24.5話 中の人の話
中の人の話です
マスコットに夢見る方は戻りましょう
変態の話です
変態がだめな方は戻りましょう
とある学園(注:魔法学園エリストリではない)の屋上で男二人が昼御飯を食べていた
一人はチャライ男、仮に名前をA男とする
もう一人は真面目そうな男、仮に名前をB男とする
A男はため息をつきながら言う
「な~んか、満たされないなぁ」
「腹がか?そんなに食って、満たされないとかおかしいだろ?」
A男、パン+弁当完食済みである
それに飽き足らず、今現在デザートのモンブランも食べている最中
これでお腹が膨れなかったらもう胃が拡張されすぎだと思う
「いや、お腹は膨れているんだよ」
「じゃあ何が満たされないんだよ?お前彼女いるじゃん?勝ち組じゃんか。十分満ちているんじゃねぇの?」
「それなんだけど……多分また別れると思う」
「は?今年に入って、お前もう3人目だろ?しかも今回まだ1ヶ月経ってねえじゃねぇか?何?C子ちゃん、地雷案件なの?」
「いや、C子、いいヤツなんだけどさ……なんか満たされねぇんだよ」
「満たされないって……またか……はぁ、ならさっさと振ってあげろ
お前のわがままでキープとかしたら彼女にとって最悪やん?」
「あぁ……わかっとる
また、お前に迷惑掛かるかもしれんが、そん時はすまん」
「ま、その時はフォローしたるわ
しっかし、なんなんやろな?お前が満たされる方法って……」
「ホントにな……で、俺ちょっと遊園地でバイトをしてみようと思うんだ」
じゃじゃーん
そう言って取り出したるは遊園地のビラ
遊園地のマスコットたちが勢ぞろいのビラの端っこのほうに『スタッフ募集』と書かれてある
「いや、唐突やな……どうしたんだ?急に遊園地でバイトやなんて?」
「う~んとな、このマスコットのキャラプロフィールを見てみてくれ」
A男が指し示すのは狐のマスコットキャラクター
名前:コックス君
性別:♂
年齢:大きな子狐
性格:恋人いるのに他の女の子にちょっかいだしまくる浮気性
趣味:女の子とお喋りすること
……実に突っ込みどころ満載な設定である
っておい浮気性なキャラクターをマスコットとしていいのかよ!
遊園地のイメージ悪くならね?とB男は思ったが、口には出さない
「……で、A男よ、このマスコットキャラクターがどうかしたのか?」
「いや、なんか、このコックス君と俺って似てね?」
「あぁ、この浮気性のところか?」
「ちっげぇよ、趣味のほうだよ、趣味の」
「女の子とのお喋りねぇ」
「んだんだ
そして、何となくなんだが、俺、このバイトをすれば俺が満ち足りないものが何なのかわかるような気がしてさ
だから、やってみようと思うんだ」
「ふーん、まぁいいんでねぇの?バイト頑張れよ」
「おう」
その日の夜、B男、A男の彼女のC子に連絡を入れる
「なんか、すまんね
あいつ、別れるかもとか言い出しちゃって」
「え?それ、B男君が謝る事じゃないじゃん
……でも、そっか……うん、わかった覚悟しておくよ
何がダメだったとか言ってた?」
「なんか、満たされないらしい
前、前々の彼女ともそんな感じで別れていったからなぁ」
「なんなんだろうね、A男君が求めているもの」
「わっかんねー、あいつ自身もわかってないしなぁ
……で、なんかあいつバイトするらしいよ」
「へ?バイト?何の?」
「遊園地の……あのでかい遊園地のマスコットキャラクターのバイトをやるらしい」
「えっと……ってことはコックス君?」
「そうそう、そのバイトをすれば自分の求めているものがわかるかもしれないとか言ってさ」
「へー」
C子、手元でネットで探索
対象の遊園地のHPを確認、スタッフ募集の項目をクリック
『中の人大募集
我が遊園地では、現在中の人が不足しています
大量の人が4月から中の人がいなくなってしまいました
そこで、中の人を募集をします
どんどん募集して下さいね
募集対象マスコットキャラクター
オルフちゃん
ウーちゃん
トイガー君
サンキー君』
C子、「この遊園地、夢売る気全然無いね」っていう突っ込みはしない
C子、大人だもん
「コックス君のバイト募集が無いっていうことは、A男君で決定なのかな?」
「かねぇ」
「ま、ともかく、B男君、教えてくれてありがとうね」
