35話
AM 5:00
いつもの習慣でこの時間帯に起きた
ダンジョン……ダンジョンかぁ………………
旨味がないらしいからなぁ
出会いなんて無いんだろうなぁ
ふぅ
ナイーブになってもしょうがない
いつもどおり御飯を作ろう
まぁ今日はお迎えに行かないといけないがな
ホントは妖精さんの居場所まで迎えに行かなければ行けない
……が、今日は潜らないといけないので体力温存のために、ソースカツ大好き妖精さんを買収
待ち合わせの場所に前に別れた場所を指定
待ち合わせ場所には妖精の長老がちゃんといた
よーし、よし、ありがとー……感謝を込めて運び手の妖精さんにソースカツを進呈
何か超喜んで帰ってた
寮に戻り、昨日のあまりを食べる
長老には超高級梅干……1個1000円ぐらいするやつの梅茶漬けを進呈
今日の要は長老だ
命のために買収工作、接待等お金で何とかなるなら惜しまないぜ?
あ、すっげーうまそうに食ってる
何が違うんだろう?気にはなるが……まぁ行く準備だ
俺はジャージに着替える
え?なんかもっと凄い服とか無いのかって?
お金がありません!!!!
お金が惜しまないとさっき言った?ないもんはないんじゃーーーー
高性能な服とか買うと一着数十万だぜ?
無理無理無理無理無理!!!!
1000円とかなら話は別だけどね?
まぁとりあえずジャージが一番防御に優れているからこれを着る
長老はジャージのフードの中に入ってもらう
昨日買ったものを入れてあるリュックを担ごうとすると
「それ、置いていったらどうじゃ?必要になったらワシ、此処と繋げてやるぞ?
なぁに、いいもん食わせてもらった礼みたいなもんじゃ」
と素敵な提案をいただいたので、それに乗っかる
ひゃー、接待効果がここで効いてきた?接待さいこー
荷物持たなくて済むって素晴らしーー
俺は長老を連れて、待ち合わせ場所に向かう
AM 7:45
待ち合わせ場所に到着
待ち人居らず
長老と妹のようなはなちゃんの話をして盛り上がる
AM 8:00
待ち人来ず
城門内を確認してみたけどやっぱりいない
この世界の人間は遅れるのが常識なのか?
暇なので長老に妖精さんが住んでいる場所について教えてもらう
AM 8:15
待ち人遂に来た
ジト目開始
モブのジト目は可愛くない?キモイ?
知ってる
だからやるんだぜ?ジト目は嫌がらせだぜ?
「ごめんなさい、ちょっと撒くのに手間取っちゃって……」
ひやりっ
いかん、久しぶりにモブレーダーが危険な香りを感じ取ったぞ?
「撒くって……ちょっと黒姫さん?なんて言い訳して外に出てきたの?」
「これからデートしに行くって」
…………これは……俺、詰んでね?
今日の探索が無事に帰れない→詰み
今日の探索、俺だけが無事に帰れる→黒姫一家に殺される→詰み
今日の探索、2人とも無事に帰れる→黒姫一家の突撃が予想される→モブだから彼らのお眼鏡に叶わない→俺この世界から抹殺?→詰み?
うん、詰みに近い
終わったら寮に帰らないでお姉ちゃん先輩に保護して貰おうかしら?
あ、もう一人メイドさんが黒姫の隣にいた
俺の視線に気づいたのか、彼女から挨拶がされる
「はじめまして、士様
私、牡丹様付きのメイドをやらせていただいています草川 七姫と申します
以後よろしくお願いします」
あれ?この人か?
デートって言えばダンジョンでもどこでも付いて来るって言った人は?
まぁ挨拶をされたら返すのが世の常
「これはこれはご丁寧に
私は守武 士です
こちらこそよろしくお願いいたします」
お互い挨拶が終わると、手招きをされる
顔を近づけると小声で
「牡丹様のことを何卒よろしくお願いします
貴之様のことは黒姫家ではある種、諦めが入っていますのでまだいいのですが……
牡丹様までいなくなれば……
何卒、何卒よろしくお願いします」
「微力ながら全力を尽くしますが……そう思うなら、貴方も一緒に来てはいかがです?」
「申し訳ございませんが、私にはまだやることがありますので……
……主に旦那様の説得とか……」
ほーん……働くって大変なのね
お疲れ様です
メイドさんと別れて目的地のダンジョンへ向かう
ダンジョンのことを考えなければいけないんだが……
無事に帰ってこれたとしても、今度は黒姫一家と何とかしないといけない
後で誤解を解いてくれるとおもう……だがしかし、その話を聞く前に大抵はボコボコにされて、落ち着いたところでその話になるのが常道
しかも……だ、時間を掛ければ掛けるほど状況が悪化する
日を跨ぐ→お泊り→黒姫一家阿鼻叫喚!!!→怒りの矛先が俺に来る→ただでは殺さんぞ→俺、超阿鼻叫喚!!!
