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モブキャラライフ  作者: リエッタ
本編
42/77

36話

 ダンジョンに突入してから時間がどれだけだったのだろうか?

 多分だけど、結構経っているようで大して経っていないと思います

 現在、文献に載っていたトラップ類の裏づけを取っている最中です

 プチ落とし穴から、針地獄、設置矢、炎上、雷撃、水流、迫る壁……なんでもござれ

 そして、トラップに引っかかる度にゴブリンさんの5,6人程やってきている

 引っかかってるんじゃないかって?

 いやいやいや、罠のスイッチは魔法で押してますよ?

 そして、ひっそりと様子を見ているだけですよ?

 ゴブリン5,6人いるならコミュニケーションとらないのかって?

 いやいやいや、5,6人相手は無理っす

 いざとなったら逃げること出来ないんで……

 死にたくないからコミュニケーションをとろうとするんだよ?

 なので、1人の時が狙い目

 多くても2人が限界です

 

 おっと、調度いいところにゴブリンさんが1人でいますよ?

 では行ってきます

 片手を挙げ、あたかも知り合いのように挨拶をする

 

 「はむふぅーびろにあ」

 

 ちなみに意味は知らない

 昨日付け焼刃で調べた文献にあったの

 これを言えば相手は必ず挨拶を返してくれるって

 ちなみに文献が発行されたのは30年程前

 ……俺信じてる

 この言葉が「こんにちは」みたいにずっと使用できる言葉だってことを……

 

 「はむはむはぁむ」

 

 おぉぉ、ちゃんと返答が来た

 でも何言っているのかわかんないや

 

 「長老……自分が何を言って、彼?がなんと答えたか教えてもらってもいいですか?」

 

 「主が『俺、かっこいい』って言って、彼が『俺のほうがかっこいい』」

 

 ぉぅ……俺そんなこと言ったのか

 ……ヤベェ、これ、後で「人間がイキナリ『俺、かっこいい』って言ってきたんだぜ?HAHAHA~」みたいにゴブリン界での変な噂になりそうだ

 俺はナルシストじゃないんだー

 ……とりあえず、このことは絶対に黒姫に知られてはならない

 うん

 さて、気を取り直してコミュニケーションの続きをしましょう

 

 「長老、翻訳お願いします」

 

 「うむ」

 

 「はじめまして、おはようございます

 私は人間で名前は守武 士と申します

 先ほどは大変おかしなことを言って申し訳ございません

 人間の中で、ゴブリンに挨拶をする場合、あの言葉を使おうという話をありまして、それゆえ意味知らず使用してしまいました

 さて、私は貴方たちとお話しをしたいと思っていますが、お時間はよろしいでしょうか?」

 

 バイトで鍛えた営業スマイル発動

 

 ……………………

 ………………

 …………

 ……

 

 あれ?ゴブリンさんがぽかーんとして動かないよ?

 あ、再起動した

 長老と何か話してる……翻訳を!ぷりーず、ぎぶみー翻訳

 

 「何で君は僕たちを攻撃しないのか?」

 

 えぇぇぇぇぇl????普通にゴブリンさん喋ってるぅぅぅぅぅ!!????

 営業スマイルは崩しません

 超驚きましたが、崩しませんとも

 

 「そもそも何で攻撃しなくちゃいけないの?」

 

 「え?」

 

 「まぁ俺には別に種族が違うからって攻撃する人間の気持ちなんてわかりませんが、まぁ脳筋だからじゃないでしょうか?」

 

 「脳……筋……?」

 

 「脳が筋肉で出ている連中です

 やつらの思考は俺強いかハーレム最高かお金最高か……他はちょっとわからないですが

 まぁそんなところですかね?

 だから、戦闘がしたくてしたくて堪らないんじゃないんでしょうかね?

 あちらに脳筋の方がいらっしゃいますので、ちょっと呼びますね?」

 

 ハンドサインかむかむ

 やってくる黒姫

 

 「こちらのゴブリンさんが何故人間は僕たちを襲うのか?って聞いているけど……脳筋さん的には……ってうぉ?」

 

 こっちに魔法をぶっ放しやがった

 

 「ヤダー脳筋こわーい、人間同士にも攻撃を……うぉ」

 

 無詠唱でその速度で魔法放つのまじやめてくんない?

