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モブキャラライフ  作者: リエッタ
本編
20/77

  19.5話 メシマズのお話

番外編 茶包夫妻の過去のお話 メシマズのお話です


ちょっとえちぃ所があるかも

苦手な方は退避を


 「お母さん、メシマズで凄いことがあったって言ってたけど何が起こったか聞いていい?」

 

 茶包薄が母、茶包 楓(ちゃづつみ かえで)に、その時のことを訊ねる

 

 「そうだねぇ。じゃぁちょっと昔話をしましょうか」

 

 こうして、茶包家当主、茶包楓による昔話が始まった

 

 

 

 

 

 

 「あぁーーーー!!!早く夕君、会いたいよーーーーー!!!」

 

 今から20年程前のこと、当時17歳であった茶包楓は叫んでいた

 叫んでいた理由は簡単

 当時18歳の恋人、現夫の雨晴 夕(あまはらし ゆう)、に会いたくて、会いたくてしょうがなかったためだ

 茶包楓と雨晴夕は去年は同じ学園の高校の先輩後輩であり、恋人でもあり、仲睦まじくいちゃいちゃしていた

 しかし、今年、雨晴夕は高校を卒業し、学園へと入っていった

 そのため、二人は以前ほどいちゃいちゃが出来なくなり、楓にとってはフラストレーションが溜まる事になっていた

 勿論、お互いの時間が合う時はデートをしてもいるのだが、それでもまだ足りないらしい

 また、合う時間が少なくなったことで次の心配が出てきた

 

 (夕君、かっこいいからなぁ……他の女に言い寄られてからの浮気とかないよね?)

 

 無論、デートで夕の部屋に遊びに行ったときなんかにチェックをしてはいる

 それらしき気配はないのだが、恋する乙女とは相手を想い、いつも不安なもの

 信用していないのか、と問われたら信用はしている

 だが、それはそれ、これはこれ

 世の中にはまさかという言葉がある

 そのため、相手を信じていても、自分よりいい女なんて然う然う無いと信じていても不安を常に感じてしまう

 だから人は契約で相手を縛りたがる

 斯く言う楓も、その例に違わず、本日ある一大決心をしていた

 

 (そろそろ、既成事実を作りますか……キス?そんな生ぬるいものではありません)

 

 しかし、ここで女性としてのプライドが邪魔をする

 

 (夕君は優しいから、長い間付き合っているけど、私に未だ手を出してはいない

 でもそれってどうなの?私にそんな魅力が無いって思われてる?

 今日、夕君に「お願い、シテ」って自分から迫れば、多分夕君は手を出してくれる

 でも、自分から迫るとか、えっちぃ人間だと思われない?

 後、迫らなければしてくれないとか、魅力が無いってことにならない?

 それはちょっと女としてのプライドが……

 って事は、アレですかな?)

 

 そこで、楓が辿り着いたのがお弁当

 ただし、まともな弁当じゃぁない

 その料理の材料に鼈の生き血等々、ありとあらゆる精力強壮剤をふんだんに取り入れた禁断の弁当である

 それを食べさせてムラムラさせて襲わせようという作戦である

 そんな作戦でいいのか?という気もしないでもないが、楓は気にしない

 襲われるという一点が楓にとって重要だったからである

 

 

 さて、時刻は6時

 楓はお弁当を作るために厨房にいた

 シェフが作ったものでもいいかもしれないが、そこはやっぱり自分で作ったものを食べさせたい

 そして、その願いを聞き入れ、シェフたちも陰ながら見守る形で厨房から立ち去っている

 

 「さて、先ずは御飯だね」

 

 お米は既にシェフたちによって研いである状態である

 後は水を入れて、炊飯器に入れて、スイッチ一つで簡単……だと思ったか?

 メシマズを舐めるなよ?

 楓は水の変わりに、スーパーハイブリッド精力強壮剤を入れる

 予定の2/3ぐらいの量を入れて、あることに気づいた

 

 「色がとても美味しそうに見えない」

 

 問題はそこか?!!!

 どうやら楓にとってはそこが問題だったらしい

 そこで、楓がとった行動は……残りの1/3を牛乳投下!!!!!

 お米が喋れるなら「もう、マジ止めて」って叫ぶに違いない

 

 「ミルク粥があるからきっと大丈夫よね?」

 

 さて、お次は出汁巻き玉子

 勿論、出汁の代わりにスーパーハイブリッド精力強壮剤ですよ?

