17話
くっそ
どうして……
どうして、こうなった??
誰か教えてくれ
簡単に状況を説明しよう
俺、何故か取調室にin
茶包研究所の位置を教えてもらおうと思っていただけなのに……
ちょっと自己鍛錬させてもらおうと思っていただけなのに……
いや、道を教えてもらったけどさ……
稽古もさせてもらったけどさ……
全てはお金に弱い俺のせいか
時は遡ること、大量に買ったお菓子を寮において警察へお邪魔したことから始まる
「こんばんは~」
「は~い……あら?昨日の勇敢な少年さんじゃないですか?いらっしゃい
本日はどういったご用件ですか?」
「道を教えてもらいたいのと、後時間があればちょっと稽古してもらえないかなと」
「稽古の方は……あ、今稽古中の方がいますので、その方に頼んでいますね。ちょっとお待ちください
あ、もしもし、瀬戸さんですか?昨日の勇敢な少年が稽古して欲しいらしいんですけど……はい……
あ?大丈夫ですか?はい、ありがとうございます。
それじゃ、もう一つ、少年の用件が終わりましたら、そちらへ道案内しますので……
はい、よろしくお願いします。失礼します」
受付のお姉さん、笑顔でOKのサインを出す
うん、可愛い
年上(?)のお姉さんっぽい人を可愛く思う
つまり、俺、ロリコンじゃない
証明終了
「OKだって~良かったね~」
「はい、ありがとうございます」
「それで後は道を教えてもらいたいんだよね?」
「茶包研究所ですけど……」
「あ~、ちょっとこの周辺の地図を印刷してくるから待っててね?」
「は~い」
ぱたぱたぱた
なんだろう
なんか、ほっこりする
昨日ここで、修羅場にあったせいかな?
普通の光景のはずで、ほっこりしている
ぱたぱた
あ、戻ってきた
「お待たせ~。はい、これがここら辺の周辺の地図ね
で、ここが警察署、貴方の行っている学園がここ、茶包研究所はここで、大体ここから歩いて10分ぐらいだね」
そう言って地図に印をつけていくお姉さん
お~、結構近いなぁ
なら、大体30分前に出れば、ちょっと迷うことを計算しても時間的にちょっと早くつけるかな?
あら?それ以外にももう一つ印を追加した?
場所は警察署の近くみたいなんだが……
「で、ここが我が警察と提携しているカツ丼屋です」
ぇ?カツ丼屋???
カツ丼専門なのか??
しかも、提携しているだ……と…………
ってことは取調べでカツドゥンを食べさせるわけですね?
確かあれって犯人自らの自腹だったっけ??
はっ
まさか自白剤入りカツドゥンとかかな?
いや、まさかあまりにも不味くて、しゃべらないとコレを食わせるぞって言う脅迫的な何かかな?
「色々と面白い顔をしているところ悪いんだけど、普通に美味しいよ?
美味しいからお昼に頼むことが多いってことね?
まぁご飯時間になれば、取調べ中でも容疑者の前で食べることは有るけど……」
なんだ、俺の変な想像は杞憂に終わったか
ってか、目の前で美味しそうなものを食べるって一種の拷問だよな?
なんという恐ろしいことを
「ま、機会があれば食べてみればいいよ?ホントに美味しいから」
「は~い」
「それじゃ、稽古場へ案内するね」
「よろしくお願いします」
稽古場へ移動する際に今日、稽古してくれる相手、瀬戸さんについて教えてもらった
曰く、警察署の逮捕のエースの男性
若い、イケメン、強い、出世頭
とても人気があるが、天然によってスーパー回避をしている
感想?
何その完璧超人……これしかないですよ?
と思っていたら、若干無口系
だけど、受付のお姉さんにしてみればそれもイケメン度を上げているらしい
うん
イケメンは何をやっても絵になるってヤツですな?
ってか受付のお姉さんも絶対その人のこと好きでしょ?
多分案内するって言う名目で会いに来たかっただけでないかい?
うん、俺大人だからそのこと指摘しないけどね?
お姉さんによるイケメン紹介をされているうちにどうやら稽古場に到着
「瀬戸さ~~ん」
笑顔でイケメンに対して手を振る受付のお姉さん
イケメン、左手はタオルで汗を拭きながら笑顔で右手を挙げてそれに応える
馬鹿な
その笑顔から七色のオーラが放たれている……だ……と…………
いかん
いかんぞ、俺
幻覚を見るようになってはもうお終いだ
目を閉じて、もう一回開けば
くわっ
なんで見えるんだよ?七色のオーラ消えないよ?
俺の目おかしくなったの?
それとも脳の方?
もしかして、魔法の使いすぎで脳がこんなことに?
医者行った方がいいのかな?
