46話
パーティが終わったら、隣国へ直ぐ行くことになった
なので、お姉ちゃん先輩ともお別れしようとしていたところ
「女装なの忘れている?
魔力保つ?」
……………………ぁ
ついOKしちゃったけど、そういえばそうだ
顔も声も魔法によるものだった
魔力……保たない…………あれ?やばくない?!?
「こんなこともあろうかと……」
お姉ちゃん先輩が取り出したのは怪しいカプセルとレインボーな飲み物
わぉ
それ、朝にメイドさんから貰ったやつだよ?
もしかして、これって魔力アップなアイテムですか?
「いえーす
ささっ!ぐいっと!」
さすが姉を目指すお姉ちゃん先輩だ
用意周到
もう尊敬の念だよ
お姉ちゃん先輩も厚意に感謝して、ぐいっと
…………うはっ!!!なんて不味いんだ!!!!!
なんだこの不味さは!!!
味はもう…………魚とフルーツとモツとハーブと野菜が何十種類入っているんだ?わからん
…………実に名状しがたい味ですのん
なんかもう混ぜるな危険を混ぜちゃいましたって感じですわ
徹夜で頭が働いていないときにもこれを飲んだんだよね!!?
いかん、考えてはいけない
こういうのはさくっと飲んで流してしまうに限る
ごくりんこ
「あれを飲み干せる人間がいたのね……」
ちょ!!!ママ所長!!?
なんですかそれ!?
「いやぁうちで開発している魔力回復系なんだけれどねぇ
…………まだ試作段階なの
一応魔力回復の効果はあるから大丈夫なんだけれど
………………味が………………」
これを作った人と話がとてもしたいですね
その人メシマズなきらいがありますよ?
「………………
あの子曰く、魔力回復に関連するもの全部詰めちゃいました」
………………それ分割しませんか?
私が飲んだときに理解できた食材だと、魚はハーブ、モツは他の肉とハーブ、フルーツは野菜系の3種類にしません?
他はちょっとどんな食材が入っているかわからないので、なんともいえないのですが……
料理長にも手伝ってもらって、食材の組み合わせを確認してもらってはいかがですか?
ただ、順番に食べても魔力が回復されるかはわかりませんので、そちらは確認しないといけませんが……
「!?
士君、ただの太股好きなだけじゃないのね?」
……それ忘れませんか?
「ふふふ
しかし、こうしちゃいられないわ
開発主任を起こして、料理長と会わせなければ……それじゃ士君も頑張ってね」
はい、魔力回復ありがとうございました
「にひひぃ、お姉ちゃん先輩ですから
あ、隣国から帰ってきたらうちに寄って来てね
服とかあるから……」
了解ですよ、お姉ちゃん先輩
それじゃ行って来ます
「「行ってらっしゃい~」」
お姉ちゃん先輩等と別れて、紫乃さんの所へ行く
そして、黒い、とても強そうな車の中へ乗り込む
わぉ
中がとても広いですわ
椅子も相変わらずふわふわ
もうお金持ちの車ってこんなのばかりですか?
時間がお昼時なので、サンドイッチを貰いました
味が普通の野菜と卵のサンドイッチ
うん、オーラがある朝御飯とあると思われるクッキーをパクパク食べてたせいか少し物足りない感じががが……
いやいやいや、これが普通なんだ
食のオーラありありの食べ物に慣れてはいけない
慣れてしまったら不通に食べるだけじゃ満足できなくなってしまう
とりあえず、隣国へ着くまで、紫乃さんとお話です
私に会ってもらいたい人について伺いましょう
「貴方にあって欲しい人は6名」
なにか面談か何かで一人ずつと会っていくのですか?
「いいえ、6名と一緒に……」
???面談じゃない???
「んっと……私と一緒に商店街に来てほしいの
そうすると向こうから勝手に来て会える……から……」
商店街で、6人?
3-3のトリプルデート??リア充の権化みたいなやつと会ってどうすればいいの?
