Punk Rawk Show
やっぱりGreen dayはカッチョイーぜ!!
「ゆけ♪ゆけ♪タイガー♪タイガーマスク♪」
「うっさい!」
ライブまであと一週間と迫った今日
今日はタマの小ネタの小道具を調達しに『激安の殿堂』まで俺、タマ、美鈴、カオルの4人で買い物に来ています。
ちなみにミスターとかっつんはバイトです。まぁ興味ないだろうけど…
「さてアクマ君。今度は何で攻めようか?タイガーマスクかな?獣神サンダーライガーかな?」
「なんでもいいよ…」
「ミルマスカラスも渋いよー!」
ノリノリのタマとカオルに呆れ顔する俺と美鈴
つーか、選択肢はプロレスラーしかないのか?
カオルもミルマスカラスなんてよく知ってるな…
「つーか、カオルと美鈴もライブ見に来るんだろ?一緒に買い物に来たらネタバレじゃねーか。」
「別にタマのくだらないパフォーマンスなんか興味ないわよ。」
と言いつつマスクを物色する美鈴
手に持っているのは、『トモダチ』のマスク
興味津々に眺めてますけど、それお買い上げするの?目がキラッキラしてますけど…
「アクマ!これどーだ!?」
「メトロン星人かよ!!」
確かにインパクトあるけど、世代的にどうだろう…
ウルトラセブンに出てくる異星人なんだけど、美鈴もカオルもピンときてないし、作りがやたらとリアルで気持ち悪いし…
「ん〜。イマイチな反応だな。やっぱりアッチにするかぁ。」
タマは別のマスクを買いに売り場の方へ向かっていった
なんでもいいけど早くしてくれ。
「どーせ、また客席に投げるんでしょ?そんな物にお金かけるなんてタマもバカよね」
美鈴が呆れ顔で言う
「盛り上がるなら、なんでもアリでしょ?」
「前回は微妙なリアクションだったけどね」
「確かに… そう考えたら無駄遣いかもな」
一生懸命マスクを選ぶタマ(とカオル)を苦笑いで眺める俺達
真剣に選ぶだけ無駄なのにね〜
「「待たしたなぁ!」」
売り場をぷらついてた俺と美鈴に後ろから声をかけるタマとカオル
って、なんでお前らは仮面ライダーのマスクを着けてるんだよ…
「ライダー1号!」
「ライダー2号!」
どっちが1号で、どっちが2号だよ!?
「「トウッ!!」」
痛っ!跳び蹴りされた!
腕を組ながら俺を見下すデカバッタ2匹!うぜぇ!学生服着た仮面ライダーまじきめぇ
「タマ!カオル!恥ずかしいからやめなさい!!」
店内に響く美鈴の怒声
君の大声も恥ずかしいけどね。
「「はぁーぃ…」」
2人はしぶしぶマスクを外す
「ライブで使うのってライダーかよ?」
「違うに決まってんでしょ!コレはカオルが買ったから何となくだ!ライブに使う奴はその日まで楽しみにしてろ!」
そっすか。つーわけで、タマファンは乞うご期待!って、誰もいねーや!
「カオルも訳の解らん買い物するなよ…」
「てつ君には本郷 猛の良さが解らんですよ!」
そんなん解らなくてもいいよ…
つーか、リアルタイムで知らないでしょ?
ウルトラセブン然り、仮面ライダー然り…
「んなことより、アクマにプレゼントがあるぞ!」
タマは手に持っていた大きめの袋から赤い『何か』を取り出す
「んだよ?これ?」
「デッビールウィーング!」
「デビルマンの?」
「デビルマンの。」
「空飛ぶの?」
「空飛ぶよ。」
間髪入れずに答えてくるなよ。
カオルは俺の背中にデビルウィングを装着する
って、コラッ!
「なに着けてんだよ!」
背中から生えたデビルウィング
タマ、美鈴、カオルは大爆笑
周囲からもクスクスと笑い声が聞こえる
めっちゃハズい……
「鉄人!似合ってるわよ!プププ…」
「てつ君カッチョイーぜ!」
「ダッハハハ!アクマ、次のライブそれ着けて出ろよ!」
好き勝手言う3人
なんの罰ゲームだ!?外せ!コレ、外せー!
「こんなん着けてライブ出来るか!」
デビルウィングを取り外そうとするが、取り外し方がわからない…
「それ1人じゃ外せないよ。」
カオルが含み笑いで言う
ウソ?俺このまま?
タマとカオルが外してくれるはずがない…
「美鈴、コレ取って!」
「ヤダ!」
即答かぃっ!
お前はデビルマンの羽が生えた男と歩いて恥ずかしくないのか!?
「そろそろ帰ろうぜ!腹減った!」
デビルウィングを外してもらえず途方に暮れる俺を余所に3人はスタスタと店から出て行く
つーか、俺を置いてくな!
慌てて3人を追いかけるが羽が自動ドアにガンッ!とぶつかる
クソー!なんで自動ドアから出るのに横向きで出なきゃならないんだよ!
あ!アイツら走ってやがる!
「待てコラー!!」
「きゃー!デビルマンが襲ってくるー!!」
人ごみの多い街中をデビルウィングを着けた学生が走る
シュール過ぎるだろ。
糞が!もうヤケだ!
