがシマノさんに聞く


「いいじゃーん!昔を懐かしんで俺らも出ようぜぇ〜!ねぇ?しんちゃん」


シマノさんがドラムの慎之介さんに問いかける


「ん?いいんでか?」


眠そうな顔で答える慎之介さん

つか、マジで!?


なんかあっさり参加宣言しちゃってるけど、俺らめっちゃプレッシャーだって!!


つーわけで、本番一時間前にして緊張のピークを迎えてます


俺らは緊張でガタガタ


stand outの皆さんはリハ中


+25℃の皆さんは仮眠を取ってるし



「俺らがミスしたらstand outだけじゃなく+25℃にも迷惑かかるんだよな?」


ミスターがタバコを吸いながら言う


+25℃の大ファンのミスターが一番プレッシャーを感じているのかもな……



「なーにビビってるんだよ?小僧共!」


「ゆーたさん…」


リハを終えたstand outの3人がにやけながら楽屋に入って来る


「そりゃあビビりますよ…だって二回目のライブで、あんなビッグゲストが来るなんて」


「まぁ気持ちは分からんでもないけどな、客にしたら関係ないんじゃねーか?ゲストがスゲー人達だからってお前らが無難につまらない演奏していいって理由にはなんねーんじゃねーの?出る杭は打たれるけど、出過ぎた杭は打てねーんじゃねーの?」


ゆーたさんの言葉に全員がハッとする。


「俺らもう一回リハして来ていいっすか?」


「かまわんよ。」


「あざっす。お前ら行くぞ」


「「「おう」」」


俺達はもう一度会場に向かう


「ゆーたさん、俺らもうちょっとで普通に成り下がるとこでした。ありがとうございます。」


俺は楽屋から出る前にゆーたさんにお礼を言う


危なかった。一番なりたくないものになるところだった。




***


「ゆーた、ちょっと優しすぎるんじゃねーの?」


拓哉が俺に言う


「俺らアイツらに喰われるかもな?」


彰人も愚痴っぽく俺に言う


「気合いが入っていいだろ?これで俺らもダサいライブなんか出来ねーぞ!」


俺らstand outも、アマチュアのバンドとしてはかなり人気のあるほうだと思う。自主制作だがCDも何枚か出してる。卒業後は、インディーズのレーベルだが声も掛かったりしてる。


しかし、最近ライブをやっても何か物足りなさを感じていた。

前回のライブ『stark naked』でインブルのライブを観たときに感じた、『音楽やってるのが楽しくてどうしようもない』ってエネルギー

最近の俺達から失われつつあった、あのエネルギーをもう一度取り戻さなきゃ、音楽で飯なんか食えない。


だからアイツらにはアイツらのライブをして欲しかった。

もう一度、あのエネルギーを俺達が取り戻す為に…




***



「俺らダセェな…」



俺の一言に全員沈黙する



「ダセェ!ダセェ!ダセェ!ダッセェーッ!!!!ア゛ー!!!!!!!」


毛細血管がキレるくらいのシャウト


「ア゛ー!!!!」


「ウォー!!!!」


「ガァー!!!!」


全員で吼える


ビビってた心を吐き出すように俺達は叫んだ



「よく考えりゃあ最高のシチュエーションじゃねーか?」


タマが言う


「だな?どいつもこいつも喰ってやる!」


ミスターがガシガシと乱暴に頭を掻きながら言う


「ま。俺らが誰にも負けるワケねーんだけどね!」



かっつんも笑いながら軽口を叩く


「シャアッ!!全員、キンタマズキューンってさせてやんぜ!!」

神よ!俺を祝福しろ…!

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