Into you.
日に日に減るアクセス数… 実に寂しいね!!
初ライブから一週間
バイト、曲作り、酒飲み、ウンコして寝るのローテーション
「せっかくの夏休みだっつーのに、このダラダラ感はなんなんスかね?」
公園のベンチに座り、夏の暑さにうだりながらガリガリ君を頬張る
「なんなんすかね?じゃねーよ!オメー、呼び出しといてノープランかよ!?」
同じくガリガリ君を頬張りながら悪態をつくミスター
あんまり大きい声だすんじゃないよ。子供達が怯えてるじゃないの。
「だってぇ…ヒマだったんだもーん!タマとかっつんはバイトだしよ、ミスターだって、バイト無くてヒマしてたんだろ?」
「んぐ……。確かにそうだけどよ…」
まぁミスターの気持ちも分からんでもないが…
いつまでもむさ苦しい男2人で公園でだべってる訳にもいかねーか
「うしっ!ミスター行くぞ!!ほれっ!!」
ベンチから立ち上がりミスターにメットを渡す
「行くってどこにだよ?」
「行けばわかるさ!アリガトー!!」
ミスターをバイクのケツに乗せ、ある場所に向かう
「で?こんなとこ連れてきてなにする気よ?」
「THE☆ナンパ!!」
「はぁ!?んで、んなことしねーといけねーんだよ!?」
ヒマゆえにだろ?嫌ならなんか良い案出せっちゅーのよ
「ミスター、女の子とイチャイチャしてーって言ってたじゃん。」
「ナンパで引っかかるような女なんか嫌だよ!!もっと、素敵な出会いが欲しいんだよ!!」
「素敵な出会いってなんだよ?童貞のくせに高望みすんなよ。童貞くせに」
「はぁー!?童貞関係ねーだろ!?色々な経過を楽しんで、それからセックスだろ!!会っていきなりセックスなんてナンセンスなんだよ!!」
別に今日中にセックスしろなんて言ってねーだろうが!
「童貞はナンパ=セックスですか?汚らわしい!出会いの機会を作ろうって言ってんでしょうが!」
活気のある街中でギャーギャー言い争う俺とミスター
セックスだの童貞だの、真夏の真っ昼間から何言ってんの?みたいな眼で見てる通行人
だがしかし、そんな事ぁ気にしない!
俺とミスターは取っ組み合いを初めそうなくらいヒートアップしている
「あんた達は一体なにしてんの?」
俺達に話しかけてきたのは愛菜ちゃんだ
恥ずかしいところを見られちまったな…
「聞いてよ!愛菜ちゃん!!この子ったら、どうて……」
「ア゛ー!!アナタと私が夢の国!!」
ミスターが焦った様子で大声を出す
なんでテントウ虫のサンバ??
ちょっとごまかし方に無理があるんでないのかぃ?
しかも、続きをどうぞ。って顔されても…
愛菜ちゃんもあ然としてるよ
「ミスター、急にどうしたの?変なの」
愛菜ちゃんはフフッと笑いミスターに言う
ミスターも苦笑いでごまかしている
「んで、愛菜ちゃんはなにしてんの?」
「私はヒマだからプラプラしてたの。 それよりも、てつじん!!ライブ終わってから奈津美に連絡してないでしょ!?」
はっ!忘れてた!
愛菜ちゃんはジト目で俺を睨む
「も〜!インブルだったら、ちっとも連絡しないで!!ミスターもだよ!!」
「えっ!?俺も?」
ミスターはポカンとした顔をして自分を指差す
「私も連絡してって言ったじゃん!!忘れてたの!?」
「いや…なんつーか…忙しくてさ!な、なぁ…鉄人?」
なんで俺に話しを振るんだよ?
頬を膨らませミスターを睨む愛菜ちゃん
ミスターもたじたじね。
「罰として、ミスターは私にクレープを奢ること!!てつじんは奈津美に電話すること!!いいね!?」
「「は、はい…」」
愛菜ちゃんのものすげー威圧感に負け、思わず返事をしてしまうチキン野郎2人
「じゃあミスター行こっ!!てつじん、早く電話してあげてね!!奈津美、待ってるんだからね!!」
愛菜ちゃんはそう言いミスターの手を引き行ってしまった…
ミスターは若干困った顔をしてたけど…
ま、童貞だからリードしてもらった方が好都合か。
俺は人ごみに混ざっていく2人の後ろ姿を見送った後にポケットから携帯電話を取り出す
『………はい?』
7コール目で奈津美ちゃんは電話に出た
つーか、ずいぶん声のトーンが低いね。
「あ〜。どーも。佐久間の鉄人ですぅ。今、大丈夫?」
『ててて、てつじん!?ど、どうしたの!?こんな時間に!?』
こんな時間って、まだ昼くらいだよ?
