Express
またも気付いてしまった… この小説、全然学園物じゃねー!!!
「それじゃ16:30になりましたんで会場オープンします。一番手の方は準備の方よろしくお願いします。」
スタッフの人が楽屋に入り、全バンドに言う。
この一言で楽屋内の雰囲気が変わる。
「いよいよかぃ?ここにきて、けっこー緊張してるよ?俺」
タマが苦笑いで言う。あんまりそんな感じしねーけどな。
「大丈夫!俺もだ。」
俺も苦笑いで言う。
「俺もー!」
「俺はそんなことないけどな」
かっつんはハハハと笑いながら、ミスターはニヤリと笑いながら言う。
「嘘つくな!ミスター、顔引きつってんだよ!!」
俺の指摘にタマとかっつんが爆笑する。
「余計な事言うな!でも、さっきよりはマシになった。」
確かにさっきまでガチガチな感じではなく、4人とも程良い緊張状態だ。
〜♪〜♪〜♪
「アクマ、ダセェ着メロなってんぞ。」
ベースのケースの上に置いてあった俺の携帯を指差しながらタマが言う。
ちなみに俺の着メロはSex pistolsのAnarchy In The U.K.だ。
つーか、バンドのメンバーはみんなこの曲にしてる。特に理由はないんだけどね。
「こちらウルトラ警備隊港南支部。どーぞー」
『お兄ちゃん?今、会場に着いたんだけど』
「そぉーかぃ。したっけ、今からお迎えに行くったい。」
『わかったー!』
「奈緒かぁ?」
タマがタバコをくわえ、俺に聞いてくる。
「おー。着いたってよ。迎えに行こうぜ。つーか金城とかもいるからタバコは消しとけよ!」
「「「うぃ。」」」
タバコを消し、ガムを噛みながら会場の外に出る。
「おー!けっこー人いるねぇ」
ミスターが辺りを見回しながら言う。
「かっつん、あの娘可愛くねぇ?」
「えー!俺的にはアッチの娘の方が好きだな!」
タマとかっつんはエロい顔しながら人間観察をしだした。
なにやっとんじゃ。君達は…
「おーい!!お兄ちゃーん!」
声のした方を向くと奈緒がブンブンと手を振っている。
「おー。おめぇらエロい顔してねーで行くぞぃ。」
奈緒に返事をし、キョロキョロしてる3人を連れて奈緒達の元へ行く。
奈緒、里緒、玲奈、美鈴、カオル、紗希ちゃん、金城、明日香先生が揃ってる。
「悪ぃね。先生達、ここまで連れて来てもらって」
「ん。別にいいよ。つーか、お前の妹達は可愛いな!お前に似てなくて良かったよ!」
ハハハと笑う金城。
失礼ぶっこきだな。コンニャロー!俺に似て可愛いんでしょーが!
「つーか、みんな、今日雰囲気違くない?」
かっつんが全員を見ながら言う。
確かに何かいつもと違う。
「愛しの鉄人君のライブだもんねぇ?みんな、おめかしして来るよねぇ?―あふっ!!」
にやつきながら言うタマに女性陣全員の蹴りが炸裂する。
ホント、君余計な事言うよね〜
蹴られてるタマをバカだなぁと思いながら見ていると、急に視界が暗くなった。
「だーれーだっ?」
「俺ん家の駐車場に許可なく真っ赤なアコードを止めてる鮫島君?」
「「「「「「「誰だよっ!!」」」」」」」
うぉい!!総ツッコミすか!?ビックリするわ!
鮫島君、知らないの!?ビックリするわ!!
