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モブキャラライフ  作者: リエッタ
本編
56/77

50話

 prrrr…………prrrr……

 

 むむむ、電話が鳴っている

 …………誰だろう?こんな朝早くに…………

 うぅぅ……まだ眠いのに…………

 どなた様?

 あ~、NNWの衣川少年だーーー

 

 

 もすもす?おはようございまする?モブですよ?

 

 いかん、ちょっと言語が怪しい

 寝起きだからな

 眠気覚ましにお茶でもちょいと飲みましょう

 

 「おぉ、モブ兄貴、珍しいですね

 こんな時間まで眠っていたのですか?」

 

 あれ?そういえばいつの間に兄貴?

 まぁいいや……それより、まだ5時ですよ?

 朝早くから運動をしているといってもこの時間は普通に寝てますよ?

 あー、起き上がりのお茶がうまい

 

 「はっはっは、またまたご冗談を……

 もう夕方の5時ですよ!?」

 

 ぶほぉぉぉぉーーーー、げほっ、こほっ、こほっ

 ……ぇ?ちょっ?ごほっ、えぇ?ゆ、夕方??

 

 「で、ですよ?」

 

 …………れ、冷静になるんだ僕…………いあいあ俺

 そ、そんなの冗談に…………PMじゃぁねぇですかぁぁぁぁぁ!!!?

 ってことは、寝てた?半日以上寝てた!!!???

 あれ?今日…………学園………………サボったぁぁぁぁっぁ????

 ………………ぉぅ

 まぁいっか

 それで、電話ってどうしたの?

 

 「昨日、兄貴から頼まれていた件ですよ?」

 

 ??何か頼んでいたっけ?

 

 「ほら、とある人物について手が空いたときにでも探して欲しいって言ってたじゃないですか?」

 

 あーあーー、そういえばそうだった

 あの時、全然寝ていなかったからそこらへんの記憶かなりあやふやだけど……

 …………うん、そういわれれば、お願いした記憶がかすかにある

 でも、まだ1日経っていないけれど、わかったの?

 

 「フフフのフ、我らNNWを舐めてもらっては困りますよ?

 兄貴からの頼まれ事でしたら全力で行きますよ?全力で」

 

 ほ、ほどほどにね?

 でも連絡してくるってことは見つかったの?仙波恵は……

 

 「はい、見つかりましたよ、ふひひひひ」

 

 お~ぅ、ほんとにいるとは…………

 

 「……実はいないと思っていました?」

 

 いなかったらいなかったらでまぁいいかなぁと……

 NNWの力を持っても見つけられなかったら、先方に残念っていおうと思っていたんだけれどね

 …………しかし、見つかったってことは……

 

 「兄貴、元気ないですぜ?」

 

 う~ん、まぁチラッと憂鬱な事実が出てきそうだなぁと

 この世界のイケメン率が上がりそうで、うん

 

 「兄貴も2次元の扉を開きますか?」

 

 開きません!

 それで見つけた仙波について教えてもらっても?

 

 「残念

 仙波についてですが、心して聞いてください」

 

 え?そんな心の準備がいるの?

 とりあえず、お茶飲むから少しまっててくれない?

 でも、そんなこと言うってことは……もしかしてこの国にいたり?な~んてははははは……

 

 「その通りです」

 

 …………世の中のこの狭さは一体なんなんだ?

 

 「でも出身は違いますよ?」

 

 え?そうなの?

 

 「はい、出身は3つほど隣の国です」

 

 それが、どうしてこの国に?

 

 「実は彼、学生の頃はイケメン×お金持ちで超もてていたんですよ

 リア充マジ爆ぜろって気分になりますよ?

 そんな彼ですが、18歳の時に恋をしました

 恋の相手は、その国の現妃

 ってことで、リア充の彼も皇太子には勝てなかったわけで失恋です

 失恋した彼は旅に出ました

 心を癒す為に諸国漫遊です」

 

 ほ~ん、ってことはその時期でイベントスチルに出ていたのか?

 ふむふむ

 

 「諸国漫遊から帰ってきたところある事が起きました

 魔物との戦争です」

 

 勇者のあいつがなんとかした戦争?

 

 「はい、……ですが、勇者が来る前でしたので、戦火が拡大していきました

 そして、それは彼の国にも飛び火します

 彼の国が総力を上げて、勇者たちも来て、魔族を押し返しましたがその爪痕も酷く……

 彼のご家族も……会社も…………」

 

 何そのガチ鬱展開…………笑えないんですけれど…………

 

 「リア充ガチで爆ぜてしまいました

 それで、暫く空虚だったのを見かねて、彼を引き取った人がいるんです」

 

 それがこの国の人?