 

 「私のこと脳筋言うの止めて」

 

 「じゃぁ黒姫さんは何故ダンジョンに入るときは好戦的だったの?」

 

 「そんなの決まっているわ

 そのゴブリンが何故人間が僕たちを襲うのか?って話だけどそもそも逆

 モンスターは人間を襲うから自衛の為に先に襲うってだけの話」

 

 あー、なるほど

 

 「僕たちは君たち人間を襲ったことは無いよ?」

 

 「でもお仲間が襲うじゃない

 一応私これでも色んな情報を持っているけど、各地で魔物が発生して人間を襲っているのよ?」

 

 「僕たちはそんなことしないよ」

 

 つまり、だ

 魔物の中にはいい魔物もいます、彼らは争う気はありません

 しかし、魔物の中には嫌な魔物もいます、彼らは人を襲います

 そういう場面を見ていると魔物=悪になり、いい魔物も悪のレッテルを貼られる……となるのか

 そうすることで、人間側は魔物を襲う

 いい魔物がいても人間=悪のレッテルが貼られていい魔物も人間を襲う……と

 悪循環だわこれ

 この魔物はいい魔物だから襲わないでくださいって言っても少なくても人間側には例えばこのゴブリンと村を襲うゴブリンとの識別ができない

 何とかできるかなぁ

 ……とりあえず

 

 「脳筋って言ってごめんなさい」

 

 「わ、わかればいいのよ」

 

 ふむ、それにしてもゴブリンと仲良くなるためには……

 先ずは信頼を得る必要があるのか

 

 「お近づきの印にこれをどうぞ」

 

 ゴブリンにジャージのポケットから差し出したのはミルクキャンディ

 やっぱ賄賂でしょ?

 自分も口に入れ、ミルクキャンディの無害アピール

 ゴブリンさんが恐る恐る口に入れ……破顔一笑

 気に入っていただけて何より

 ここで、さらに畳み掛ける

 

 「ゴブリンさん、他の方たちは貴方と同じように人間と争う予定が無かったりしますかね?」

 

 「ここにいる僕らの大体はそうだよ?」

 

 「なら、集めてもらってもいいですか?

 皆さんにもこれ等を分けたいのですが……」

 

 「是非に」

 

 そして、案内されたのはログハウス?

 俺らを案内したゴブリンはなにやら別のゴブリンに話をしていて……話かけられたゴブリンが笛を吹いた

 笛を吹いた後……ゴブリンがひょっこり現れる

 次から次へと

 ひょっこり現れた数が50を超えたぐらいだろうか……なんか強そうなゴブリンが現れた

 そして、威厳たっぷりな声で

 

 「ようこそ、人間

 ワシはこのあたりを仕切っておる長じゃ」

 

 「はじめまして

 私は人間、名は守武 士と申します

 このたびはお会い出来て光栄です」

 

 「それで、今回ワシ等を集めたのは、なにやらワシ等に贈り物が有るという話だが……」

 

 「はい、私、個人的に貴方方と仲良くしたいと思いまして

 持って参りますので少々お待ちください

 長老、お願いします」

 

 「うむ」

 

 俺の足元に穴が開き、落ちていく

 落ちていく最中、黒姫が「ちょっと、こんな所に私1人置いてかないでよー」っていってた気がするけどきっと気のせい

 黒姫は強い子だからそんなこと言わないよね?

 リュックを担ぎ再度長老にお願いしダンジョンに戻る

 ダンジョンに戻ると……黒姫が泣いていた

 そして、その様子に先ほどの威厳たっぷりな長のゴブリンがおろおろしていた

 周りのゴブリンもおろおろしていた

 あれ?1分しか経っていないのにこの惨状は何?

 

 「おぉ、いいところに来た人間

 はやく、はやくこの女子を泣き止ませてくれないか?」

 

 黒姫さ~ん、貴方何泣いているんですか?

 ちょっと~?

 仕方がない、妹に使う最強の泣き止め技を使いますか

 パシャパシャパシャ

 バシバシ写真を撮る俺

 やがて撮られていることに気づいた黒姫が羞恥のため泣き止む

 

 「ねぇ……もしかして……今の撮った?」

 

 その返答には笑顔で返す

 そ・の・デ・ー・タ・を・消・せ

 そんな無言の圧力をいただきますがしらーん

 だって黒姫も俺の脅迫材料持っているんでしょ?仕事で女装とか女装とか女装とかしている証拠写真

 こっちも持っておかないと不安なわけですよ

 

 「自分のツレがお騒がせしました

 そして、こちらが贈答品になります」

 

 リュックから取り出したるは駄菓子

 ゴブリンに食べ方をレクチャー……といっても包装はとってねぐらいだけだが、ゴブリンたちはまったり駄菓子パーティ開催

 お茶の文化がないので、こちらからほうじ茶を進呈

 駄菓子をちらちら気にしている様子の黒姫

 贈答用に手を付けられては堪らないので、自分用に持ってきたものを分ける

 なんだか気に入った様子なんだが……頼むから買占めはやめろな?

