Quilt.
「毎日、鉄人さんがご飯作ってるんですか?」
みんなが飯を食ってくってことで、今は紗希ちゃんと調理中だ。
メニューはチャーハンとチンジャオロースとスープを作ることになった。
「晩飯は基本的に俺かな。朝は奈緒に任してるけどね。」
「そーなんですか。ご両親は、お仕事ですか?」
あー。紗希ちゃんに言ってなかったか。
「親父と母ちゃんは死んだ。母ちゃんつっても義理なんだけどさ。まぁ、奈緒と里緒も義理の妹だけど。」
「すいません!!私、失礼な事聞いちゃって!!」
「アハハ!別にいいよ。笑ってする話しじゃねーけど、悲しい顔して話しするのは苦手だし。死んじまったもんはしょうがねぇよ。」
俺は笑いながら言う。
「でも、悲しくなったり寂しくなったりしないんですか?」
紗希ちゃんは少し切なそうな顔をして言う。
「まぁ悲しくねーって言ったら嘘になるな。でも、俺が悲しそうな顔したら、タマとか美鈴とか妹達とか心配すんじゃん?アイツらに心配されたくねーだよな。それに、悲しんだって親父達が生き返るわけでもねーし。」
「鉄人さんって強いんですね。」
「ひねくれてるだけだよ。あ。俺、性格わりぃーから。」
俺はニヤリと笑う。
「そんなことないですよ!私は鉄人さんのこと好きですよ。」
「えっ!?」
あれ!?俺、今告られた?タイムリー過ぎてテンパってますよ!!
「あああ!!ち、違いますよ!!性格がってことですよ!!ありえないじゃないですか。まだ出会って、そんなに経ってないのに!勘違いしないでくださいね!!」
すんごい全力否定だね…。ありえないって…
「そこまで言われるとショックだわ〜…」
「違うんです!なんていうか、その…」
「アッハハハ!紗希ちゃん、面白いな〜。」
顔を真っ赤にして慌ててる紗希ちゃんを見て笑ってしまった。
「鉄人さん、イジワルです…」
あ。頬を膨らませてる。
可愛いね〜。
「アクマー、イチャついてねーで、早く作ってくれよ〜」
タマが捨てられた子犬のような声で言う。
「妬いてんじゃねーっすよ。もうちょいだから待っとけやーぃ。」
俺はチャーハンを作りながら言う。
ったく、俺らのほのぼのムードぶち壊しじゃねーか。
「うしっ!でけた。」
料理を盛り付けテーブルに運ぶ。
「出来たぞ。愚民ども食って驚きやがれ!」
「すごい!これ、鉄人くんが作ったの?」
「紗希ちゃんとの愛の結晶じゃー!」
「「「「「あ゛?」」」」」
怖っ!!殺気ハンパねぇー!!
女性陣5人の殺気は、DIO様のそれに匹敵するぜ。
けつの穴にツララをぶっさされた気分だぜ。
「ま、まぁ早く食べようよ。」ナイス判断!かっつん!!
ちょっと気まずい雰囲気の中、夕食を食べ始める。
「どーっすかねぇ?お口に合いますでしょーか?」
俺はオドオドと女性陣に問いかける。
ヘタレ言うな。あんなに睨まれたらビビるっちゅーの!
「「「「「美味しいよ!」」」」」
みんな、笑顔で答えてくれた。
つーか、ちょっと間があったのがびびったわ。
とりあえず、良かったぜ!
飯も食い終わり、みんなでマッタリとバカ話しをしている。
「あー。帰るのだりぃー。アクマ、今日泊まっていいかー?」
タマが眠たそうな顔をしながら言う。
ミスターとかっつんは、あわよくば便乗しようとしてやがるな。
「ダメだっつーの。奈緒と里緒がいるんだぞ。つーか、おめーら泊まったら、ぜってぇ明日学校行かねーだろ?」
「いいよなー?なー里緒?」
タマは笑顔で里緒の頭を撫でながら言う。
コラ。誘惑すんでないっちゅーの。
「タマ兄、うるさいからダメ。」
だせぇー!断られてやんの!!
