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What-if games?  作者: 岡田播磨
1章 PROLOGUE 失恋。ダメ、絶対!
17/39

第十六話

16


 失神した恋音をおんぶし、袋井たちは陽報館に戻ってきた。

 入り口では、世那が玄関に寄りかかって、待ち構えている。


「何してたの、あんた達?」


 三人とも曖昧な笑みを返すだけで、言葉が出なかった。


「今日の夕食は、あたしと凌雅君で準備したわ。次回からは当番制にしてよね……」

「凌雅君が、戻ってきているのかい!?」

「はぁ? 彼は、ずっと家にいたわよ。玄関に靴があったでしょ?」


 呆れ顔で世那が玄関を開けると、入り口に凌雅の姿があった。

 いつも通りのアルカイックスマイルで、三人と背負われている恋音を出迎えた。

 ホッと、三人とも同じ表情で、安堵の溜息を付いた。


(これで、なんとか落ち着くかな……)

(さぁ? それはどうかなぁ~?)


 唐突に、袋井の頭に直接問いかける声があった。


(な、な、な、なんだ!?)


 聞いたことのない声だ。

 左右を見渡し、出処を探すが周りにいるのは見知った顔しかいない。

 娘たちはキョロキョロする袋井に下から眺め、疑問符を浮かべている。

 背中の恋音はいまだ、気絶したままだ。


(はっはっはっ、そっちじゃない。上だ、上)


 袋井が空を見上げると、そこには半透明のシルエットが二体浮かんでいる。

 ひとつは小さな天使の少女。

 もうひとつは、フクロウの悪魔だった。

 どちらも10センチ程度の大きさしかなく、袋井の頭の上をグルグルと回っている。


(な、なんだ、お前ら!)

(ほお、殊勝じゃないか。我々の姿は、他の人には見えないからな。もし、声を出していたら、変人扱いだったのになぁ)

(ざんねん。もっと、面白い子だと思ったのにぃ~)


 二体は、喜び飛び回っている。


(お前らあの時の二体か!)

(そりゃあ、そうでしょう? 他に思い当たるフシがある?)


 苦々しい表情を作り袋井は、ふたつのシルエットを睨みつける。

 意に介さず二体は、楽しげに笑っていた。


(君は実に面白いね。こんなの初めてだよ)

(ほんとほんと! おもしろい恋愛線を、たくさん見せてくれそう!)

(なにが面白い!)

(面白いよ、君。我々すら、はじめての経験だ)

(だって見なさいよ、あれ。今のあなたなら、もう見えるでしょう?)


 そう言って、天使が指差す方向には凌雅がいる。

 凌雅に向けて、まっすぐ二本の矢印が引かれ、そこには片思いを示す半分のハートが浮いている。

 矢印をたどって始点の位置に立っていたのは――袋井を見上げる天使と悪魔――二人の娘たちだった。

 袋井雅人、17歳。

 彼には――女難の相がある。

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※この作品は出版デビューをかけたコンテスト
『エリュシオンライトノベルコンテスト』の最終選考作品です。
コンテスト詳細、そのほかの候補作品は 公式特設ページをご閲覧ください
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