XO
ちょっと長くなっちゃった(゜Д゜)
「〜♪〜♪〜♪」
「ねぇ、鉄人くん。なんでそんなノリノリなの?」
つーわけで、玲奈の彼氏のフリ(?)をして、駅に向かってます。
なんでノリノリなの?ってかい?
「なんかオモシロそーじゃん?お前にラブレター出した奴、どんな顔すんのかねぇ〜」
ケッケッケッと笑う俺を見て、玲奈はため息をついている。
「んで、お前にラブレター出した奴って、どいつ?」
「多分、あのミスドの前に立ってる人だと思う。手紙にミスドの前に来てって書いてあったし。」
アイツかぁ〜。
なんつーか…
「普通の学生って感じだね。」
普通の学生の定義なんざ知らねーが、不良って感じでもないし、オタクみたいな感じでもない。
「ディモールト普通だな。」
「なんでイタリア語?」
いちいちツッコミ入れんなよ。
「で!どーすんの?彼は俺らに気づいてない様だけど。とりあえず、玲奈1人で行ってみる?」
「えぇ〜。」
そんな嫌そうな顔すんなよ…
かわいそうじゃん。彼。
「んじゃ、とりあえず近くまで行ってコンタクトをとってみよか?」
「うん… なんか無駄に緊張する。」
無駄って言うな。
玲奈って意外とヒドいな。女性不信になりそ…。
というわけで、俺と玲奈はミスドの前で待つ彼の近くまで行く。
ちょっと歩いたところで、彼は気づいたみたいだ。こっちを見て、少し動揺した様子だ。
「気づかれたんじゃね?俺、ここで待ってるから少し話ししてくれば?」
「そうだね。ごめん。ちょっと待ってて!」
玲奈はそう言うと、小走りでミスドの前まで行った。
さて、ここから少し観察させてもらいますかね。
〜10分後〜
「で、どーだったぃ?」
「どーもこーもないよ!なんなの!?あの人!!」
すっごい怒ってるね…
「まぁまぁ落ち着きなさいよ。立ち話もなんだから、どっか喫茶店でも行くか?」
「そうだね。あ〜!すっごいムカつくー!」
ご立腹の玲奈を連れ、駅前の喫茶店に入る。
席に案内され、俺はコーヒー、玲奈はアップルパイと紅茶を注文した。
「とりあえず、甘い物でも食って落ち着きなさいな。」
「うん。なんか…ごめんね…。変なことにつき合わせちゃって…」
「別にいーっちゅーの! んで、何があったんよ?」
玲奈がこんなに怒るのめずらしいからなー。
「うん。最初は普通に挨拶とか自己紹介とかしたんだけど、話してる内に鉄人くんと一緒にいた事が気に入らなかったみたいで『あんな奴より僕の方が君にふさわしいよ。』とか、『見かけだけで、大したことのない男だろ?』とか色々言ってきたから、なんかアタマにきちゃって」
「そっか… まぁ中学生の時からガラが悪いだの、調子ノってるだの色々言われてきたからな〜。」
言いたい奴には言わせとけばいいだろ。直接、俺に言わねーのが気に入らねーけど、どーでもいいや。
「でも、鉄人くんのこと、何にも知らないくせにそんな事言う必要ないじゃん!」
でも、人の第一印象なんて見た目だからな〜。ガラが悪いとろくでもない奴に見られるのは仕方ないことなんだけどね。
「俺のことだったらいいよ。つーか、結局コクられたんか?」
俺は少しにやけながら玲奈に訊ねる。
「え、うん…まぁ…」
玲奈は顔を少し赤くして頷く。つーか、呼び出されたんだから当たり前か。
「かー!モテモテだねぇ!」
「鉄人くんだって、モテるでしょ?」
「周りの奴らがガラ悪いから誰も近づいてきましぇん」
「あはは!確かに!タマちゃんとミスターくんは、ちょっとコワいもんね〜。喋ったらオモシロいけどね。」
オモシロいっつーか、バカなんだよ。あの二人は。
「アイツらも、もう少し愛想よくすればいいのにな。」
「ふふっ。でも、バンドやったら4人ともスゴく人気でるんじゃない?」
玲奈はアップルパイをひと口食べて言う。
「でも、かっつんのファンばっかりになりそうだべ。」
ハハハと笑いながら俺はコーヒーを啜る。
「ねぇ、鉄人くんって…好きな子とかいる?」
玲奈は少し顔を赤くし俺をジッと見つめながら言う。
「んだよ?急に。」
「鉄人くんて何考えてるかわかんないから、そーいう人っているのかなぁと思って」
好きな子かぁ〜。あんまり考えた事なかったなぁ。
「ん〜………いねぇかな?」
「そっか…」
玲奈は少し複雑そうな表情をしてうつむいてしまった。
何故にテンションダウンしてんの?