 

 「はい、それが英雄、有田 観玖郎」

 

 ??観玖郎??

 はて?どこかで聞いたことがあるような……

 

 「はっはっは、またまたご冗談を……

 兄貴のバイト先のオーナーですよ?」

 

 ぶほぉぉぉぉぉっっぅ…………げほっ、ぐほっ、ごほっ

 えぇぇぇぇぇぇ?ちょ、ちょ、っと???お待ちを???

 がはっ、ごほっ、ごほっ

 あー、またお茶が喉に詰まった

 

 「あ、兄貴…………大丈夫ですか?」

 

 まぁ何とか……

 しっかし、完全にノーマークの名前が出てきてしまった

 ってことはつまりだよ?私のバイト先にいるってことだよね?

 

 「ですです」

 

 ……どうしよう

 今から俺バイトだよ?

 この中に1人、乙女ゲーの攻略対象がいる、って状況の中で働かなきゃいけないの?

 …………あ、別にいいか

 別に誰が乙女ゲーの攻略対象だろうとしても、あんまり意味無いし

 うん、もう既にその乙女ゲーも終わっているだろうから、私が被害を被ることも無いだろうし

 …………後日談のエピソードとか無いよね??

 もしくは、続編によるお話とか…………うん、無いよね?

 こんな重い展開の話とかで続きとかは無いよね?

 

 「あ、今回の調査結果とついでに若いときの写真を送りました

 一応それで、探している相手方にも確認を取ってみてください」

 

 おー、何から何まですまないねぇ

 

 「兄貴がしてくれたことに比べれば大したことは無いですよ

 それと別件ですが、ちょいと気をつけておいた方がいい案件があります」

 

 ??何??

 

 「魔物による被害です

 最近、魔物による被害がほとんど無いんです」

 

 それはいいことなのでは?

 後、ダンジョンの魔物と仲良くなったからじゃなく?

 

 「恐らくは無いと思います

 彼らと友好を結んだ人たちの話によりますと、元々温和な性格でダンジョンから出ることも無かったはずです

 しかも、彼らは人を襲う理由が無い

 色々とこちらの文化にも触れているため、寧ろ今の方が欲望に突き動かされて被害が出る可能性が高いです

 しかし、被害がありません

 なので、彼らの線は無いと思います

 それに時期から見ても友好を結ぶ前から減っているっぽいんですよ」

 

 奇妙だねぇ

 ふむ、ちなみに冒険者の討伐の依頼の達成数とかはどうなっているかわかる?

 

 「あ、その線の考慮はしていませんでした

 流石です、兄貴

 達成数が多いと、冒険者によって、魔物の数が減らされているため被害が無い

 逆に達成数が例年と変わらないか少ない場合、何か異変が起きているってことですね?」

 

 んだんだ

 まぁ後は野良魔物がダンジョンに行ったとか他諸々もあるんだろうけれど……

 できれば異変が起きていないことを願いたい

 

 「んじゃちょっくら調べてみますわ」

 

 あ、電話切れた

 えっと……メールメール

 あ、件名なし、本文なし、添付のみ……かなり怪しいメールですぞ?衣川君?

 今の電話がなかったら即廃棄だな

 うん、怪しいメールは開かない、これ鉄則

 添付を開くと……あーうん、この顔知ってる

 十数年前と顔あんまり変わって無いじゃないですか?

 わぉ、羨ましい話ですなぁ

 

 とりあえず、元悪役令嬢に送りますか

 

 『件名:件の人?

 

 本文:はろー、元悪役令嬢様

 貴方と別れて早1日になりますが、いかがお過ごしでしょうか?

 私は今まで寝ておりました

 授業をサボるという大罪を犯してしまいましたが、まぁやってしまったものは仕方が無いと諦めました

 

 さて、掲題の件、件の人物については情報が手に入りました

 恐らくは、その人物であろうと思われますが、確認を紫乃様にお願いします

 

 オーバー』

 

 ……丁寧なのかそうでないのかよくわからないメールを送ってしまった

 うん、まぁいいよね?

 

 ぺこぽん

 

 うわっ、返信はやっ

 もう返って来たか

 えっと……

 

 『件名:もっと画像無い?

