Just one
「え〜。金城先生は体調不良の為、本日は早退されました。」
金城が帰ったってことを知ったのが1限目が始まってからのことだった。
まったく!教師にあるまじき行動ですな。
つか、俺のせいなの?
ちなみに金城の朝のテンションは俺がいないときは、あんな感じらしい。
「それでは授業を始めます。教科書の107ページを開いて…」
つーまーらーん。
もう寝よう。
俺は1限目が始まって5分で寝てしまった。
結局、3限目の終わりまで寝ていた。
おー。背中いてー。
「てっちゃん。今日の昼飯、ラーメン食いに行こーか。」
今は授業が始まる前の休憩時間。
かっつんが俺の席に来て話しかけてきた。
「ラーメンかぁ。それもありだな。つか、ミスターは?」
「ミスターは昨日食った牡蠣にあたって今日は来ないって。」
アイツ、バカだなー。
じゃあ、今日はかっつんと2人で飯か。
かっつんと飯食ってると周りに女子が集まってうっとうしいんだよな。
「そか。したっけ今からラーメン行くか?」
かっつんは
「いいねー!」と笑顔で応える。
俺とかっつんは教室から出て、駅前のラーメン屋に向かう。
「あー!鉄人さーん!!」
校庭を歩いていると、紗季ちゃんが体操着姿で走ってきた。
OH〜胸元ファンタスティック!!
「鉄人さん、もう帰っちゃうんですか?」
上目使いで訊ねてくる紗季ちゃん。
か、かわいい…
「んにゃ。このイケメンとラーメン食べに行くんだ。気が向いたら戻ってくるかもだけど。」
そーいやぁ、かっつんと紗季ちゃんって初対面か。
「はじめまして!てっちゃんの友達の前田です。B組の花山さんだよね?」
かっつんは笑顔で紗季ちゃんに自己紹介をする。
その笑顔はずりぃーわ。
「はじめまして!花山 紗季です!よろしくお願いします!!でも、なんで私の名前知ってるんですか?」
「よろしく〜。つか、有名だよ?B組に超かわいい娘がいるって。てっちゃんの友達ってのは知らなかったけどね。」
紗季ちゃん、可愛いからね〜。
まぁ〜可愛いから昨日みたいなトラブルに巻き込まれるんだろーけど。
「可愛いなんて…私より可愛い娘なんてたくさんいますよー。」
ちょっと照れたように言う紗季ちゃん。
つーか、君より可愛い娘がたくさんいたら日本は桃源郷だよ。
「そんなことないよ。ねー?てっちゃん?」
かっつんがにやけながら俺に話しをふってきた。
なぜに俺にふる。
「確かに。紗季ちゃん、かわいいよ。」
紗季ちゃんに微笑みながら言う。
なーんて。ちょっとくせぇかな?
「鉄人さん、ズルいですよ…」
紗季ちゃんは顔を赤くしてうつむいてしまった。なんだ?この空気。
き、気まずい。
かっつんのせいだかんなー!
あ。かっつんのやろー、笑ってやがる!
「おらー!お前ら!!授業始まるぞ。早く教室戻れー!!」
やべ!体育の島田だ!!
「紗季ちゃん。俺ら行くわ!またね!」
「え?あ!はい!」
紗季ちゃんに声をかけ、校門の方まで全力で走る。
だー!マジきつぅー!!
「こら!!お前ら!!どこ行くんだ!!」
うっせー!ラーメン食いに行くんだよ!!
つーか、追いかけて来んなぁー!!
「てっちゃん、こっちだ!!」
かっつんに言われ、他人の家の庭を抜けて、いつものタバコが吸える通学路にでる。
「あー。マジもう無理。吐きそーだ。」
「はぁ… てっちゃん、タバコ一本ちょうだい。」
タバコを内ポケットから出し、かっつんに渡す。
俺、体力ないんだから走らせんなよ。
「あー。喉渇いたー。死ぬー。」
俺はタバコを吸いながら、うだっている。
「アハハ。にしても、てっちゃんといると退屈しねぇなぁ。」
かっつんは楽しそうに言う。
そーすか。光栄でしゅ。
「てっちゃんってさ、けっこうモテるよね?」
なにを唐突に。
イヤミ?それイヤミなの?
「かっつん程じゃねーよ。つか、モテてねーよ。」
「そんなことないよ。てっちゃん、けっこう女子から人気あるよ。男の俺からみてもカッコいいと思うし。」
いやいや。現にモテてないからね。
周りにいるのはタマとミスターぐらいなもんですよ。
「君みたいに女の子に囲まれてる奴には、わからんですよ。」
かっつんと廊下歩いてる時なんか女子からの視線が痛かったっつーの。
「てっちゃんと仲良い女子がレベル高すぎるからだよ。さっきの花山さんとか美鈴ちゃんとか玲奈ちゃんとかカオルちゃんとかさ。」
確かに可愛いと思うけど、女子が近寄らない理由にはならんだろ。
「それにてっちゃん、掴みところがないっつーか、なんか不思議なオーラが出てるから近寄りがたいんじゃん?」
「そんなん出てるかぁ!?自分じゃわかんねーなぁ。」
不思議なオーラってなんだよー?
俺はケンシロウじゃないんだから。
「まぁてっちゃんには、人を惹きつける魅力があるってことだよ。」
「かっつん、言ってることが矛盾してっぞ。」
惹きつけてるのに近寄りがたいっておかしいだろ。
「てっちゃん、意外と細けーんだな。んなことより、早よラーメン食いに行こーよ。」
なんなのこの子ー!?
勝手な子ねー。
自分で話しふっといて、これだよ!
ま、いーんだけどね。
あー。走ったから腹減ったぜ。