 ここでも、色について気になったが、焦げたと言い訳できるのでいいかな、との判断し、追加投入はしなかった

 ただ、一面黒も味気がないので柊の葉っぱを添えた

 

 「よし、いい感じかな?」

 

 お嬢さん?柊の葉っぱには毒があるって噂ですよ?ホントにいいんですかね?

 

 次に調理をしたのはメインディッシュの肉

 といって、普段調理をしないお嬢様

 そのため、ただ野菜と一緒に炒めるだけの簡単なものにした

 そう、簡単で美味しいはずなんだ

 追いオリーブ、ならぬ追いスーパーハイブリッド精力強壮剤がなければ……

 だが、ここで楓は気づいた

 さすがに肉も玉子も同じ色でこれはいけないと……

 そこじゃない!!!

 そこで、楓が取り出しのはまたしても牛乳

 白くなぁれ〜〜とばかし、掛ける、掛ける、掛ける

 牛乳くさくなるため、臭みを消すため、葱投入

 

 「牛乳と牛肉、どっちも牛だからきっと相性はいいはずだよ」

 

 もう訳がわからないよ

 

 

 そんなこんなで作るもの全てにスーパーハイブリッド精力強壮剤を掛けた楓

 ただし、臭いが凄いことになっていたので、そこはごまかす為に香水を大量に使用

 重箱のお弁当を開けたらハーブの香りがするよ

 もう、これはきっと殺人兵器に成り得る……そんな弁当になっていた

 あ、飲み物はお茶じゃなく、スーパーハイブリッド精力強壮剤ですよ?

 弁当作成に2時間程掛かっていた

 9時から夕のアパートでデートなので、御飯も食べずに支度の準備をする

 勝負下着を履き気合十分、準備万端

 楓は急いで、夕のアパートに向かった

 

 

 

 

 

 

 一方、場面は少し変わって、別室のカメラで楓の料理風景を見ていたシェフたち

 シェフは泣いていた

 

 「俺の、城が……こんな、惨状に……」

 

 もはや料理ではなく、食べ物というのにもおこがましい惨憺たる物が出来上がっていく様子を見て、泣いていた

 

 「シェフ……」

 

 彼に付き添う料理人達もこの、食材に敬意を表さない惨状を見て泣いている

 シェフの気持ちもわかり、また、料理人としてこの状況を見て泣かない人間が果たしているだろうか?

 

 「俺、これの清掃しなきゃいけないの?」

 

 清掃員の男は、これを清掃することにもの凄い恐怖を感じた

 そう、どす黒い煙がモクモクと立ち上がり、まるで見た目は混沌の世界

 いや、そんな世界なんて見たこと無いけど……けど、きっと多分こんな感じに違いない

 

 

 そして、楓が厨房から出た瞬間から、掃除という名の戦争が始まった

 勇敢な清掃員が厨房に突撃した

 突撃開始5秒で撤退

 

 「臭いが……もう……ヤバイっす」

 

 「俺の……城が……」

 

 シェフ、ショックのあまり戦線離脱

 老執事が声を上げる

 

 「いかん、ここから5mは避難するんじゃ」

 

 そう、厨房の開け閉めをしたことによって、瘴気が漏れているのに気が付いた

 全員その声を聞き、一糸乱れぬ動きで5m下がる

 

 「先ずは、換気扇を回さないことにはどうにもなりませんな」

 

 「ですな」

 

 「清掃員、お前が頼りだ」

 

 「といっても、あの臭いだけで、俺、下半身ヤバイですよ?」

 

 「頑張れ、被害は少ない方がいい」

 

 「御館様に特別報酬を頂ける様掛け合ってみるから頑張れ!」

 

 「あー、もうわかりましたよ、ただ、あと5分休ませてください」

 

 こうして、清掃という名の戦争の第2ROUNDのゴングが鳴る

 清掃員がミッションコンプリートして、換気扇を回したとき、その換気扇で逃げた空気の先に鳥がいて、鳥が発情するのはまた別のお話

 

 

 

 

 

 

 

 一方、楓は夕のアパートで恋愛映画を見ていた

 ソファーに二人で寄り添って見ていた

 凄惨な戦争が家の厨房で起きているとは露ほども思ってなく、大好きな夕と一緒に居られてただただ幸せだった

 さて、恋愛映画が終わり、ここで楓は用意していた罠を仕掛ける

 

 「夕君〜、お弁当作ってみたんだけど食べない?」

 

 「おぉ、かえちゃんの手作り?ありがと〜、食べる食べる〜」

 

 今、獲物が罠に引っかかった

 もう、逃げられない

 後は夕の無事を祈るだけである

 

 「先ずは、出汁巻き玉子からね、夕君〜はい、あ〜ん」

 

 「あ〜ん」

 

 出汁巻き玉子を食べた瞬間、デレデレしまくっていた夕の表情が曇る

 

 (なんだこれは?玉子のようで玉子でない……ってかかなり不味いぞ?一体僕は何を食べさせられたんだ??)

