45話
メイドさんが、一晩でやってくれました
ごきげんよう、モブ子です
結局あの後、ずっと訓練です
一睡も出来ませんでした
メイドさんが交代するに当たって、皆、目が覚めるツボを突いていったので眠れませんでした
これは多分拷問に使えると思いますの
メイドさんの怖さを体現しましたよ?
はい、もうふわふわしています
超眠いです
はぅっ
あ、また眠れないツボを突かれました
まだふわふわ感は残っています
メイドさんに食事の前にといただきました……とてもカラフルなカプセルと7色のカラフルな色の飲み物です
いただきますー
味?
何か凄いです
何か色々な味が混ざっています
まともなら面白いリアクションをしていそうなんですが……ふわふわしていてリアクションができません
朝御飯です
あ、パパ所長、ママ当主です、ごきげんよう
あれ?変な顔していますけれどどうしたのでしょうか?
お姉ちゃん先輩も少し遅れて登場してきました
ごきげんよう、お姉ちゃん先輩
あれ?お姉ちゃん先輩も変な顔していますよ?どうしましたか?
「どうかしたのは弟後輩君のほうだよ?
どうしたの?」
いや、昨日執事さんから、女性らしさ、優雅さ、気品さ、そして何より速さが足りないといわれましたので、夜通しで訓練していましたの
その成果が私ですが……なにか不味かったでしょうか?
「ごめん、ちょっとキモイ」
ぐすん
この顔と声でやるからダメなのですね?
《カントリーガールモード》
これで、どうかなお姉ちゃん先輩?
あれ?お姉ちゃん先輩、メイドさんを連れてどっかいったよ?
耳を澄ませば……やりすぎとか減給とか、寝れば直りますとかなんかよくわからないこと言っているよ?
あ、帰ってきた
「……と、とりあえず魔力温存の為に今は呪文を解除しようか?
後、男の状態でその口調はちょっと厳しいから元に戻ってもらうと嬉しいなぁ」
ティーパーティで元に戻せるか不安だけど、お姉ちゃん先輩がそういうなら……
改めておはようございます
夕パパ所長、楓ママ当主、お姉ちゃん先輩
本日はよろしくお願いします
「うん、こちらこそよろしくね」
朝7時、朝食をいただきます
献立は……典型的な和食でした
うまさが自分で作るなんちゃって和食と圧倒的に違う
うめぇ
ふわふわ感が吹っ飛んだよ
材料、それともオーラを見る料理法のせい?
ごちそうさまでした
さて、今日のための設定です
私→塚本 愛 通称つかちゃん 田舎娘
お姉ちゃん先輩→鈴宮 美奈 通称すずお姉ちゃん 地味キャラ
楓ママ当主→茶包 薄 通称つつみんお姉様
後はこれで臨機応変で……適当?作戦なんてそんなものです
さて、着替えです
ドレスの着方とかよくわかりませんので、メイドさんの成すがまま
そして、成すがままにされていると、よくわからないツボを突かれまくっています
頭がよくなるツボとか、身体能力が少し上がるツボとか言っていますが、マジで?
後、女の子らしくなるツボとかおしとやかになるツボとか一杯突いてきました
男らしくなるツボとかも突かれました……メイドさんは私にどうなって欲しいのでしょうか?
ってか、もしかしなくても秘技の試し打ちしていません?
ツボ突きも切り上げてもらって、お姉ちゃん先輩のところにいく
うぅぅ、ヒール歩きにくいよぅ
これ、多分明日足がおかしくなるパターンですこと
あれ?
なんで楓ママ当主が地味っぽくしているんでしょうか?
「ママ、一発でばれたよ?」
「う~ん、何ででしょ?」
まぁ見た目だけなら結構騙せると思いますけれど……楓ママ当主とお姉ちゃん先輩なら結構違うところがありますから
「弟後輩君、詳しく」
と言っても、感覚的に違和感があるっていうのがほとんどです
ただ決定的に違うのが……
「……のが?」
楓ママ当主の場合は、溢れ出て来る人妻オーラ
お姉ちゃん先輩の場合は、溢れ出て来る姉オーラですね
あ、夕パパ所長がなんかわかるって顔している
「「私からそんなオーラ出ているの?」」
出てますよ?
なので、それ見れば私の場合はお二方が変装されてもわかりますね
「溢れ出る人妻オーラ」「溢れ出る姉オーラ」
まぁなんで、そんなことをしたのかわかりませんが、お二人とも着替えませんか?
そろそろ準備をしませんと、遅刻しちゃいますよ?
そして、準備して現れた2人
つつみんお姉様の楓ママ当主
うん、わずかな違和感しか無いですわ
身長とオムネがいつもよりちょっと増量ってな感じでしょうか?