「3-3のトリプルデートじゃないの
1-5の逆ハーレム…………
……何をするかは、15時30分に逆ハーレムと私が出会うから立ち会って欲しい
それ以外は好きにショッピングしていいから……その時間だけはお願い」
15時30分限定?逆ハーレムさん達と一緒に遊ぶお話とかあるの?
「無い……けど、そうなるの、絶対」
ぉぉぅ……なにやら自信満々ですわね
まぁよくわかりませんが、それまで一緒に楽しみましょう
「ぇ?」
ぇ?ってまさか私1人でショッピングをしてこいとおっしゃられるのですか?
「えぇ」
自慢じゃないですけれどお金ありませんよ?
カード?何それ?
家訓でカードはポイントカードのみ許可されているのでクレジット何てありませんよ?
ってなると1人でウィンドゥショッピング?
そうしたら迷子になるのがオチデスヨ?
「……私、財布兼案内?」
必殺、うるるな綺麗なお目目
「そんな濁った目、はじめた見たわ」
し、失敬な
「お金に関してはこのカードを渡そうと思ったんだけど……」
カード?
「はい」
ブラックなカード!!!???!?
ぇ?何でせうか、これ?
かなり…………かなり危険な匂いがするよ?
「ブラックカード
ちなみに何でも買えるよ?」
やめてぇぇぇぇ
何か凄い怖いんですけどこれ
私みたいな田舎者には現金の方が幸せなの
このカードなんか怖いぃぃぃ
超怖いんですけどぉぉぉお
「ふふふ」
何で笑顔で持ってくるぅぅぅ?
ダメダメダメ
そんなカードもって近づいたらダメダメダメ絶対
「まぁ冗談はこれくらいにしておいて、はいこれ」
おぉ、今度は白いカード
これからは危険な香りがしない
これは何のカード?
「まぁ私のお店で使えるキャッシュカード
……実は商店街のオーナーやってまして……
そのキャッシュカードで買い物できるよ
金額は10万ほど入っていたかな?」
おぉぅ、まだお若いのに商店街持ちですか?
「他にも色んな経営しているよ?
遊園地とか、レストラン、おにぎり屋さんにパン屋さん等
まぁ色々とね」
……わぉ、年はほとんど私と変わらないのにそんなに……
凄い凄い~
ってことはやっぱり案内してよ
オススメの場所とかさ
「オススメは全部です
ホントはちゃんと案内したいんだけれど、仕事があって……」
むぅ……なら、仕方がないか……
「ちなみに迷子になることはないと思いますわよ」
ほわぃ?
「一本道だから
これで迷子になる人がいるなら見てみたいわね」
左様でございますか
えっとそれじゃぁ、待ち合わせ場所は……
「北側にあるベンチで休憩していますのでそちらで」
了解~
さて、商店街に着いたぞ
待ち合わせ場所で紫乃さんと別れて別行動
このホワイトカードがあれば何でも出来る
残り1時間ちょい、隣国をエンジョイするぜ
流石にサンドイッチ1つだけだと小腹が空くので食べ物系はいくつか攻めたい所
ありゃ、音楽屋があるよ?!
ついでだから、モノクロリータズだっけ?がここでも人気があるのかチラッとみてみよう
後は……まぁ気になった看板があれば突撃しようか
んじゃ、GOGO
音楽屋さんへ行った
店員さんと話した
モノクロリータズは知らないとのこと
……人気があるといっても所詮はローカルアイドルだったのか
頑張れモノクロリータズ
隣国にも人気になれるよう頑張れ
店員さんのスーパーセールストークによって、音楽が聴けるアイテムを購入しちゃった
占い屋さんがいた
1回500円と良心的な値段だったし、ちょっと気になって占ってもらった
ため息つかれた
何故!?
2度目のため息が返ってきた
ほわぃ?
占い師さんから「強く生きて」との言葉を貰った
いやいやいやいや、気になるんですけれど
私、気になります
凄く、凄く気になります
「ここ1ヶ月が山ですから、頑張って生きてください」とのお言葉をいただきました
ぇ?私、モブよ!?