一気に声のトーンが変わったね。しかもテンパってるし…
「ん〜。特に用事はなかったんだけど…なにしてんのかなぁと思って。つーか、寝てた?」
『う…。え〜!寝てましたよ!!特にやることもなくヒマすぎて寝てましたよ!!バカー!!』
えー!?何ギレっすか?俺なんかしましたかねぇ?
「ヒマなら遊ぼーよ!ミスターが愛菜ちゃんに拉致されて俺もヒマなんだ。」
『愛菜に?でも私、家だよ?』
「嫌じゃなけりゃお迎えにあがりますよ?」
『えぇ!?うん…じゃあ…迎えにきてもらおうかな。住所はね、東地区のサンロードって商店街の近くなんだけど、わかるかな?』
はっきり言って全然わからんな…
ま。いいや。とりあえず行ってみよう!
「ん。近くまで行ったらまた連絡するよ。んじゃ、準備しといてね〜」
東地区か。今居る中央区から30分くらいかかるな。
あんまり早く行っても準備出来てねーだろうからのんびり行くか〜。
電話を切りバイクにまたがる。
なんでか少し緊張するな。
***
「あ〜!なに着てったらいいのかなぁ?」
さっきてつじんから電話があって一緒に遊ぶことになったのは良いけど、てつじんの好みがわかんないよ〜!
てつじんとはライブで会って以来だから一週間ぶり。
てつじんったら、全然連絡してくれないんだもん!!
メールくらいしてくれてもいいじゃん!
って、私も連絡してなかったんだけど…
なに話していいかわかんないし、てつじんに連絡するってだけで何かドキドキしちゃって…
だから、さっきの電話は凄く嬉しかった。
てつじんとデートできるなんて思ってなかったし
〜♪〜♪〜♪
私が着ていく服を選んでいると、ベットの上の携帯電話が鳴った
ちなみに着信音はAvril LavigneのGirl friend
「もしもし。」
『あ。俺、俺!』
オレオレ詐欺?
「てつじん?もしかして…もう着いた?」
『うん。商店街の近くのコンビニにいるけど、なっつんの家ってこの辺?』
「すぐ近くだよ。私もすぐ出るからそこで待ってて?」
『あいあい。わかりった』
ふ〜。もう着いたんだ…
って!!準備しないと!!
私はさんざん迷った挙げ句、白のVネックTシャツとブーツカットデニム、あとアクセサリーという何ともシンプルな格好で家を出る
家を出て5分。商店街の入り口にあるコンビニの駐車場にバイクにまたがりコーヒーを飲んでる、てつじんを見つける。
てつじんは黒のデニムに、エンジニアブーツ、タンクトップの上からネルシャツを羽織っている。
ウォレットチェーンと、BIG HANDのネックレス、オニキスのピアスとターコイズとシルバーの指輪、サングラスがロックっぽさを演出している。
思わず見とれてしまうほどカッコいい…。
「なっつん、遅いよ〜!どした?じっと見つめて?」
てつじんの一言にハッと我に帰る。絶対、年下には見えないよ。この子
「んーん。ごめん。遅くなっちゃって!!でも、てつじんも全然連絡くれなかったからおあいこね!!」
「んぬ… それを言われると言い返せねーっす。」
頬をポリポリと掻きながら言うてつじん
意外と素直ね。
「フフッ!てつじん、私お腹空いた!どっか連れてけ!!」
「うぃ〜。なに食うかぃ?つーか、とりあえず中央区行ってみる?」
てつじんは私にバイクのメットを渡す。
バイクのメットにはGreen dayのAmerican Idiotのジャケットステッカーが貼ってあった
私はてつじんのバイクにまたがり、てつじんの腰に手をまわす。
目の前にはてつじんの大きな背中
てつじんの匂い
そして密着状態
心臓が早く脈打ってるのが自分でもわかる
「しっかり掴まっててね。つーか、なっつんいい匂いすんね?ドキドキするわ!」
てつじんはハハハと笑いながらアクセルを開ける
私もドキドキしてるよ?
私はてつじんの背中に自分の頬を寄せ、バイクの風を切る心地よい疾走感と幸福を感じていた。
負けんな!俺!!色んな意味で!!