「いや、こっちこそごめんね
A男を止められなくて」
「ううん、それじゃ」
B男との会話を切り、スタッフ募集の画面を見て、
「A男、そう簡単に私から逃げられるとは思わないことね」
ニヤリと笑い、すぐさま電話をする
時間が経ち、4/7
A男が元気にコックス君の中に人となり、元気に勤労をする
やることとしては単純
園内に遊びに来た人に愛想を振りまく、はぐれている人がいれば案内、揉め事があれば仲裁、そして変な男のナンパ対策のために女の子だけのグループにチョコチョコ声を掛ける、特に仕事がなければ園内掃除
園内をずっと歩き回るため仕事は体力勝負
ちなみに声に関しては魔法処理が施されているため、誰が中の人でも特に問題は無い
マスコット的に言ってはいけない言葉は全て別の単語に変わる便利な機能付き魔法である
マスコットの中の温度に関しても、魔法で冷房が効いているため、劣悪環境ではない
A男、この仕事が結構好きだった
マスコットキャラを被っているだけで、邪険にされることがないく、ちやほやされる
A男、時々ナンパをしたりするが、大体ヒット率が1割
残りの9割からは軽くあしらわれたり、時には邪険にされる
それを考えるとこの仕事は天国のように感じられた
「一緒に写真入ってくれませんか?」「ありがと~」
そんな感謝の言葉をもらえるだけで頑張れるような気がした
まぁ時々オルフちゃんが邪魔をしに来るが、それも含めてA男は楽しかった
さて、真面目に勤労しているところで、2人の少女を発見する
一人がメイドさんで、何故かマスケット銃を装備している
メイドさんが引き摺っているのが、清純そうな女の子(※注:モブ子です)
(そう言えば、ああいう清純そうな子とは付き合ったこと無いなぁ
まぁお嬢さんだろうから、高嶺の花と思いつけていたことも原因ではあるが……
それにしても、二人の様子が剣呑に感じる
ここはマスコットの力で癒しを与えよう)
お近づきになりたいという、ほんの少しだけの下心とお客さんを和ませたいという気持ちで、A男はメイドさんの前に立つ
下心はあるが、まさにマスコットの鑑である
「女の子二人で、遊園地とか寂しくない?
良かったら、おいらと一緒に回ろうよ」
対するメイドさん
こちら、早く主人にこの女を連れて行かなくてはいけないのにマスコットキャラが立ち塞がる
以前、マスケット銃を撃ってもショーの一つと勘違いされたこともあったため、躊躇は無い
ただ、マスコットキャラに効くのかどうか、その点だけが心配になる
メイドはさっさとどかねば撃つ、そんな脅迫を込めてコックス君に銃を向ける
銃を向けられたコックス君ことA男、若干パニクる
(イキナリ銃を向けますか??)
だがパニクるのは少しだけで、直ぐに立て直す
(過去、ナンパ時にナイフを構えられたこともある
銃を向けられているのはその延長線上でしかない
それに今は可愛いマスコットキャラだ
撃たれることはない
大丈夫だ、問題ない)
「ねぇねぇ、そんな物騒なものをしまって、おいらと一緒に遊ぼうよー」
一歩近づくコックス君
(馬鹿な!銃での脅しが効かないだと
……あのキグルミには防弾性があるとでも言うのか……)
傍から見れば、メイドとコックス君が一人の清純そうな女の子を取り合っている様な図になる
まぁ取り合われている方といえば、これからショーが始まるのかとワクワクしているんだが……
さて、この光景を見ていてマスコットが一人
オルフちゃんである
オルフちゃん恋人の浮気現場を目撃
「何、他の女の子に手を出そうとしているのよ、このろくでなしがぁぁぁ!!!!」
背後から忍び寄り、一撃を打ち込む
「ぐはっ」
コックス君一撃KO
A男に打撃耐性がないわけではない
ただ、A男は混乱していた
そう、オルフちゃんに浮気現場を目撃されることまでは想定内である
そしたら、オルフちゃんが「もう、しょうがないんだから~」とか言って、頭をコチンと叩く
これが通常の流れだからである
そして、それは先週、A男も体験していた
所が今回のオルフちゃんは強烈な一撃を叩き込んだ
それゆえ、A男は混乱をしていた
(一体どういうことなんだ?
先週はコチンだったよな?
今回みたいなガスッじゃないよな?)
