同属2
のんきにワタシが兄たちの後ろからお姉さんの後ろ姿を見つめていると、今まで背中で踊っていたキャラウェイが突然その動きを止めて警戒態勢に入っていた。て、いったい何があったの?
「お前たち何もんだ?! ここがキマルカの里と知って踏み込んだのか!!」
兄たちよりは少し低い声だけど父と比べるとまだ子供の域を出ていない気がする。でもどこから聞こえるんだろう……? 目に見える範囲には木々しかないから一人キョロキョロしてしまう。
母が全く警戒をしてないから怖くはないんだけど、姿が見えないのに声だけ聞こえるのは気になる。そう思っていると上からガサガサという音とバキバキと枝が折れるような音が派手にし、ワタシ達から少し離れた場所に同属と思われる毛玉がグルグルとうなり声を上げて現れた。
ただ同属(仮)が現れた場所が兄たちの後ろに隠されているワタシとは反対側に下りたためまったく姿が見えない。なのでどんな人物なのか分からない。けど声から考えると男の子かな?
「お前ら見かけない顔だけど何の用でここに来たんだ!!」
声だけ聞こえてもどんな姿か気になる。そう思って兄たちの後ろから何とかその声の主を垣間見ようと頑張ってみるけど、兄たちが隙間なく目の前を塞いでいるから色とりどり(?)の灰色の毛皮しか見えない。
キャラウェイだけは何があっても対処できるように警戒してるけど、母が警戒してないことを免罪符に兄たちの脚元を匍匐前進で進んでいく。その時背中に乗っていたキャラウェイが気にはなったけど器用だから大丈夫だよねと、驚く兄たちも気にしないで進んだ。
「俺たちはもう大人だ!!」
兄たちの脚の間を抜けている間に何やら話が進められてたみたいで、同属(仮)さんが怒鳴っていた。もふもふのけは気持ちいいけど埋もれてると音が聞き取りずらくなるからね。何話してたんだろ?
「はふ~」
毛が口の中になるべく入らないように息を止めていたワタシは顔を出した瞬間新鮮な空気を胸いっぱいに取り込む。さて、新しい同属(仮)さんはどんな人なんでしょうかね、視線を向けたらそこには同属(仮)さんが三人もいたことに驚いた。一人じゃなかったんだね。
「ここは他所もんが気軽に……!!」
何やら主張を言っているリーダーっぽい同属(仮)さんに熱いなあと視線を向けていると、向こうもワタシの存在に気付いたのか目を大きく開いて驚かれてしまった。はて? ワタシそんなに変かな? 声が途切れたことで他の二人もワタシに気が付き視線を向けてくる。そしてワタシを見て驚かれた。
う~ん。流石に兄たちの脚の間から顔だけ出てたら驚くか。よしワタシも初めてのお友達候補(威嚇中)に挨拶するためにちょっとここから抜け出しますかね。
そう思いさらに体を前に出そうと匍匐前進をしていたら、兄その二。もといアキレア兄に首元を銜えられて兄たちの後ろに戻されてしまった。……って、あれ?
「ちょ、何すんのアキ兄。ワタシもお話ししたい」
「サルビアはちょっと待っててね。怪我したらいやだろ?」
「怪我なんかしないよ? ワタシもお話……」
「ちょっと待っててね?」
「……はい」
突然の兄の暴挙にやる気をみせていたワタシは地面に下ろされると同時に抗議の声を上げる。だがまったく聞き入れてもらえないどころか笑顔で威圧されてうっかり頷いてしまった。……笑顔怖い。
アキレア兄と話してたら他の兄たちが同属(仮)さん達から見えないように壁のように周り固めちゃってるし……。
何が琴線に触れたか知らないけど、ちょっと過保護すぎない?
あ、キャラウェイも兄たちに参加してる。母よ、笑ってないで何とか言って? ワタシ体力はないけどそんなに弱くないよ?