なんで山があるの?
平坦な道が大好きなの
お~ぃ、目を、目を合わせてください
ぉぅ、次のお客さんが来たので、諦めた
匂いに釣られて進むと焼き鳥屋さん発見
うん、この匂いは卑怯じゃない?
お腹ぺこりんぬな私にこの匂いを嗅いでしまったら、逆らえないじゃないですか?
この国特有の鶏、まっとり、の焼き鳥らしい
塩で4本購入
2本は紫乃さんへの差し入れですよ?
気が付いたら集合時間20分前
そろそろ戻ろうかなと思っていたらソフトクリーム屋さん発見
花とソフトクリームの融合ですと?
私、気になります
買わざるを得ない
薔薇ソフトクリームを2ついただきました
うん、匂いもきつくもなく、いい感じ
なかなかいい年ごろのおじさまでしたが、やるな
褒め称えていたらもう1本おまけしようとしてくれました
「両手に花、これ以上は望みませんよ?」と、談笑しながらお断りしました
しかし、黒歴史に載りそうな台詞を吐いてしまった
うん、忘れよう
待ち合わせ時間10分前なので戻りましょう
紫乃さんも差し入れ喜んでくれるかなぁ
待ち合わせ場所に行くと、なぜか大声を張り上げている人がいましたよ?
紫乃さんと……相手がなんだか貴族っぽいの、騎士っぽいの、魔法使いっぽいの、僧侶っぽいの、冒険者っぽいの、あとそれらを率いている姫っぽいの
あぁこれが会わせたかった6名?
しっかし、商店街に似合わない6名だねぇ
TPOを弁えなよ
商店街にフルアーマー着てくる馬鹿がどこにいるんだよ?
そういえばこれ、逆ハーレムによるデートだよね?
魔法使いっぽいの、なんでそんな雰囲気が暗い格好するの?
僧侶っぽいのももうデートって雰囲気出てないねぇ
冒険者、お前はその頭でいいと思っているんだろうか?
どっかで爆発の余波喰らった、そんな変な頭でデート?
とりあえず、貴族っぽい人がなんだか大声を張り上げているんですけれど、「なんで、お前がここにいる」とかまぁ怒っているっぽいねぇ
とりあえず空気ぶち壊しておきましょう
おまたせ~~♪
そう言って、紫乃さんのところへ駆け寄る
薔薇ソフトクリームは溶けるといけないので、直ぐ渡す
「あ、ありがとう」
ついでに買ってきた焼き鳥も渡す
「なんなんだ、貴様は」
貴族っぽい人突っかかるなぁ
何をそんなにカリカリしているんだろう?
まぁ自己紹介は必要だよね?
どうも、はじめまして、紫乃さんの友人の塚本 愛と申します
そちらはどなた様でしょうか?
「私の婚約者よ」
薔薇ソフトクリームを舐めながら教えてくれる紫乃さん
おぉ美味しそうに食べてるわぁ
いいねぇその笑顔
美味しいもの食べていると心に余裕ができるよね?
しかし、紫乃さんの婚約者さんかー
なんで心に余裕が無いのかねぇ
しょうがないなぁ
私の薔薇ソフトクリームでもどうぞ
「いらんわ、こんなもの」
はたかれる私の手
スリルと手から抜けていく薔薇ソフトクリームちゃん
スローモーションで落ちていく薔薇ソフトクリームちゃん
地面に落ちた薔薇ソフトクリームちゃん
ぺちょん
あぁぁぁぁぁぁっぁぁぁああああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!
出てきたのは魂の慟哭
紫乃さんの方へ向いて、心の中で訴えかける
この人、殺っていい?
紫乃さんの返答は首の横振り
がっくし、んじゃ半殺しは?
少し悩んだ後に、紫乃さんの返答は首の縦振り
婚約者さんから許可をいただきました
さぁて、こいつを潰すぞぃ
連休……気が付けば3日が終わっている不思議