受付のお姉さんが瀬戸さんとの話を終えたようで稽古場から去っていく
「本日は稽古ありがとうございます
それで、稽古の前に聞きたいことが……」
「なんだ?」
「瀬戸さんが笑顔の際に放つ七色のオーラのことです」
「あぁ、これか……ただの呪だ」
「ぇ?」
「祝福らしいが、異性に好かれて同姓と友達が出来なくてな……
移らないから、気にするな
さて、稽古をするぞ」
「はい、よろしくお願いします
それで、どのような感じの稽古をするのでしょうか?」
「俺は教えるのが苦手で、ひたすら実践だ
ルールは簡単
こちらは魔法無し、そちらは魔法有り
こちらは基本無力化を前提とした技しか使わない
そちらはなんでもあり
場所はこの白線の内側で
質問は?」
「ありません」
「それじゃ、開始」
今回は無力化されるだけですし先手を取ってみますか
ただし、魔法は使わず
うん、万が一通用するかもしれないし……
………………………………
あ、ありのままに怒ったことを話すぜ
『殴りに行ったと思ったらいつの間にかうつ伏せにさせられてマウント取られて関節を極められていた』
な……何を言っているのかわからねーと思うが
俺も何をされたのかわからなかった……
あ、頭が(以下略
こうなったら出来ることはただ一つ
「ぎぶ」
降参あるのみ
「魔法を使ってこないと、こっちの稽古にもならない
遠慮せずに使ってこい」
ってなわけで再戦
……………………
魔法、使ったよ?
速度を上げてみた→あ、ありのままに起こったこと(以下略……マウント取られてギブ
もっと速度を上げてみた→上記と同じ結果になる
煙幕を張って攻撃してみた→上記
接近戦は諦めて、遠距離から魔法を使って攻撃してみた→ガードされたまま突撃されてマウント取られて(以下略
魔法を使って全力で逃げてみた→一瞬で10秒持たず、捕まり、マウント取られて(以下略
もう……どうすりゃいいんだこれ?
後は……うん、至近距離での拡散系の魔法か?
いや、でも使ったこと無いしなぁ
うまくいくかどうかもわからないし、出来ても使う暇無く取り押さえられるよな?
う~ん、こういう場合は呪文とかあった方が発動素早いから使えるのか
攻撃系呪文も少し考える必要ありますかね?
後は、攻撃を当てる方法なんだろう
光で目くらましは……
いや、煙幕でも普通にやられたから無理か
あかん打つ手なし
お手上げ
「参りました
現在の力で、瀬戸さんに攻撃を当てるのはちと無理そうです」
「そうか。こちらもいい稽古になった、ありがとう」
「?終始、軽く捻られて終わったんですけど、いい稽古になったんですか?」
「あぁ、色々とな
後、今日の稽古の感想としては、一手で止まるな
二手、三手と先を予測して追い詰めろ
詰め将棋ってわかるか?そんな感じだ」
「詰め将棋ですか
参考にさせていただきます」
「うん、頑張れ、少年。……って署長?いつからそこにいたんですか?」
「ついさっき?小さな勇者が着てるって聞いたから
しかし、ウチのエースとやっていたのか?どうだい?強かっただろう?」
「強いですね。手も足も出ませんでしたよ」
「だろだろ?こいつをウチに入れたの俺なんだぜ?俺の評価うなぎ上りなんだぜ?
うひゃ~
ってか君も面白そうな感じなんだけど、学園卒業したらウチ来る?
歓迎しちゃうよ?
今からでも内定書だそうか?」
軽いな
内定こんなに簡単に来たっけ?
「それは不味いでしょ、署長」
「う~ん、そっか。残念」
あ、内定流れた
まぁいいや
卒業まで時間有るし
やりたいこと探したいからな
公務員は魅力的では有るが、警察は危険でもあるし
「それで、自分に会いに来たのは今の内定の話ですか?」
「おっと、話がずれちゃってゴメンね
実は鈴鳴 祐一について何だけどちょっと相談したくってさ」
誰?
後何で一般ピーポーの俺に相談する?
俺モブだよ?
「あぁ、誰って顔しているね?
鈴鳴って君が説得した犯人だよ」
「あぁ、ってかそれで自分に相談って……俺……一般ピーポーよ?」
「まぁでも彼と会話が出来ていたからさ、それで」
あのコミュ障、警察と会話していないのかい!?
「ん~でも今時間18時じゃないですか?
自分19時からバイトなんですよ……それで、今からご飯食べないといけないんで時間が……」
「ご飯はオジさんが奢ろう
提携しているウチと提携しているカツ丼だ」
何?!?
美味しいと評判のカツドゥンが食べられるのか??
すまん駄菓子
お前らも気になるがカツドゥンも気になるんだ
ごくりんこ
「受けてくれたら5000円。さらに、うまくいった場合には別途成功報酬として金一封を」
金一封?