「俺、女の子の友達少ないからな〜。つーか、よく考えたら玲奈達くらいしかいねーかも」
なんかそう考えたら俺も少しテンション下がってきた。
「もしも私と紗希ちゃんと美鈴ちゃんとカオルちゃんの4人で彼女にするなら誰?」
うわ〜。めんどくさい質問だな〜。
選べねーだろ。みんな、可愛いし、良いところあんだから。
あ゛ー!難しい!!これはフェルマーの定理を解くよか難しいぞ。脳の毛細血管が切れそーだぜ。
「いや…そんな本気で考えなくても… インスピレーションで答えてよ。」
玲奈はちょっと引き気味で言う。
「あ。そう。んじゃ、玲奈かな。」
俺はニッコリ笑ってそう答える。
「え!?ホント!?」
玲奈は目を輝かせて俺の顔を見ている。
「さぁねぇー。ホントかどうかは教えられまへんなー。」
「鉄人くんのイジワル!!」
ハハハと笑う俺を見て玲奈は頬を膨らませてる。
ちょっと可愛い…。
「さ。そろそろ帰ろうぜ!」
俺は立ち上がり、玲奈に手を差し出す。
玲奈はうん。と返事をして俺の手を握る。
なんかこーいうのも悪くねぇかもなー。
俺たちは喫茶店を出て駅に向かう。
「玲奈、家まで送ってってやろうか?」
「え?いいの?」
「いーよ。帰っても奈緒と里緒は部活で帰ってくるの遅いし。」
それにストーカーに何かされたら困るだろ。
「じゃあお願いしようかな。しっかり守ってね!王子様!」
「ハッ!俺が王子様ってガラかよ? ま、任せなさい。」
俺と玲奈はバスに乗り、玲奈の家へ向かう。
あー。眠い…
バスに揺られ数十分、俺の住む南地区とは逆の北地区に玲奈の家があるらしい。
バスを降り住宅街の方へ向かう。つーか、デカくて立派な家ばっかりだな。
「この辺初めて来たけど、デカい家ばっかだな〜。不景気だなんて言ってるけど、金持ってる奴は持ってるんだねぇ〜。」
「そうだね。特にこの辺は大きい家が多いから」
はー。そっすか。
俺はキョロキョロしながら歩く。ったく、右見ても左見ても豪邸ばっかりじゃ。
「もうちょっとで着く… ――!!鉄人くん!!後ろ!!」
俺の少し前を歩いていた玲奈が振り返り俺に話しかけようとした瞬間、俺の頭に鈍い痛みが走った。
***
「あなたは…さっきの…」
鉄人くんを後ろから襲ったのは、私にラブレターを出した男だった。
「ハハハ!!だから言ったじゃないか?見かけだけで大したことのない男だって。僕は君の事をずっと見てたんだ!さぁ、僕と一緒に幸せになろうよ!!」
男は私の手を強引に握る。
「触らないで!!」
「なんで!?この男に何か言われたんだね!?この男が!この男が!この男がぁぁ!!!」
男は手に持っていた角材で倒れてる鉄人くんの背中や頭を何度も殴った。
「もうやめて!!」
私は男を睨みつけ言う。恐怖で足は震えてるし、涙で視界がぼやけてるけど止めないと鉄人くんが死んじゃう!
「こんな男の何がいいんだよ!?僕の方が君を幸せに出来るハズだ!さぁ、僕の手を握って!!」
「おーコラァ。兄ちゃん。後ろから殴りかかるとはいい度胸してんじゃねーか?コノヤロー。」
「鉄人くん!!」
***
イテテテ…
ちくしょー。ちょっと気絶しちまったか。
俺が目を覚ますと、玲奈が手に角材を持っている男にジリジリと詰め寄られていた。
あー!アタマ痛ぇ。ぜってー血ぃ出てるわ。こりゃ。
とりあえず、コイツぶっ飛ばそ。
「おーコラァ。兄ちゃん。後ろから殴りかかるとはいい度胸してんじゃねーか?コノヤロー。」
男は振り返り、かなり驚いた顔をしている。
この佐久間 鉄人。天に帰るのに人の手は借りぬ!!
「鉄人くん!!大丈夫!?」
「大丈夫じゃねーよ!!なまら痛ぇつーの!!倍にして返してやるからな!このクソバカタレが!!」
つーわけで、とりあえず一発!
驚いている男の顔面めがけて右ストレートを放つ。
「ぶへぇ!」
いや、ぶへぇって…
気持ち悪い声を出し男は吹っ飛ぶ。こんなもんじゃ済まさねーぞ!
「立て!オラァ!!」
俺は男の髪を掴み無理矢理立たせる。
「角材で殴って死んだらどーすんだ!このバカタレが!死なねー程度に殺してやる。」
「も…もう…許して…歯が…折れた…」
許すか!ばーか!
くらえ!!必殺!!
「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラァ!!テメーは俺を怒らせた!」
オラオララッシュを決め男をぶっ飛ばす。
男はかなりボロボロになりながらも何とか立ち上がろうと、片膝をついている。なかなか打たれ強いな。
ジョセフの血でも吸いに行く気か?
とりあえず…
「シャイニングウィザード!」
男の元へ走り、シャイニングウィザードをかます。
もろにヒットし男は白目を向いてピクピクしてる。ちょっと、やりすぎちゃった。テヘッ!
「勝ったどー!」
俺は玲奈に向けてピースをする。
あっ…クラクラする…
シャイニングウィザードはプロレスラー武藤敬司氏が得意とする技です(´_ゝ`)