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Because We Can.

おもっいきり冬なのに夏の話って…どーなの俺!?

「それじゃ、明日から夏休みに入るわけだけど――」



明日から夏休みっちゅーことで、今は教室で金城大先生による、注意事項やら連絡やらを聞くホームルームの時間って奴です。

みんな浮かれちゃって、話なんか聞いちゃいねーんだけどさ。



「ねぇねぇ!鉄人君って夏休み、バイトとかしないの?」


暑さにうだって、机に突っ伏してる俺に玲奈が話しかけてきた。


「バイト〜?気が向いたらするかもね〜。にしても、暑いね〜。溶けるねぇ〜」


「確かに暑いけど、ダレ過ぎじゃない? バイトしないなら休み中、遊びに誘ってもいい…かな…?」



玲奈は少し顔を赤くして上目使いで聞いてくる。



「いーよー。デートしようぜ〜。デート。つーか、暑いよ〜」


「デ、デート…」


あまりの暑さに思考回路もイカれてきてる俺は無気力に答える。


俺の体、ターミネータ2のT-2000みたいにドロドロになってないかな?暑さで。大丈夫?



「佐久間、玉山、角田、前田!お前ら4人は特に素行が悪いんだから、夏休み中に問題起こすなよ!!」


金城のいきなりの注意に教室がドッと沸くが、俺ら4人は反論する元気もないくらいトロけてる。

つか、タマに至ってはYシャツのボタンを全開にしてる。女生徒が目のやり場に困ってるからやめなさいっての。



「ん〜。努力しますぅ〜。」



またも無気力に答える。俺。

金城は呆れ顔をしている。


「やれやれ… じゃあ、これで今日はおしまい。夏休み、楽しめよー!!」



金城は笑顔で教室を出て行く。

あ。チケット渡すの忘れた。


「てっちゃん。俺、今日ちょっと練習参加できねーんだ。ごめん。」


かっつんは俺の席まで来て申し訳なさそうに言う。


「あら〜。マジか?ミスターとタマは?」


俺はミスターとタマに問いかける。


「俺も5時からバイトある。」


「俺も〜。今日から初出勤。」



みんな、バイトかよ〜!

ん〜。したっけ、どうすっかな〜?



「んじゃ、今日は解散だねぇ。明日10時に部室に集合っつーことで〜」


俺は伸びをしながら言う。あ〜。背中バキバキだぜぇ〜。



「明日集合はいいけど、てっちゃんは帰らねーの?」


「あ〜。俺ぁ、後で帰んわ。んじゃ、また明日な!」



俺は首をポキッと鳴らしながら教室から出る。



「ねぇタマちん。てつ君、なんか用事でもあるの?」


「どーせ、いつもの気まぐれだろ?さ。帰ろーぜ!」







「俯き今夜地を喰う♪仰向き天を喰う♪さぁ、さらけ出せ狂気の芽♪世の中で研ぐ爪♪」


俺は、マキシマムザホルモンの『アカギ』を口ずさみながら、3階の角の教室へ向かう。



「失礼ぶっこきまる。」


俺はその教室のドアを開ける。



「あ!佐久間君だ〜!どうしたの?」


ドアを開けると生徒会副会長の春日 桜さんが話しかけてきた。

つーか、生徒会室って初めて入ったけどデケェな!俺らの部室の3倍はあるぞ



「こんちゃーす。高見先輩いますか?」


「うん!ちょっと待ってね! ゆっきー!!佐久間君が会いに来てるよー!!」



春日先輩が大声で高見先輩を呼ぶ。



「なんの用ですか?」


高見先輩は教室の奥から、めんどくさそうな顔をしてこっちに来る。


「ゆっきー先輩にプレゼントなのだ!はい、ライブのチケット」


俺は笑顔でチケットを渡す。



「……ありがと」


高見先輩は無表情でチケットを受け取る。

喜んでるのか迷惑なのかわからんな…



「ずるーい!!佐久間君、私にはないの〜?」


春日先輩はふくれっ面をしながら、俺の手をブンブンと揺らす。

暑いからやめとくれ。


「俺らのライブなんか興味あるんすかぁ?欲しいなら、まだありますけど…」


「だって私、佐久間君のファンだもーん!チケットちょーだい!」



エヘヘと笑う春日先輩にチケットを渡す。


「わーい!やったー!!ゆっきー、一緒に行こうね!」


「こんなんばっかりいるなら行きたくない。」


高見先輩は俺を指差しながら言う。

こんなん言うな!そして指をさすな!