 

 その表情を察知した楓

 

 「あれ?あんまり美味しくなかった?初めてお弁当なんて作ってみたから、ちょっと勝手がわからなくって……」

 

 上目遣い+涙目+しょぼんとした感じで攻める

 恋人にそんな顔をさせて、不味いといえる人間がいようか……いや、ない

 すかさずフォローに入る夕

 

 「う〜ん、ちょっと味が不思議な感じがしたから……かえちゃんは、味見した?」

 

 「ううん、夕君に一番最初に食べてもらいたいと思ったからしてないよ」

 

 味見をすればメシマズ何て然う然う起こることは無いのに……

 まったく……

 しかし、ここで楓にとって予想外の事態が起こる

 

 「う〜ん、そっか、じゃぁかえちゃん、はい、あ〜ん」

 

 夕にとっては善意から来る「あ〜ん」

 だが、中身が、スーパーハイブリッド精力強壮剤

 だが、恋人からの「あ〜ん」を回避できようか……否……否、否、否、否、否!!!

 できるわけがない!!!!!

 

 「あ〜ん……う〜ん、確かに不思議な味だねぇ」

 

 「だよねー」

 

 本当は料理の最中にもそうであったが、作っている最中はアドレナリンが出まくって、耐えていた

 だが、映画中に、そのアドレナリンが切れた

 それ以降は楓は強靭な精神力で、発情と戦っていた

 そこで、更なる追い討ちである

 全ては迫られる為に

 まったく持って恐ろしい女性である

 

 二人して「あ〜ん」合戦していた暫くしていたら

 

 「あ、お茶もあるけど飲む」

 

 「うん」

 

 楓は最後の攻勢に出た

 もう、顔が非常に赤く、火照りだし、かなりの限界値に達してきたのである

 スーパーハイブリッド精力強壮剤……見た目はお茶の色

 そう、臭いは香水で無理矢理ハーブティ

 夕は見た目、匂いに騙されて飲む

 

 「うっ……」

 

 あまりの不味さに履きそうになる

 だが、吐かない

 恋人から貰ったものを意地でも吐かないその精神、見事である

 そして、飲み干す

 飲み干した時、自分の体の変化に気づく

 そう、下半身の状態に

 そこで、初めて夕は何か盛られていたことに気づく

 

 「かえちゃん〜、何入れたの〜?何か僕、この状態じゃ外いけないよ?

 午後のデートできなくなっちゃうよ?」

 

 「うん、そうだね、私も外行くのはちょっと無理かな」

 

 「う〜ん、かえちゃんの所為で、外でデートが出来なくなったんだから……責任取ってくれる?」

 

 「うん。その代わり、そういうことするんだから、責任取ってくれる?」

 

 「勿論」

 

 楓の作戦成功せり

 こうして、夕と楓は貪り合うように愛し合った

 

 

 

 

 

 

 

 

 「とまぁ、そんな感じだったねぇメシマズ話」

 

 「だねぇ」

 

 「ちなみにあの時、どれくらいまでヤッてたっけ?」

 

 「う〜ん、2日後の夜まで、ずっとしてたよねー

 30ROUNDぐらいまでは覚えているんだけど……」

 

 「ぇ?2日間記憶失ってたの?」

 

 「あぁ……違う違う

 目が覚める→スーパーハイブリッド精力強壮剤が目の前にある→食べる→次ROUND開始の繰り返し

 私は止めたかったんだけど、夕君が止めてくれなく……、

 スーパーハイブリッド精力強壮剤がなくなるまでヤッてましたの」

 

 「かえちゃんが作ったもの残すのもったいなかったしねー

 で、ディープキス時にかえちゃんに口移しで食べさせて、かえちゃんもノリノリに」

 

 「私は覚えてないんだけど、ちゃんと家に電話はしていたみたい

 家帰ったも心配されていなかったから

 ただ、厨房には立ち入り禁止にされたなぁ」

 

 「後、その3日間で、子供を授かり、生まれたのが薄だね

 その当時は色々と大変だったねぇ」

 

 「ホントねぇ

 でもまぁ楽しかったわ」

 

 「僕も」

 

 そうして、二人して見詰め合いラブラブ空間を醸し出す

 昔と変わらず、二人だけの空間に入っていった

 

 

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