 

 本文:やぁ、どこぞのモブさん

 貴方絶対社会に出て、メールとか送るの止めた方がいいよ?

 うん、そういう職業に就いたらお怒りを喰らうから

 

 それはそうと、件の人に間違いございません

 いいイベントスチルをありがとうございます

 つきましては、もっと画像は無いですか?

 後、ボイスもよこしやがりくださいませ』

 

 おおぅ、職業の幅が狭められてしまった

 衣川少年に持っていないか聞いてみるか

 

 あ、こちらも返信が早い

 あ、うん、無いの一言

 わぉ

 とりあえずバイトに行ってその時に写真と声の許可をとろう

 なんで、暫し待て

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ……ってことでケイさんの写真と声をとらせてもらってもいいですか?

 

 はい、恵からバイト先ではケイと名乗っております

 しかし、この顔からはわからないけれど、悲惨な目にあっていたんですねぇ

 もしかしたら他の人も?

 ………………あれ?もしかしてもしかしてだけれど…………

 俺はいつから、バイト先の1人が乙女ゲーの攻略対象者だと錯覚していた?

 皆イケメンだよ?

 ってことはだよ?つまりだよ?

 全員乙女ゲーの攻略対象者の可能性も……

 いや、知ったところでどうしようも無いし、うん、考えるのは止めよう、そうしよう

 

 「…………?まぁいいが、あっち」

 

 ??料金表??写真………………5000

 ぇ?1枚???高くね????

 

 「…………上半身裸までならサービス……」

 

 いやいやいや、しらねーっすよ

 あと録音が10000??

 いやいやいやいやいや

 

 「…………卑猥な言葉でも言うぞ?」

 

 いやいやいや、どうでもいいし

 ちょっと此処はパトロンと相談だよ?

 

 

 

 

 ……ってことで、まぁかなりお金がかかるわけなんだが…………

 

 「お金さえ払えば好きに撮影が出来るのね!?

 好きな言葉を言ってもらえるのね!!??」

 

 ……いやまぁ、そうなんだけれど

 

 「そこは天国ですか!!?

 お金はいくらでも払うわ!!!!!

 さぁセクCな写真と後は『愛している』ボイスを私にくださいやがりませ」

 

 令嬢の欠片も残っていないご様子

 紫乃さんはどうやら混乱しているようだ

 まぁ、お金はいくらでも払うとのことなので、まぁいいか

 

 とりあえず、普通の執事っぽい服装の写真と見返り写真(男の見返り画像って需要あるのかな?)と上半身裸の写真を取らせてもらった

 ボイスはとりあえず、『愛している』『好きだよ』の2種類

 うん、酷い拷問のような時間でしたよ?

 それらを紫乃さんに送って電話をしたところ

 

 「うひゃひゃひゃひゃひゃ~

 けひゃひゃひゃひゃ~~」

 

 うん、可笑しな声を聞いた気がしたんだけれど……気のせいだよね

 あの……送ったけど届いたかな?

 

 「100万回保存した」

 

 え?あ、はい

 

 「そのお店に行けば、どんなお姿でも撮影が可能

 どんな声も撮り放題……そういう天国があるわけですね!?」

 

 いやまぁお金は取られるけれど

 後は多少の制限も有ると思うよ?

 

 「金なら腐るほど有るわ

 それじゃ明日行くから、予約を」

 

 あ、明日はいないよ?

 

 「何ですとぉぉぉぉぉ!???」

 

 いや、だって明日出勤するの女性だし

 明後日なら……

 

 「ぐぬぬ、なら、明後日、予約よろしくぅぅぅぅぅ!!!」

 

 ……ほんとに元悪役令嬢かい?

 令嬢の欠片も残っていないんだけど……

 

 「恋の前ではそんなものは吹き飛ぶ」

 

 ………………さよか

 ってことで、ケイさん、明後日1日中予約なんですけれど大丈夫ですか?

 

 「……構わない、明後日会えるのを楽しみにしているよ子猫ちゃん」

 

 電話越しに奇声が聞こえる

 ヤダ、なにこれ、怖い

 俺、そっと電話を切る

 

 

 

 

 「すいません~」

 

 ん?お客さんの声をどこかで聞いたような……

 

 「こちらで相談事をしてくれるという話を聞いたのですが……」

 

 ………………………………なんで、委員長、緑里 蓬が此処にきているんですかぁぁぁぁ???

 ってか、しかも俺の客ですか?

 ダッシュで変装+魔法で声を変更でぇい

 

 

 

 

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