「里緒、冷てぇー!」
タマはショックを受けて拗ねちゃった。
「タマ、あきらめろ。」
ミスターがタマの肩に手を置き慰めてる。
「タマちゃん、ざーんねーん!」
カオルが笑いながら言う。
「それじゃ、そろそろ帰ろっか?」
玲奈がみんなに言う。
「そうね。もういい時間だしね。奈緒、里緒、部活頑張ってね。鉄人、明日も遅刻しないで来るのよ。」
ばっか!余計な事言うなって!!
「奈緒、里緒、またな!アクマの裏切り者ー!!」
なにがじゃ!?ヴォケ!
「鉄人、また明日な。」
「てっちゃん、んじゃね。妹君達もまたねー。」
ミスターは無愛想だなー。かっつんは俺より妹たちに笑顔を向けてやがんな。
「てつ君、奈緒っち、里緒っち、バイバーイ!」
「鉄人君、また明日ねー!奈緒ちゃん、里緒ちゃん、またお話しよーね!」
「鉄人さん、ご馳走さまでした。それじゃあ、お邪魔しました!」
カオルと玲奈は奈緒と里緒と仲良くなったみてーだな。
紗希ちゃんは礼儀正しいな〜。もうちょい砕けてもいいと思うけど。
「お〜。気ぃつけて帰れよー!」
「また遊びに来て下さいねー!」
「さよなら。」
俺達は玄関先で手を振り、みんなを送りだす。
たまには大人数で飯っつーのも悪くねぇな。
「お兄ちゃんの友達って、美形な人が多いよね〜?」
奈緒がにやけながら言う。
「まぁな〜。タマみたいなガラ悪い奴ばっかじゃないのよん。」
「でも、タマ兄って面白いよね。笑顔カワイイし。」
「優しいとこもある。」
「お前ら、まさか…タマのこと…」
アイツはダメじゃー!!
アイツはエロいからダメじゃー!!
「そんな訳ないでしょ!?バカ兄貴!!」
「兄ちゃんが一番カッコいい。」
「バカ兄貴はねーだろーよ。つーか、里緒ちゃん良いこと言うね〜。ほっぺにチューしてやろうか?」
「うん。」
マジかぃ!?
しゃあねぇ。吐いたツバは飲めねーからな。
「「えっ!?」」
俺は里緒の頬に口づけをした。
やっべ!!なんか無駄に照れるわー!!
里緒はぼう然としてる。
奈緒は……
「んぐほぉ!」
けつキックかましやがったよ!この娘!!
「お兄ちゃんのエロバカ!!死んで生まれ変わって、もう一回死んじゃえ!!」
がちギレかよー!!つか、エロバカって…
奈緒は自分の部屋に閉じこもってしまった。
まさか、死ねまで言われるとは…
「おぃ!奈緒!!ったく、めんどくせーな。」
とりあえず、落ち着くまで放っておこ。
里緒もボケーッとしてるから放っておこ。
洗濯物や食器を片付け、リビングで一息つき、自分の部屋から安全ピンとヘアピンと金クリップを持ち奈緒の部屋の鍵をピッキングする。
ピッキングなんざコツさえ掴めば鼻くそほじるより簡単だぜ。
鍵を開け部屋に入ると、奈緒は電気もつけずにベットにうつ伏せになっていた。
ったく、なに拗ねてんだか。
「奈緒、寝てんのか?」
「………」
返事くらいせーや。
俺は奈緒に近づき、頬にキスをする。
一瞬、ビクッてなってたけど無言だ。
「制服のまま寝たらシワになるから着替えてから寝ろよ。」
奈緒の頭を撫で部屋を出る。
結局、終始無言だったな。
「お前はいつまでそーしてんだ?」
未だに里緒は廊下でボーっとしてた。
「………。兄ちゃんのエロバカ…」
お前もかよ?エロバカ言うな!
里緒は顔を真っ赤にして、部屋に走っていった。もー!なんなのよー!!
一人取り残されちゃった。
なーんか、今日は疲れたなー。
もう、寝よーっと。
つーか、エロバカって…