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Take my hand.

「鉄人、そろそろ三者面談に行かなくていいのか?」


「おぉ。もうそんな時間かぃ。」



校長と結構な時間、話しをしていた。


ちなみに校長と話しをしてるときに、俺に喧嘩を売りに来た奴が13人。

校長がビックリして死にそうになった回数が7回。

校長がブチギレて泣かした奴が3人。


つか、校長が生徒泣かしちゃマズいだろ。

俺も校長がキレたのにはビビったけど…



「それじゃ、また遊びに来なさい。」


「おう!またな校長。」






校長と別れ、テクテクと廊下を歩く。


「お兄ちゃん!!」


「おう。奈緒。いやー、校長と話しこんじゃったよ。しかも、なんか知らねー奴らが喧嘩売りに来るしよー。まいったぜ。ハハハ!!」


「『ハハハ!!』じゃ、なーい!! お兄ちゃん!また喧嘩したでしょ!?」


奈緒はプリプリ怒りながら言う。

お前、美鈴に似てきたな。



「まー。そんな怒んなよ。んなことより、三者面談行くぞ。」



俺は奈緒のクラスに向かい歩きだした。



「もー!ちょっと待ってよ!」







「それでは三者面談を始めます。と、その前に佐久間さん、そちらの方は?」



ほー。この人が奈緒の担任か。けっこう美人だな。

例えるなら秘書ってタイプだ。



「はじめまして。兄の佐久間 鉄人です。妹たちがお世話になってます。」


兄らしく印象良くしないとな。若干、緊張してんだけどさ。



「そうですか。それでは、佐久間さんの進路についてお話させていただきます。」


俺への絡み、そんだけ?

美人だけど、俺、この人、苦手かも…



「奈緒さんの成績からみても、この辺の地区の高校なら全て合格圏内でしょう。私は隣り街の私立港聖女子高校をオススメしますが。」


港聖女子かー。レベル高いし遠いんだよなー。


「金とか家の事とか抜きに、お前はどこに行きてーの?」


「私は… 千秋高校でいい…です。」


「千秋高校ですか…。あなたほど成績のいい方がもったいないと思いますが…」


確かに。俺でも入れた高校だからな。もったいない感じはするけど。



「お前がいいなら、いいんじゃね。まぁまだ時間あるんだし、焦って決めることねーべよ。」


「お兄さんがそんなことでは困りますね。妹さん達の将来の事なんですよ?」


「だからでしょ? 友達が行くからとか、家が近いからとか、好きな奴がいるからとか、そんなくだらねー理由で将来のこと決めれんのは中学、高校くらいのもんじゃないっすか?」


いい学校行ったからって幸せになれるわけじゃないんだから、ゆっくり決めりゃーいいんだよ。




「ごめんなさい。先生、私まだ決めてないんです…」


「はぁ… そうですか。それでは保留ということで、夏休み明けにまた面談をしたいと思います。」


「すいませんねー。先生。そいじゃ、里緒の面談も行かなきゃなんないんで失礼します。」




俺と奈緒は教室を出る。


あー、なんか肩凝ったなー。



「お兄ちゃん、ごめんね。私、どこの学校がいいのか迷ってて…」


少しうつむきながら、奈緒が言う。

まー。しっかり者の奈緒が進路決めてないのが意外だったけど、別に謝ることじゃねーだろ。


「気にすんな。俺も協力すっからよ!んじゃ、里緒の教室行ってくるから」


「うん。私、校門の所で待ってるから、3人で帰ろ〜!」


「あいよ〜。んじゃ、行ってくんわ〜」


俺は里緒の教室に向かう。






「兄ちゃん。遅い。」


「そぉーかぁ?まぁ行こーぜ。」


頬を膨らませてる里緒の手を引き教室に入る。



「佐久間、高校生になっても遅刻は治らんのか?」


チッ!里緒の担任って、ゲロ公かよ。

こいつは俺が中学の時の担任だった下路(しもじ)

コーヒーとタバコの臭いが混ざり合って、口臭がハンパないことになってる奴。死ねばいいのに。



「はいはい。すいませんね。」


「ふん。相変わらず、生意気な奴だ。とりあえず、進路のことだが姉の奈緒に比べて妹の方が劣っている。まぁ、無難に明峰高校でも狙った方がいいんじゃないか?家庭の事もあるだろうし。」


ゲロ公は鼻で笑いながら言う。コイツはいつも見下したような物の言い方をする。


里緒は少し悔しそうな、切なそうな表情をしてうつむいている。



「家庭のことはアンタに関係ないでしょう。それと、奈緒と里緒を比べるのやめてもらえませんか。双子だからって優劣つけんのは失礼ですよ。」


「ふん。担任として生徒の情報を伝えてるだけだ。気に入らんなら帰ってかまわんのだぞ?」


ゲロ公はニヤリと笑いながら言う。

コイツ、性格から腐ってやがる。



「そだな。アンタに頼るより俺の時みたいに校長に相談したほうが良さそうだな。生徒の進路相談もマトモに出来ないんだからアンタの無能さが伺えるな。」


「貴様のようなクズが何と言おうが、所詮は負け犬の遠吠えだ。さっさと私の前から消えろ。」



「いいか。良く聞け。テメーが俺のことを何て言おうがかまわねーが、俺の妹たちに同じようなこと言ってみろ。二度とこの街歩けねー体にしてるからな。」



俺はゲロ公の胸ぐらを掴んで言う。


「兄ちゃん… やめて…」



里緒は俺の腕を掴みながら言う。


「チッ!」


俺は舌打ちをしてゲロ公を放し、教室を出ようとする。



「ゲホッ!高校に行ったところで変わらないな。まったく、兄妹揃って不愉快―――」


ゲロ公が不愉快と言った瞬間、俺の後ろ廻し蹴りが奴にクリーンヒットする。


ゲロ公は教室の壁に叩きつけられて白目をむいてる。



「テメェが一番不愉快じゃ!ヴォケ!! 里緒、帰んぞ!」



ポカンとしている里緒の手を引き、校門へ向かう。

あー!すっきりした。




「兄ちゃん、大丈夫なの?」


里緒はかなり心配そうな表情で俺に問いかけてくる。



「大丈夫。大丈夫。この荒れた学校じゃ誰が犯人かわかんねーよ。 あ。奈緒には内緒な?怒られちゃうから」


「わかった。」




「あれ?もう終わったの?」


奈緒が少し驚いた表情で問いかけてくる。



「あ、あぁ… 色々あってな。 さ、帰るべ。」


「色々?」



奈緒は小首を傾げてる。



「兄ちゃん。手、繋いでいい?」


「ん?あぁ。いーぞ。」


「私もー!」



奈緒と里緒に挟まれながら2人と手を繋ぐ。

なんか照れるなー。


ま。奈緒も里緒も嬉しそうにしてるからいーか。







「あ。そーいえば、お兄ちゃん、何でスーツなの?」


「気になる。」



「男の正装はスーツだろ?」


「「知らん!!」」



うほぉい!冷てーな!

即答っすか?

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