俺の弱いところを突いて来るな、この署長
我、金の亡者なりけり
カツドゥンを食べれるならもう少しいてもいいかな?
「それじゃシャワーって借りれますか?」
「いいぞいいぞー」
「それじゃ時間一杯の50分までやらせていただきます」
「よっしゃ」
そしてシャワーを浴びていたんだが
……金に釣られて引き受けちゃったが
……やっぱりどう考えても気まずいよね??
あぁ
どうして俺ってこんなに金に弱いんだろう?
まぁ今お金が足りないからだよなぁ
ある程度貯まれば心に余裕ができて、強くならないかなぁ
取調室にinしました
目の前にあのときの犯人がいます
きっまずぅぅぅ
隣には瀬戸さんが護衛としているから命は安心か
よし、お金も貰うことだしバイトだバイト
割り切ってやらせてもらうか
「どうも~」
「あぁん?」
「鈴鳴祐一……めんどくさいからコミュ障でいい?」
「ふざけてるのか?」
「ダメかー。なら鈴鳴と勝手に呼ぶよ」
前でなにかわめいているけど無視無視
さて、今までの調査結果を拝見させていただきましょう
ふむ
犯人の主張→嫁に加奈という人がいる→戸籍見たが結婚していない
→アパートに2人住んでいる形跡がない
→時々様子を見に来てくれている女性はいた
→嫁の置手紙があった →「貴方には付いていけません。警察に行きます」の置手紙はあった
なんだコレ?
「なぁ、あんた加奈って人と結婚しているんだよな?」
「あん?当たり前だろ」
「ふ~ん、でもお前の戸籍を見たら今までで結婚したこと無いらしいよ?」
「は?どういうことだよ?」
「お前未婚」
「は?ふざけんなよ」
「んじゃ、コレ戸籍、婚姻してたら残るはずなんだけどなぁ」
「なんで?ちょっと待てよ、俺、婚姻届書いたぞ?」
「出した?」
「いや、加奈が出すって」
「いつのこと?」
「去年の10月頃……婚姻届を二人で貰って、書いて……」
「その後のお前は?」
「働いていた」
「加奈さんの交遊録は知ってる?」
「知らない……でも、週に一回、加奈の友達が遊びに来てた」
「名前は?」
「知らない」
「その人物の特徴は?」
「身長が俺の肩ぐらい、眼鏡をかけてて、黒髪三つ編み、顔が覚えてないけどとにかく地味な感じ
そんなことより加奈のことだよ?どういうことだよ?」
「その加奈って人と一緒に住んでた?」
「当たり前だろ?」
「う~ん、ところが、警察が調べたところ二人も生活している感じじゃなかったらしいんだよね」
あ
カツドゥン来た
おぉ、湯気からいい香りがプンプンするぜ
コイツはたまらねぇなぁ
いただきまーす
うま~
あぁ
卵とカツが絶品過ぎる
「おぃ、カツ丼食ってないで説明しろ」
むぐむぐ
ごきゅごきゅ
むぐむぐ
ごきゅごきゅ
うま~~
何コレ
うまいってレベルじゃねぇ
コレを説明する語彙が俺には無い
なので超うめぇと叫ぶ
あぁ
後半分しかない
寂しいなぁ
「生活用品とか君のアパートには一人分しかなかったらしいよ」
「へ?」
「布団、コップ、茶碗全部お前の分しかない
お前は加奈さんって人と一緒に寝てたのか?一つのコップでお茶を飲んでたのか?一つのお茶碗で食べさせあっていたのか?」
「ぇ?いや、加奈は食事も、睡眠もしてなか……」
「それ、人間か?幽霊の類じゃね??」
「ぇ?そんな……じゃぁ俺は……」
「幽霊に取り憑かれていたんじゃね?」
「ぇ?ちょ?ぇ?」
目の前の犯人なにやら驚いているみたいだが、まぁ気にせずカツドゥンいただきますか
連行されていますが気にしません。カツドゥン食すのです
おいしぃ
ごちそうさまでした
ふぅ、満足です
「あ、署長。どうでしたか?金一封もらえますか?」
「よくやった。金一封は任せろ……で、本当に幽霊の仕業だと思っているのか?」
「五分五分ですかね」
「未だ他の考えがあるのか?」
「二つほど。人形か何かを人として見なしていたか記憶を操作あるいは幻覚を見させられていたか
現状では何とも言えませんね
ただ……」
「ただ?」
「今回の件、人の悪意が関わっているとしたならば、今後も続くかもしれませんね
三つ編み眼鏡地味子さんを見つければある程度はわかるかもしれないですね」
「ふむ、そうだな、一応もう少し調べてみるか」
「バイト代も今度来た時よろしくお願いします
それじゃ俺はバイトなんでこれで失礼します」
時刻は18時45分
うん、バイト先が近いからすぐいける
さぁバイトだバイト