 駄菓子屋には子供とか妖精とか来るんだからな?俺は大人買いで止めてるぞ?

 黒姫には前科(動物シリーズの買占め)があるから一応釘を刺す

 まったーりしているところゴブリンの長から質問がくる

 

 「先ほどパシャパシャしてたあれって一体なんじゃ?」

 

 「カメラといって、景色を撮ることができるものです」

 

 う~む、説明がうまくないせいかあまりよくわかっていらっしゃらないご様子

 百聞は一見にしかず

 ってことで、先ほど撮った景色を見せることに……まぁ泣いている黒姫とそのまわりでおろおろするゴブリンですがね

 

 「おーーーー、なんとも不思議なものじゃ

 な、な、人間?これって我々にも使うことが出来るのか?」

 

 「勿論です!使ってみますか?」

 

 こうして、ゴブリンのカメラ体験が始まる

 なんか超楽しそうだ

 しっかし、こういうプレゼントもあるのか……仲良くなる為に胃袋を掴もうと食べ物系ばかり買ってきたんだが……

 

 「今度来た時、それと同じ様なのを贈りましょうか?」

 

 「是非に、最近娯楽が少なくてのぅ」

 

 「普段はどんなことしているんですか?」

 

 「こっちの階だと、トラップに嵌ったヤツを笑いに来たりぐらいかのぅ

 今じゃ身内だとどこにトラップがあるか分かっているからほとんどこの遊びはできないんだがのぅ

 下の階だとまぁ自分たちで何か作ったりしているかのぅ」

 

 ゴブリン達が集まってきたのはトラップに引っかかるなんてHAHAHAってするためだったのか

 うん、隠れてて良かった

 そして、ゴブリンが住んでいるのは下の階までか

 

 「ちなみにトラップが全部わかっているってことはそういう情報って共有しているのですか?」

 

 「ワシ等は死ぬとその知識が蓄えられるだのぅ

 今までの知識を全て得てから、このログハウスに生まれ落ちるんだのぅ

 で、今までトラップに引っかかった情報全てがあるわけだのぅ」

 

 つまり死ぬと強くてNew Gameならぬ賢くNew Gameなのか

 

 「ちなみに、君が喋った『はむふぅーびろにあ』は死語だよ?

 もう随分と前に……おかげで記憶を掘り当てるのに時間がかかったよ」

 

 フリーズしたのはそのせいか

 30年前でもこれ死語だったんだろうなぁ

 でも、そんな昔の情報も持っているのならば……

 黒姫にハンドサインでかむかむ

 

 「何?」

 

 「お前の本来の目的を実施するぞ?

 お前の兄さんの写真か姿が分かる何かあるか?」

 

 「魔法でなら作れる《ブラザードール》」

 

 そして現れる黒姫兄人形……イケメン多いなぁチクショウ

 

 「済みませんが、こんな人間を見たこと無いですか?

 ツレの兄なのですが、こちらで行方不明になっておりまして……

 ツレは兄を探しに此処に来たんです

 どなたかご存知でしたら情報を教えてください」

 

 「あ、俺コイツに殺された記憶ある」「「俺も俺も」」

 

 何人かが情報をくれる

 そして、結論としては12人で入ってきて、ゴブリンさんの階は突破した模様

 しかし、殺されたのになんだろうこの軽さって思ってたら

 

 「恨み始めたら全員恨まなきゃいけないからめんどくさい」

 

 とのこと

 あらま、意外と大人でした

 

 「ちなみになんですけど、ゴブリンさん達の次の階はどうなっているんですか?」

 

 「あ~、アントたちだよ」

 

 そこも昨日見た昔の文献と情報が間違っていない

 いけるかな?

 

 「アントさんとゴブリンさんとで交流ってありますかね?」

 

 「時々しているのぅ」

 

 「なら、長にお願いがあるんですけれど……

 彼らに自分たちのことを紹介してほしいのですけれどよろしいでしょうか?」

 

 「いいぞよぅ」

 

 よし、妖精の長老との知り合いとゴブリンの長との知り合いというブランドをゲットした状態なら相手も話を聞いてくれるだろう

 そして仲良くなるために買収して代わりに情報を集める

 作戦名(オペレーション):貴方の知り合いを紹介してください 開始

 

 

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