ヒールでちょっと身長が変わりましたとか、普段ちょっと抑えているんですとか言われると騙されますね
うん、溢れ出てくる人妻オーラを見分けられなければ私も見分けるのかなり怪しいですわ
黒のドレスにポニテで……チラッと出ている肩とうなじでホント溢れ出てくる人妻のオーラ
すずお姉ちゃんのお姉ちゃん先輩
眼鏡、三つ網の青いドレスでおとなしめ系文芸少女になりました
……うん、これは姉オーラを見る以外だと絶対にわかりませんわ
面影がチラッと残っていますので……たぶん、妹さんですか?って言ってしまいそうです
人間ってこんなに変わるものなんですね?
なんだか高そうで強そうな黒い車に乗って、パーティ会場へ到着です
車の中が凄く広かったです
おまけに椅子がふかふか
はしゃぎそうだったんですけれど、そこは優雅さ気品さを失われないように自制ですよ
しかし会場に入ったときは、はいボーっとしていました
いや、広いんですよ、キラキラしいのですよ
キョロキョロするのも仕方が無いじゃないですか?
ほら、田舎娘って設定ですし
高そうなツボに綺麗な花が一杯
色んな絵画もあるけれど……芸術って良くわかりません
なんであんなの飾ってあるのでしょうか?
「あれ、500万はくだらないらしいよ」
芸術ってホントよくわかりません
で、私らはどこに座ればよろしいのでしょうか?
ありゃ?お姉ちゃんが手招きいらっしゃいますわ
ここに座っていればいいの?
開始時間まで、少し時間があるので周りをキョロキョロします
そうこうしているうちに他の招待客も来たようです
あ、今のうちにすずお姉ちゃんとつつみんお姉様と接続しておこう
魔力で練った糸を2人に接続する
本音はこちらでお願いします
(あれ?弟後輩君できたの?お姉ちゃん先輩、了解~)
(楓ママ当主も了解~、ん~でも……)
どうしました?
(つかちゃんがこれ使ったら、魔力持つ?
ただでさえ、顔と声で魔力つかっているのに……)
……
(ってことで、この役は楓ママ当主にお任せ)
あれ?魔力で作った糸から辿られて……あ、パスが奪われた
(一種の精神攻撃とかも出来るからねぇ、この手のヤツって
対処方法とかは山ほどあるのよ)
……魔法に対しての年季が違いすぎますわ
(魔法の精神干渉系の対策は家では一番最初にやることだよ)
(変なのに引っかかりたくないからねぇ)
……貴族的なものですか
あ、メイドさんだ
え、お茶入れてくださるのですか?
つつみんお姉様が虹ペコリン?すずお姉ちゃんがアットダージレイ?
わぉ、何そのかっこいい名前?呪文か何か?
ぇ?紅茶ですか?
流石に一夜漬けではそんなの習っていませんわ?
匂いのきつくない紅茶ってありませんか?
ありますの?
おょ?ポケットからティーカップとティーポットですか?
ぇ?ポケットに対して、明らかに容量が足りないませんよね?
おぉ、カップに注がれた紅茶、うんいい色しているし、匂いもきつくない
ありがとうございます、メイドさん
(弟後輩君、メイド萌?)
ぇ?何でそうなるんですか?
(私ぐらい人生経験者になるとつかちゃんがメイドさんのお尻に熱視線を送っていたのはお見通しなのよ
さぁ観念しましょう)
もうつつみんお姉様まで一緒に何を言っているんですか?
ひどい冤罪です
後、私お尻派じゃないので、それは多分幻覚ですよ?
(弟後輩君は胸派、と……メモメモ)
いや、太股派です……って何言わせるんですか?
(太股派……メモメモ)
メモ止めましょうよ
すずお姉ちゃんもつつみんお姉様もジト目止めてください
といいますか私が気になったのは、メイド服からティーカップとティーポットが出ましたのよ?
気になりません?
((空間魔法))
……ポケットには夢が詰まっているわけじゃなかったのですね?
(夢って……あ、誰か来た)
金髪スーツさらさらヘアーさんとその子分1と2がテーブルに座った
爽やかスマイルで
「お久しぶりです、薄さん、そちらのお嬢さん方2人は初めまして、三枝と言います」
適当な挨拶を返しながら、
Guilty……香水がきつすぎる、なんでこんなにきついの?
(Guilty……うん、これはないわ)
(Guilty……爽やかスマイルが凄い胡散臭そう)
と、3者3様で爽やか三枝にダメだしをする
ご退場願いましょうか?