「このろくでなしがご迷惑をおかけしました
ごゆっくりと楽しんでくださいね
……ほら、行くわよ」
オルフちゃんが礼儀正しく礼をし、コックス君を引き摺る
引き摺られているコックス君
中の人A男、引き摺られる痛みと共に若干の快感を覚える
(なんだろ?この感覚?何か満ち足りているような……)
A 男 M に 目 覚 め る
「あ゛ぁ゛ぁ゛っぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛っぁ゛ぁ゛」
痛みと快感が混じった声で叫びながら、引き摺られていった
一方、B男……実は遊園地にいた
一人遊園地じゃないぞ?
ちゃんとしたスタッフとしてである
マスコット募集されてたサンキー君……サルのマスコットキャラである
さて、サンキー君の役割といえば、基本は警備である
あんまり、人通りのいないところとかにチョコチョコ現れて変な人間がいないかの確認となる
メイドと清純そうな女性が剣呑な雰囲気で人目につかない所に行った事によって、サンキー君としては見過ごせない案件となる
隠れて様子を伺う
といってもメイドさんの警戒心が凄くてあまり近づけもしない
ただ情報収集のための魔法は掛かっているため、聞くことはできる
(どうやら、少女の彼氏と一緒に清純そうな女性がいたと
で、少女、激怒プンプン丸
まぁ……何か悪いことをするわけじゃないし大丈夫かな?)
そう思って、その場を離れようとしたところモブ子、男だとカミングアウト
(って男???嘘だろ???あんなに可愛いのに???)
カミングアウトの証拠をどんどん提示するモブ子
(あんなに可愛い子が男とは世の中ってわっかんねぇなぁ……女の子の声かけるの怖いなぁ)
そう、しみじみ思いながら、その場を立ち去る
一方C子……普通にオルフちゃんとして働いていた
そう、先週までは他の女の子がオルフちゃんをやっていたため、コチンで止まっていた
だが、中の人が変わったため、愛の一撃が過激な一撃となる
A男が他の女の子に下心を持って近づこうとしたら、愛の一撃で止めていた
そして、その様子は一種のショーとなり観客には好評となる
三者三様な日曜日が終わり、次の日の月曜日
とある学園の屋上でA男とB男が昼御飯を食べていた
「なんか満たされたわ」
A男が食したのはサンドイッチ3つ
相変わらず良く食う男である
「それだけ食えばなぁ……そらお腹膨れるだろ」
「いや、そっちじゃなくて、ほら、何か満たされないから別れるかもって言ってたじゃん?あれあれ
遂に俺、求めているものがわかったんだ」
「ほー」
「コックス君が女の子に声かけるのって、他の女の子にちょっかい出すことで、恋人のオルフちゃんにかまって欲しかったからじゃないのかな?痛み付きで」
「お前もそうだってこと?」
「おう」
A男、B男にMに目覚めたことをカミングアウト
若干引き気味になるB男
「それにしても、あの清純そうな女性とお近づきになりたかったなぁ」
「え?もしかして、メイドさんと一緒にいたあの清純そうな人?」
「知っているのか?」
「まぁバイトであの場にいたからなぁ
……あれ……言っちゃ何だが……男だぞ?」
「ふぁ?何言ってんの?」
「いや、お前がオルフちゃんに引き摺られている後、ちょっと追っかけていたんだが、男だって言ってたぞ」
「……マジか……まぁお前が嘘つくわけないしな……男……男……」
なにやら考えているA男……そして導き出した結論
「可愛ければ男でもいいや」
A 男 、 バ イ に 超 進 化
「お前がバイでもいいけど、俺に色目は使うなよ……頼むから
俺、ノーマルだから」
その日の夜、B男、C子に連絡を入れる
「なんか、すまん
A男、Mとバイに目覚めたっぽいわ」
C子、絶句
5秒ほどフリーズした後
「そ、そうですか……わかりました」
「C子ちゃんどうするの?」
「Mはまだ大丈夫だけど……さすがにバイは無理」
「ホントゴメン」
「B男君が謝る事ではないですよ
でも、A男と別れるからこうして連絡を取ることは無くなるのかな?
ちょっと寂しい気もしますが残念ですね」
「それなんだけど……俺じゃ……ダメかな?」
「え?」
「俺、C子ちゃんのことが……前々から気になっていたんだ
ただ、A男の彼女だったから、そんな気持ちは塞いでいたんだけど……
A男の彼女じゃなくなるなら、俺、C子ちゃんの彼氏に立候補するんだけど……」
「あの……私でいいんですの?」
「C子ちゃんだからいい」
「そう……ですね……今はちょっと色々ありましたので、少し落ち着いてから答えだしてもいい?」
「うん、待ってる」
後日、A男に N T R 属 性 追 加
A男の春は遠い
もう1話サブ話が続く……予定です