「デッビールカッター!」
「イテーッ!オメーなに投げてんだよ!」
「デビルカッターだよ!」
「バナナじゃねーか!」
俺が投げたバナナは見事タマに命中
あ?なんでバナナ持ってんだよ?って?
3人を追ってる途中に落ちてたんだよ!
道にバナナ落ちてるの初めて見たけどな
「オメーら何逃げてんだよ!」
「あはは…やっぱり変な格好してる男と歩きたくないっていうか…」
美鈴は苦笑しながら頬を掻きながら言う
だったら逃げずに外しなさい!
「タマ外せ!」
「だが断る!」
不機嫌丸出しでタマに言うが、拒否しやがった!
ならば……!
「デビールキック!」
「んがふ!」
俺の蹴りを喰らったタマはズザーッと吹っ飛んでいく
さすが『デビルキックは破壊力』と言ったもんだ。
「美鈴外してくれ。」
「あんたやりすぎよ…。」
引きつった顔で俺の背中の羽を取り外す美鈴
タマはカオルに枝でツンツンされてるし
はぁ…街中で何やってんだ。俺達は……
羽を外してもらった俺は倒れてるタマを2、3発小突き立たせる
タマがギャーギャー言っているが無視。
「ったくいいじゃねぇか…デビルウィング着けて演奏するぐらい…」
後ろでタマがブツブツ言いながら歩いている
ま、パフォーマンスとしては悪くないと思うけど俺がやるのはゴメンだ
駅までの帰り道を歩いていると駅前のライブハウスから音楽が聞こえてきた
「おい。アクマ…」
「ああ。アイツらの曲だな。」
ライブハウスから聞こえてきた曲
以前のライブで聞いたsweet Timeの曲
奴らは今ライブ中ってことか。
「ちょっと見に行くか」
俺はライブハウスに向かって歩き出す
会場の中は大人数の客で埋め尽くされていた
しかし、俺らのライブとは違う感じがした。
独特の熱気というか温度が伝わってこない
客は奴らの音楽に聴き入っている。
「うげっ!なんじゃこりゃ!?」
タマが俺の後ろからデカい声を出す
タマの一言で客が振り返り俺らを睨みつける
「アレって前のライブでsmeet Timeのことバカにしてたバンドじゃない?」
俺らに気づいた客のせいで会場がガヤつく
別にバカにした覚えはねぇけどな!
客が騒ぎだした事でsweet Timeのメンバーも気づいた様子だ
客にもメンバーにも睨まれる
ボーカルのこーへいは嘲笑したような顔をし、曲を始める
またもバリバリのラブソング
あ〜!聞くに耐えないな。
歌詞が重いし、押し付けがましい。
ま。世の中のラブソングなんて、そんなもんなんだろうな。
別に否定する気はないけど、俺は大嫌いだね。
俺とタマは舌を出しながらメロイックサインを作る
相変わらず不機嫌そうな顔するだけで何にも反応なしなのね。
奴らの曲に聴き入ってる美鈴とカオルの手を引き、会場を出る
名残惜しそうにしてる美鈴とカオル
「そんな良い曲だったか?」
「私は好きだけど…」
「ふーん。」
俺とタマは多分不機嫌そうな顔をしてるだろう
タバコを取り出し火を点ける
「あんなんライブじゃねぇよな。ライブってもっと熱くてうざってーもんだよな?」
少し寂しそうな顔で呟くタマ
俺達がやりたいライブはもっとグッチャグチャの一体感を持つライブ
耳で聞いて理解できる音楽じゃなく、訳の解らん感覚が体の訳の解らん所を刺激する音楽を聞かせたい
「俺達はラブソングみたいに1人に贈るケチくせー曲なんかやらないからな!俺の曲を聴いた奴ら全員、最高にハイって奴にしてやんぜ!」
「さすがアクマ!良いこと言うぜ!ロックンロールが死んだって思ってる奴らに逆襲だ!ラブソング?メッセージソング?全部ぶっ殺す!」
夕焼けに染まる公園で俺とタマはギャハハと笑う。
ラブソングは、ひと夏の恋の為になく蝉の鳴き声で充分
メッセージソングは、ジャイアン並みの歌唱力でも魂が入ってたら充分伝わる
だったら熱くなる為には、バカみたいなロックンロールだ!
ダイブ、モッシュ、ヘドバンなんでもござれの一体感と大爆笑と大爆発
俺らが音楽をする意味はそこにある。
「あんた達は音楽の事になると、やる気充分なのね。」
「てつ君達のライブ楽しみだぜー!」
呆れ顔の美鈴とはしゃぐカオル
「次のライブでsweet Timeの奴らも見にくるだろうから、奴らがビビるくらいの演奏してやろうぜ!」
「ったりめーよ!あんなお上品なライブなんか死んでもやらねーよ!」
こうして次回のライブに改めて気合いを入れた俺とタマだった
前回の後書きに『嶋耕作!大好きです!』とコメントしてありますが、本当は読んだことがありません。各方面に多数の誤解を招いてしまい、この場を借りて謹んでお詫び申し上げます。 なんじゃこりゃlml(゜Д゜)lml