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ハルカ③

お久しぶりです。

二話連続投稿していたこの作品でしたが、一話投稿したのち早二ヶ月・・・。

お待たせいたしました。(ほんとすみません)

初めて出会ったあの日から、ハルカとハルは毎日、初めて出会った場所で会うようになった。何をするかと言うと、地べたに座ってお互いの世界のことを話すだけ。退屈に思えるかもしれない。それがハルカには嫌な日々を乗り越える上で必要不可欠なものになった。皇女としての作法や乗馬、楽器演奏、踊りなどの文化についてや帝王学、語学、手習いなどだけでなく剣術、武術、弓術など戦闘技術の習い事の愚痴話、日々の食事や暇つぶしにやっていることの話を純粋な目を輝かせながらハルは聞いてくれた。その目からは私への憧れの気持ちが感じられた。ハルの話を聞くのも楽しかった。屋敷の中では絶対に体験することの出来ない様々な経験の話。特に市場からパンを盗む話は聞いているだけでハラハラした。パンなんて捨てるほどある。欲しいと言わずともいつでも手に入る。盗むなんてした事がない。話を聞けば聞くほどハルがどれほど素敵な世界で暮らしているのか知りたくなった。

ある日、ハルカはある事をハルに提案した。

「ハル。私たち、今日一日入れ代わってみない?」

突然の提案にハルは動揺したようだ。目が泳いでいる。そんなハルがかわいいと思った。

「お…わ、私とハルカさまが?無理です!私にはハルカさまのような気品ある立ち振る舞いは出来ません。」

しばらくして、慌てて答えた。全てハルカの想定内の答え。無理難題を先に提案して妥協案を提示し直す。

「そうねぇ…。じゃあ服を交換しましょう。そして私は外の世界を見に行く。あなたはこの屋敷の中にいて、もし誰かに見つかったら何とか誤魔化して。今ここで寝ているからほっといてくれとか言って。それだけなら良いでしょう?」

内容は同じである。しかし、少しは現実味を帯びた、可能だと思わせる提案。ハルは考えている。冷静に考えられてしまうと断られてしまうかもしれない。ハルカはすぐさま追い打ちをかける。

「私はこの屋敷の中の世界しか知らない。あなたが話してくれる世界を私にも見せて…。」

心に問いかける。これでハルが断るはずがない。絶対に。

「…分かった。気を付けてね。」

想定通り!ハルカは心の中で喜ぶ。服を交換してハルの格好になったハルカは、ハルの使っている道を通って外へと向かった。

道を抜けた先は未知の宝庫だった。見えるもの全てが知らないもの。ハルカは走り回った。素敵な場所だと思った。だが、とても息苦しい。この腐敗臭はどうにかならないか。しばらく走り、気分の悪くなったハルカは道から屋敷の中へと戻った。屋敷の庭に出ると、ハルが一人ポツンと座っていた。

「ただいま。帰ったよ、ハル。」

姿を現したハルカにハルは飛びついて抱きしめた。

「良かった。ハルカさま…ハルカさま…。お帰りなさいませ。」

その目には涙が浮かんでいる。

「うん。ただいま、ハル。」

ハルカもハルを抱きしめた。ハルは何を感じていたのか、ハルカは何を見てきたのか。お互いに互いの事は分からなくとも、二人はしばらく何も言わずに抱きしめあっていた。

次からは二話連続投稿に戻すようにします。頑張ります。

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