精霊オヤジ、その名は……
同属さんたちが好きなようにどよめいているためいっきに洞窟の仲が煩くなった。だけどワタシ達兄弟だけ何で驚いているのか分からないため置いてけぼりなのでただ耳が痛い……。
一体何がそんなに同属さんたちの琴線に触れたのかそろそろ教えてくれないかな?
『サルビアったら精霊様まで見えるの~』
『母、何で精霊が見えるとなんでこんなに驚いてるんですか?』
賑やかな周りを気にしてそう聞くと、母はワタシの気を落ち着かせるためなのか毛繕いしてくれる。
耳の後ろはちょっとくすぐったくて身を捩ると母は笑いながら教えてくれた。
『そうね、村には昔から言い伝えがあるんだけど、その言い伝えというか、語り継がれてる人とサルビアが同じように精霊が見えるから同じ条件を持ってるかもしれないって勝手に湧き上がってるのよ~。ほら前にサルビアが言ってた脳が筋肉でできてるような人たちだから~』
にこにこと母は話してるけど、周りに沢山同属さんがいるのにそんなはっきりと……。
あ、でも念話だから他の同属さんには聞こえないようにしてるのかな?
『白いの何だその言いぐさは』
『あら、長老私何か間違ったこと言ったかしら? 見た限りその通りだと思いますけど……?』
長老が少し硬い声なのにつられてか母の声も若干硬い気がするけど、どうしたんだろ?
『娘よ、其方名は何というんだ? 儂はなジャコスと呼んでくれ!!』
母と長老のやり取りに意識を向けていたワタシが狩りの態勢を解いたからか、今まで母の後ろに 隠れていた精霊オヤジが出てきて持っていた扇で脇腹を突いてきた。
ちょっ、地味にくすぐったい!!
そう思い反射的に尻尾で叩いてしまったけどオヤジは間一髪で回避していた。だけどその時の姿が慌ててたのかブリッジのようになってて笑えた。
『何をするんじゃ! 危ないじゃないか!!』
『危ないのは急に突く方も一緒でしょ。それより何?』
『そうじゃ!! 娘、其方の名を教えんか。儂はさっき言ったようにジャコスじゃ!!』
精霊オヤジ改めジャコスが胸を張り再度自己紹介してきたけど、本当に空気読まないで自由だな!!
ワタシは母と長老の話が気になるんですけど!!
『う~ワタシはサルビアです。あんまりよろしくはしたくないんで、関わらないでくれると嬉しいです』
『そうか、そうかサルビアか!! 儂のことはジャコスと呼んでくれ』
少し失礼だとは思ったけどはっきりと言ったワタシの心中を無視して、ジャコスはくるくるとワタシの頭の上で踊り出した。
感覚はあまりないとはいえ視界の端にひらひらしたスカートが目について凄い気になるんだけど。
くるくると廻り続けるジャコスがどうしても気になって前足を使って耳を弄ってしまう。
仕草が猫っぽくなってしまったけど見てるのは兄達だけだからいいよね。