いかん、モブレーダーが過去最大級にアラートを発しています
どうする?どうする?
もう、手としては1つしかない……無事帰ることが出来たら、逃げよう!!
逃亡先は……寮……見張りいるだろうなぁ
先輩のところと仕事先も付けられてたことから無理か?
……妖精さんの所はどうだろう?俺的にはありですが……人が住めるところなのでしょうか?
頭の上に乗っている妖精さんを見ようと……見えるわけ無いですね
はぁ……いかん、ため息をついてしまった
幸せちゃーーん、カムバーーーック
「ため息してどうしたの?」
「おまえのせいじゃぁぁっぁぁぁぁぁ!!!!」
「えっ?」
「えっ?……じゃねぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!
俺を窮地に立たせて楽しんでる?楽しんでるの?
今回ので、ダンジョンから無事に帰って来ても俺、お前の家族に殺される可能性濃厚なのよ?」
「まっさかー」
何?何でこんなに軽いの?
黒姫一家は聖人か何かなのですか?
それともそこまで大事にされていないのですか?貴方は?
「ナナが何とかしてくれるから大丈夫よ?」
仕事って大変だなぁ……
それにしてもホントに……ホントに大丈夫なんですよね?
お願いしますよ?神様仏様七姫様
むぅ~んむぅ~ん……俺の祈りよ届けぇぇぇぇ
「落ち着け、少年」
頭上から長老の一撃
はっ、俺情緒不安定になってた?
「ありがとう長老」
「なぁに、迷える少年を助けるのはワシ等年寄りじゃ」
「長老?」
え?黒姫聞こえないの?長老の声が……
???
「まぁあれだ、妖精は心の綺麗な人間じゃないと見えないし、聞こえないからのぅ」
まっじでぇぇぇ??
ってことは俺、心、綺麗なの??
わーいわーい
「……なんかうなったり、喜んだり……色々忙しい人ね」
何か言われているけど俺気にしない
うん、俺、心綺麗だから気にしない
AM 8:45
ダンジョン入り口前に到着
ここで一度黒姫と認識あわせ
「黒姫さん、とりあえず認識あわせしたいんだけど……
先ず一番の目的は、生きているならお兄さんの救出、亡くなっておられたら遺体の回収でいい?」
「うん」
まぁ遺体だった時は2人で運んでる最中に襲われたりするかもしれないから少しは考える必要は有るが……
白銀曰く、生きているとのことなので多分生きているんじゃないかな?
「お兄さんの居場所に関しては、暫定で36階層ってことでいい?
……36階層まで行ってもいない時は食べられたと思って諦めてくれる?」
36階層って言うのは授業時に先生から教えてもらったこと
多分、それは虚偽申告だと思うんだが……もっと浅いところにいると思うんだけどなぁ
「わかった」
「それと後はこれはお願いなんだけど、ダンジョン内でモンスターとであっても直ぐに攻撃するのは待っててもらってもいいかな?」
「なんで?モンスターなのよ?先制しないとこちらがやられるわよ?」
「モンスターだから殺しあうとか……実に野蛮で、脳筋な発想ですね」
「なっ!
なら、貴方はどうするの?」
どうするかって?決まってる
「コミュニケーションをとる」
「そんなこと出来るわけ無いじゃない」
「まぁ出来なかったら、俺が死ぬだけだわ
その時は黒姫さんの勘が間違っていたってことだから、さくっと逃げてくださいね」
モンスター相手に無双できるのは物語の主人公だけ
モブがずっと戦闘していて生きていけるわけ無いじゃーーん
大体だよ?太陽の光を浴びずに何日も過したら、精神に異常をきたすに決まってる
ならば、可能な限り戦いを避けてさくさく進むべし
後は前衛は俺、後衛黒姫の編成で
あとはハンドサインのステイとカモンの認識あわせをして終了
AM 9:00
ダンジョン突入開始
久しぶりの3連休……気が付けばもう終わりそうorz