先輩の手をスッとどかし、少しかがみ先輩の目線に合わせる。



「こんなんばっかかわかんねーけど、ぜってぇ楽しませてやるのだ。」


ニッと笑いピースをする。


「そのセリフ、前も聞きました。まぁ、あなたがその辺の不良と違うところを見せてもらいます。」


高見先輩はフッと微笑み、教室の奥に戻って行った。


「じょーとー!」


俺は舌を出し、右手の中指を立てる。


「なんか…ゆっきーばっかりズルい…」


春日先輩は頬を膨らませ拗ねている。

可愛い娘は拗ねても絵になるねぇ〜



「あの先輩、俺の妹に似てんすよ。なんかほっとけねーっつーか…  つーか、可愛い娘は笑うべきだ!春日先輩もね!」



先輩の頭に手を乗せ、ニヤリと笑う。


「春日先輩じゃなくて桜でいいよ!」


「桜先輩って呼ばせてもらいますよ。んじゃ、ボチボチ帰りますわ。ライブ、楽しみにしといてちょ!」


「うん!まったねー!!」



桜先輩はブンブンと手を振り俺を見送る。

なんか桜先輩は先輩って感じしねーし、ゆっきー先輩は里緒に似てるんだよな〜。




学校からの帰り道、一人でブラブラと商店街を歩いていると正面からカッコイい兄さんが歩いて来た。



「よー!鉄じゃねーか!!元気か?このやろー!!」


「あ!いつかのお兄さん。」


「いつかのお兄さんはねーだろ!」


「冗談っすよ!久しぶりっすね!雅樹さん!」



カッコイい兄さんはサングラスを外し、俺の肩をバシバシと叩く。

ちょっと痛いんですけどー。


このお兄さんは、塩谷 雅樹さんって人で、この辺で飲み屋をやってるらしい。



「髪、切ったんすね?一瞬、誰かわかりませんでしたよ。」



「おう。夏だしな!イカしてんだろ?」



ダハハと笑う雅樹さん。相変わらずクールな外見とギャップのある人だ。



「お前は今から学校か?」


「いや、明日から夏休みなんで今日は半ドンだったんすよ。」


「若い奴が半ドンって言うなよ!今から帰りなら、ちょっと付き合え!飯くらいは食わしてやっからよ。」


雅樹さんは俺の背中をトンと叩き言う。

強引な人だなぁ…

ま、断る理由もねーんだけど。




雅樹さんに連れられて来たのは商店街の一角にある洒落た感じのBARだった。


「ようこそ。俺の城『Rash』へ!ちょっと待ってろ。今、焼きそば作ってやるから」


色んな種類の酒やらリキュールの瓶が置いてあるカウンターに、ダーツのボードがある広すぎない店内、角のステージにはドラムのセットとアンプが置いてある。



「この店って雅樹さんがオーナーなんすか?」


「おう!高校出てからの8年間、クソミソに働いて貯めた金で建てたんだ。イカしてんだろ?」


雅樹さんは奥で焼きそばを炒めながら言う。



「えぇ!!ぶっ飛んでます!!サイコーにイカしてます!!」


「わかってんじゃねーか!ほい。焼きそばお待ち!!」




わーい!!焼きそばだー!!うまそー!



「鉄、お前酒好きか?」


「#$%\!!」


「食ってから喋れ…」


すいやせん。焼きそばに夢中でした。

焼きそばを飲み込み、ウーロン茶を啜る。


「酒は好きっすよ!焼酎とウイスキーは飲めないけど」


「そっか!お前、ここで働いてみねぇか?」


飲んでいたウーロン茶をブッと吹いてしまった。


「俺、未成年っすよ!?」




「別に酒飲めって言ってる訳じゃねーんだ。どーよ?」


ん〜。確かに。みんなバイトしてるしな〜。


「わかりました!なんか楽しそうだし、働かせてもらいます!」


「よし!んじゃ、これやるから練習してこい!」


と言って渡されたのがカクテルを作るのに使う、シェイカーとカクテルの作り方が書いてある本



「あぃ。でもシェイカーなんて振ったことないっすよ?」


「だぁ〜いじょぶだって!とりあえず、教えてやるからカウンター入れ。」


それから2時間、雅樹さんにカクテルの作り方を教えてもらった。



「鉄、作ったカクテル全部飲めよ!作ったもんの味くらいわかんないとな!」


「え゛?」



こうして俺は帰る頃にはガッチリ酔っ払ってしまった。


あー。気持ち悪っ!!

オーストラリアでは今、夏らしいよ…

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