((賛成~))
楓ママ当主やお姉ちゃん先輩が言うと後々面倒なことになるかもしれないので、不肖この田舎娘が断罪します
あの~、三枝様にお伺いしたいのですけれど、香水を大量につけていらっしゃいますが……その、お風呂にいつも入らないんですか?
「は?」「お前、三枝様に向かって何を?」「叩き斬られたいのか?」
突然失礼なことを言って、すみません
でも私の地域では、お風呂に入らない不潔な人が匂いを誤魔化す為に、キツイ香水をつけて紛らわせているんですよ
まさか貴族の方がお風呂に入らないなんてことは無いのかなと思われますが、ちょっと確認の為に
「いや?そんなことは無いよ
僕は毎日風呂に入っているし、清潔だよ!?」
ならば、何故そんなにキツイ香水をつけていらしているのでしょうか?
もしかして、それが貴族の嗜みというヤツなのでしょうか?
「ん~、そうだよ
まぁ庶民の君にはわからないだろうがね」
じゃぁつつみお姉様も香水を?
「していないわよ?」
ってことは貴族の嗜みをしていないから……お姉様も貴族じゃないとおっしゃられるのですね?
そういえば、つつみお姉様のパパママも香水をつけていませんよね?ということは、貴方的には茶包家は貴族じゃないとおっしゃられるのですね?
「ぇ?」
ふふ、つつみお姉様と庶民同盟です
……それで、ハイソな貴族である貴方がこの庶民同盟の前に何故いらっしゃるのでしょうか?
非常に申し訳ないのですが、庶民の私には匂いがキツイので出来れば離れていただけると嬉しいのですが……
「貴様」「言わせておけば」
開始早々、貴族じゃないとディスられ、飼い犬の躾もできていない
……貴族ってそのような方ばかりなのですか?
そんな人とも会話をしなくてはいけないなんて……つつみお姉様、かわいそうです
あ、つまりそういうことですの?
つつみお姉様にお前は貴族なんかじゃないぞ、と喧嘩を売りに来たのでしょうか?
「「「ぇ?」」」
そうでしたら、もう三枝家の皆様はつつみお姉様たちと戦争を仕掛ける準備は出来ているってことですよね?
早急に帰ってこちらも準備をしないといけませんわ
「「「いやいやいやいや」」」
またまたご冗談を
あ、もしかして所謂、貴族ルールで話をしていたのですか?
すみません、こういうパーティには初めて来ましたので……もう、つつみお姉様ったら、そんなルールがあるなら教えてくださいよ~
あっ、貴族内でしか適用されないルールなのですね?
庶民の私には中々難しいルールなのですね?
察するに……逆のことを言う感じ?なのかな?
そうすると今までの会話って
いい匂いですね、さぞかし清潔なんですね?→毎日風呂は入らないし、超不潔→なんて素敵な匂いなの、この匂いは貴族の嗜み?→わかる?→お姉様も香水は?→してるよ→
とそんなの会話の流れだったんですね?
それを私が知らないばっかりに、大変申し訳ございませんでした
そして、お風呂を毎日入っていないことをパーティで皆の前でばらしてしまってすみません
「うわぁぁっぁぁん」「「三枝様!???」」
あ、泣いて逃げていきましたわ
子分A,Bも追従しましたわ
ごきげんよう、三枝様とその子分A,B様
あれ?……なんか、後ろから女性からの殺気と言いますか、怨念といいますか……
すずお姉ちゃん、あの殺気を飛ばしているご令嬢にフォローをお願いしたいんですけれど、大丈夫ですか?
(いいけど、なんてフォローすればいい?)
今なら彼は傷心中だから、優しくしてあげたら貴方のことが気になって仕方が無いですよ?と
男性って結構単純ですから
(……ふ~ん……まぁ分かったよ)
あ、殺気が止まった
そのご令嬢が、優雅に立ち去っていきましたわ
一歩一歩が雅ですわ
(それにしても……ふふふ、茶包家に戦争か、風呂入っていない疑惑の2択を出して追い詰めるとか……)
(弟後輩君マジ外道~♪)
……すずお姉ちゃんなんだか嬉しそうですわ?
(あの匂いのキツイさは私もちょっと……ってな感じだったからねぇ)
ならよかったですわ……ちなみにすずお姉ちゃんが気になっている男性ってこの会場にいますか?
(ん~……特にはいない……かなぁ)
間が気になるのですが、Guilty判定出た人はバスバスご退場願えばいいわけですね?
(……ちなみにつかちゃん、そんな貴族ルールはないからね)
普通に話をしてもいいんですね?逆にして話さないとダメとか面倒ですよね?
