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Rescue Me.

あー。飲みすぎたー。吐きそ…

「チッ。5時ってかぃ…」


ったくよ。変な時間に目が覚めちゃったじゃねーか。


寝たら起きれねーからな。このまま起きてるか。


「タバコもねぇってか…」



仕方ねー。買いに行くか。


早起きは三文の得なんて言葉があるけど、全然あてにならんな。



タンクトップの上から薄い生地のパーカーを羽織り静かに家をでる。




もう夏だのー。暑いわ。

5時だってーのに外は明るい。

コンビニでタバコとコーヒーを買い、近くの公園で一服をする。




奈緒の奴、まだ機嫌悪いんだべか。

里緒も何か変だったし…

アイツらも思春期だしな、兄貴っつても血が繋がってない奴にほっぺたとはいえキスされるのは嫌だったんかな〜?



「帰って朝飯でも作ってやるか。」


コーヒーを飲み干し空き缶に吸いがらを入れる。



「あー。そこのイケメン兄ちゃん。タバコくんねーか?」



ベンチから立ち上がり公園から出ようとすると背後から声をかけられた。

振り返るとモデルみたいなスーツ姿の男が立っていた。




「はい。」


ポケットからタバコを出し男に渡す。



「サンクス。サンクス。いやー!タバコ切れててよ。今、タスポねぇと自販機でタバコ買えねーだろ?コンビニも見つかんねーし、まいったよ!」



ハハハと笑いながら喋る男。

顔は超クールそうなのによく喋る人だな。

「コンビニだったら、この公園のすぐ近くにありますよ。」


「マジ!?いやー、最近この近くで飲み屋始めたんだけどよ。地理が全然わかんなくてよ。兄ちゃん、ヒマならちょっと話そうぜ。コーヒーくらいおごっちゃるからよ。」



男とコンビニに行きコーヒーとタバコを買い、公園に戻る。




「んで、兄ちゃんはこんな朝っぱらから何してたんよ?」


「変な時間に目ぇ覚めてタバコなかったんで買いにきただけっす。」

「そっか。つーか兄ちゃん、名前なんていうの?」


男はコーヒーを飲みながら俺に訪ねる。



「佐久間 鉄人っす。お兄さんは?」


「塩谷 雅樹っつーんだ。よろしくな!鉄!!」



「よろしくお願いしゃす。」



俺と塩谷さんは握手をする。

それから、塩谷さんと結構な時間話しをしていた。


仕事や学校の話。俺の友達や妹たちの話。音楽、ダーツ、バイク、女、ギャンブル、喧嘩、色んな話をした。


初対面でこんなに話しをしたのは、この人が初めてだ。不思議と何でも話してしまう。



「鉄、お前面白い奴だな。今度、俺の店に友達連れて遊びに来い!ビールくらいはご馳走してやるからよ!」


塩谷さんはニッと笑い、言う。


「はい!」


俺もつられて笑顔で返事をする。

この人、すげーカッコいい。考え方は大人だし、容姿だって相当良い。こりゃモテるだろーな。



「んじゃ、俺ぁそろそろ帰るわ。お前も学校、遅刻しねーで行けよ。」


塩谷さんはそう言い、帰っていった。

なんか、ああいう出会いがあんなら早起きも悪くねぇな。


「さて、俺も帰るべ。」







「ただいま。って、まだ寝てるか。」


「お兄ちゃん!?」


奈緒が驚きながら、こっちを見ている。

ずいぶん早起きなのね。



「よー。起きてたか。おはようさん。」


「お兄ちゃんが、こんな朝から起きてるなんて…

どこ行ってたの?」


「タバコ買いにコンビニ行ってきた。」



リビングのソファーに座り答える。

あ。ちょっと眠くなってきた。


「はい、コーヒー。」


「サンクス。」


朝起きてからコーヒー3杯も飲んでるんだけどね。体に良くないよね。



「お兄ちゃん…昨日の事、怒ってる…?」


奈緒は朝食を作りながら、すこし不安げに訊ねる。



「怒ってたのはお前だろ?別に俺はあんなんじゃ怒りまへん。」


「そう… お兄ちゃん…昨日はごめ「つーかお前、制服のまま寝ただろ。アイロンかけてやっからもってこい。」


奈緒の言葉を遮る。



「え。う、うん…」


奈緒は制服を取りに自分の部屋に向かう。




「はい…」


制服のブレザーとスカートを俺に渡す。



「あいよ。これで昨日の事はチャラだかんな。」


ニッと笑い、くわえタバコでアイロンをかけ始める。

自分で言うのもアレだけど

「俺がアイロンがけすんの似合わねー!」



「プッ!ありがと。お兄ちゃん!」



やっと笑ったか。

良かった。良かった。




「お兄ちゃん、もう少しで朝ご飯できるから、里緒起こしてきてくれない?」


「あいよ。制服、ここ置いとくからな。」


「うん!ありがと!里緒、目覚め悪いから気をつけて!」


「あいあい。」



俺は立ち上がり、里緒の部屋に向かう。


お〜お〜。かわいい顔して寝てるじゃないの。



「里緒、起きろ。朝飯だ。」


「ん…」


わかっちゃいたが、声かけるだけじゃ起きねーか。



「起きろー!」


布団を揺すってみる。



「るせぇ…」


えー!なんなのこの娘!?今、うるせぇって言ったよね!?ヒドくない!?

すげぇショック…



「くっそー!起きろー!!」


勢いよく布団をはがす。そして勢いよく布団を戻す。



だって、下着姿だけで寝てんだよ!?

そりゃビビって戻すっつーのよ!!



どーすりゃコイツを起こせるんだ!?奈緒にヘルプしてもらうか!?

いや!兄貴としてそれはプライドが許さん!

手荒な真似はしたくなかったけど…



「許せ!里緒!」


指に力をこめデコピンをする。



「ぶふぉっ!」


デコピンをした瞬間、右フックが俺の頬を捉えた。

いい右持ってるね。世界狙うかい?



って、違うわ!

なんで俺殴られた?なんで里緒はまだ寝てる?

もー!泣きたくなってきた…



「お兄ちゃん、なにしてるの?」



救世主じゃ!救世主が現れましたぞ!!



「里緒の奴、全然起きないよ。つか、殴られた…」


「アハハ!だから気をつけてって言ったじゃん。里緒はこうやって起こすの!」



奈緒は里緒の耳元で何かを囁いてる。

なんだ?ザメハでも唱えてるのか?



「さ!行こっ!お兄ちゃん!」


いや、行こうって…

まだ寝てますやん。


奈緒に手を引かれ里緒の部屋から出る。



「耳元で何か言ってたみてーだけどなにしたの?つか、あれで起きるの?まだ寝てたけど…」


「ザメハを唱えたから、あと5分もすれば起きてくるよ!」



あ。ホントにザメハだったの?

すごいな〜。俺の妹はザメハを使えるんだ〜。学校で自慢しよ。






5分後、里緒は眠そうな顔をしながらリビングに来た。


ザメハすげー!!

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