「つーか、さくら先輩っしょ?」
「あったりー!」
視界を覆ってた手がどけると、にへへと笑うさくら先輩と相変わらず無表情のゆっきー先輩が立っていた。
「「「ゲッ!生徒会…」」」
タマ、ミスター、かっつんはすげぇ嫌そうな顔をしてる。
「高見さん達も観に来たの?」
明日香先生がゆっきー先輩に話しかける。
「この子が観に来いと言うので…」
ゆっきー先輩は俺を指差しながら言う。
俺が無理矢理呼んだみたいな言い方しないでよ
「とりあえず、全員揃ったっちゅー事で中入りますか?」
俺らはライブ会場の中に入る。
「鉄人君達は何番目に演奏するの?」
俺の横にいる玲奈が訊ねてくる。
「俺らは4番目。2組目が終わったら準備しに抜けるから、それまでは一緒に見てるよ」
「鉄君達の演奏楽しみー!」
1組目の演奏が始まるまで俺らは雑談をしながら演奏が始まるのを待っている。
この『stark naked』っていうライブはロックやパンクバンドだけじゃなく、ヒップホップグループやフォークソングデュオなど多ジャンルのグループが出場している。
1組目はフォークソングデュオが演奏するみたいだ。
俺らが雑談していると1組目のバンドが出てきて演奏を始める。
俺が聴くジャンル外だからよーわからんけど、女性の観客には反応は良い。
コピーとオリジナルを3曲ずつやり1組目のバンドの演奏が終わった
「鉄人君はああいう音楽嫌いなの?」
「嫌いっちゅーか聴かんな。ああいう方が万人ウケすんだろうけどな」
「鉄人君達は万人ウケしないの?」
「詞が下品だからな!まぁ楽しみにしてなさいよ!」
俺と玲奈が話をしていると、2組目のバンドが出てきた。
3ピースバンド『stand out』
1曲目はHI-STANDRDのDear my fliendを演奏し始めた。
それも完コピじゃなく各所にアレンジを加えてる。
原曲もいいが、このバンドが演奏してるのもカッコいい。つーか、上手ぇ…
1組目のバンドが物足りなかったのか、観客も盛り上がり始めた。
2曲、3曲と曲が続くに連れ、会場が熱気包まれていく。
俺達4人は目で合図し、ステージをさらに盛り上げようと、頭や手を激しく揺らす。
stand outの連中も気付いてくれたらしく、ダイブを誘われる。
タマがダイブしたのに観客も盛り上がる。
やっぱりライブはこうじゃないと!すっげー楽しい!
stand outの演奏は熱気に包まれたまま、アンコールまでやり切り終了した。
「今のバンド凄かったね!」
「ああ!俺らもあんぐらい盛り上げっからよ!んじゃ、俺ら行くわ」
「お兄ちゃん、頑張ってね!」
「みんなガンバレー!!」
身内に応援されながら控え室に入る。
俺らが控え室に入ったのと同時にstand outの人達も控え室に戻ってきた。
「おお!君達、ありがとね!盛り上げてくれて」
「お疲れっす!すっげー格好良かったっす!」
俺達4人はstand outのメンバーと握手をし、お互い自己紹介をする。
ギターボーカルの拓哉さん、ベースのゆーたさん、ドラムの彰人さんは3人とも18歳の高校生だ。
「君ら、この次だろ?」
「そうっす!」
拓哉さんの問いにミスターが答える。
「緊張してるか?」
彰人さんの問いかけに全員が頷く。あんなライブ見せられた後じゃ緊張もするよ
「ハハッ!素直だな!楽しめよ!少年達!俺らも盛り上げてやっからよ!!」
ゆーたさんが笑いながら言う。
「俺ら会場行くからよ!期待してんぜ!!ルーキー!」
3人は手を振り控え室から出て行った。
なんか貫禄があるっつーか、場馴れしてる雰囲気が出てて格好良かったな
「あの人達のすぐ後じゃなくて良かったな…」
「ばーか!この熱気をさらに熱くすんだよ!!」
ミスターの一言にタマが返す。確かに!せっかく場が暖まったんだ。これは便乗して、さらに盛り上げないと!
「よっしゃ!最終調整すんぞ!!」
俺らは各自の楽器の調整を済まし、舞台の袖に回る。
「したっけ、ガチ飛ばしでイクぜ!!」
「YES!」
「WE!」
「CAN!」
「「「「クソ食らえ!usually!!!」」」」
合い言葉を叫び、俺らはステージへと上がる。
やべー!チョコボール買ったら銀エンゼル出てきたよ! ま、5枚集める前に紛失するんだけどさ…