…………………………
……………………
………………
…………
……
……
ふぅ、つつみお姉様に近づく輩をばったばったとダメ出ししてしまいましたわ
でもしょうがないと思いますの
なんだか、自分の家の歴史ばかりの自慢で、いざ自分については聞いたら、「明日の俺に聞いてくれ」とかふざけてませんか?
他にも、ランクAのギルドカードを持って来てドヤ顔している人がいましたが、モンスターと仲良く出来ます?って聞いたら「モンスターは滅殺」とか……モンスターとの商売も手がけている家の娘に言う台詞でしょうか?
後はまぁ……なんにも喋らない人だったり、どうでもいい自慢話を延々と語ったり、鼻の下伸ばしながら話す人とか
まぁ兎にも角にもまともな貴族が少なかったよ?
個人的には12歳の少年が結構まともかなって思ってSafe判定を出していたんだけれど
……年齢的につつみお姉様とすずお姉ちゃんからGuilty判定を喰らいました
彼には純粋に育って欲しいものです
こんな駄目な貴族たちを見本にしちゃ駄目だよ
それにしても、いつもこういう人たちとお姉ちゃん先輩は話しているのかな?
よく耐えられるなぁ
お姉ちゃん先輩の度量の広さに感服ですよ
後、この国の貴族はこんな駄目貴族しかいなかったりしませんよね?
ちょっと不安になってきた今日この頃です
ダメ出しで全員倒しましたので、漸く一息つけます
お姉ちゃん先輩は主催者に挨拶
ついでに楓ママ所長も一緒です
私は庶民なので、まぁまったり紅茶を飲んで一息ついています
お茶請けのクッキーだったり、羊羹だったり、アップルパイだったり色々いただいております
美味です
大変おいしゅうございます
こちらを作った方も食のオーラが見えるのでしょうか?
もしそうなら食のオーラを本格的に見えるように修行をしたほうがいいか迷っています
それにしてもまさかの昨日の特訓での速さがここで役に立っています
大きく口を開けて食べるのは、はしたない
かといって、とても美味しそうなお茶請けをちびちび食べるのも嫌です
なので、ささっと口に入れてここに速さの特訓が活きています
速さの特訓でなぜか手の素振りの特訓をしていたのはこのためだったんですね?
疑ってごめんなさい
……あれ?紫ツインテ碧眼の美人さんがこっちに来るよ?
苦情ですか?
何故私にフォローさせなかったっていう苦情ですか?
いやいやいや、自意識過剰はよくありません
さぁ後ろを見てみるのです
きっと誰かがいるのです
ほ~ら、後ろを見てみれば……誰もいませんでした
あぁ、真正面に座られました
ど、どちら様でしょうか?
「はじめまして、私は紫乃 陽炎」
ご丁寧に、私は塚本 愛と申します
それで、紫乃様はどのようなご用件で?
つつみお姉様はいませんわよ?
「はい、貴方に御用がありますの
塚本様は今日のこの後の予定ってありますか?」
帰ったら睡眠予定ですが……
お恥ずかしながら、昨日パーティで緊張していまして、眠っていませんので……
「暇……ということですね?
それならば、お願いがあるのですが、隣の我が国に来て少し見てもらいたいものがありますの
そして、出来れば知恵をお借りしたいなぁと……」
私、見ての通り田舎娘ですよ?
お茶請けで幸せになれる人間ですよ?
専門的な知識があるわけでもないのですよ?
「はい、承知しておりますわ」
……それじゃぁ何故?
「貴方に見てもらいたいのは人なのです
先ほどから、こちらの貴族の皆さんにダメ出しなさっていたじゃないですか?
ある人物について、貴方の所見が欲しいのです」
それでしたら来週とかはダメですか?
その、睡眠をとらないと頭も働かない可能性が非常にありますので……
「来週だともうだめなのです
今日じゃなければダメなのです
理由は今は詳しいことは言えません……今言っても信じてもらえないと思いますので
貴方に見てもらいたい人を見せたときに言います
睡眠は申し訳ないのですが、移動中に仮眠を取って頂くことではダメでしょうか?」
そのうるうるした瞳は止めて
手を握るのも止めて
「お願いします
貴方様しか頼れないんです」
うるうる度を上げないで?
手を強く握らないで?
……………………わかりました、わかりましたから
そちらの国に着いたらちゃんと理由も話してくれるんですよね?
「はい、ありがとうございます塚本様」
ちなみに移動ってどれくらいかかりますか?
「2時間ほどですね」
仮眠取ったら起きれませんわね
徹夜状態をそのまま継続しかありませんわね
はてはて、お隣の国には一体何があるのでしょうか?
とりあえず眠らない為にカフェインですわね
私はメイドさんに頼んで紅茶とお茶請けの追加をお願いした
気が付けば1ヶ月がたっている不思議
テンションが欲しい




